「ふぅ…」
その後、朱乃から夕食をご馳走になったゼノは、満腹のあまりその場に大の字に倒れるように横になった。
「悪いな。何杯もおかわりしちまって」
「お気になさらないでください。それよりも良い食べっぷりでしたわよ?」
「いやぁ〜」
朱乃の言葉にゼノは頬を掻く。出されたのは焼き魚に卵焼きといった、質素な和食であったが、思わず食べ過ぎてしまう程まで美味であり、何度も白飯をおかわりしてしまったのだ。
「あまりに美味すぎてつい…」
「そう言っていただけたら、作った甲斐がありましたわ♪お風呂も湧いておりますので、いつでも入ってください」
「おぉ!」
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その後、お風呂でサッパリとしたゼノはパジャマへと着替えると、朱乃が用意した布団へ横になった。
「おぉ〜!フカフカだ!あれ?朱乃はどうするんだ?」
久しぶりに感じる布団の感触を堪能しながら朱乃へと尋ねると、寝巻きである白装束に着替えた朱乃は笑みを浮かべながら答えた。
「うふふ。今日、乾いたお布団がそれしかありませんの。なので___」
その後、朱乃が電気を消した事で周囲は暗闇に包まれた。
一方で、朱乃はゼノに寄り添う形で、布団へと入り込み、ゼノの隣に横になった。
「……………あの、狭いんですけど」
「うふふ。でも、暖かいでしょ?」
「いや、別に布団かぶってるから。あれなら、俺は座布団の上で寝ようか?」
「いいえ」
そう言いゼノが布団から出ようとするも、朱乃は逃がさないかのように小さな身体を抱き締める。
「お客人の方にそんな真似はさせませんわ」
「はぁ?だからって抱きつくなよ。それだと寝返りが____」
そんな中であった。
「あり…?」
何故か突然と全身の力が抜け落ち、自身を抱き締める朱乃に身を任せてしまう。
「あら?どうしましたか?」
「いや…なんか突然…」
自分でも今ようやく気がついた。何故か分からない。ただ、彼女の柔らかな身体の感触と体温を感じた途端に、まるでそれが居心地が良いかのように動けなくなってしまったのだ。
それに、彼女の声色も備わって、彼女に寄った途端に胸の辺りが少しばかりか暖かくなってきていた。
それと同時に、眠気が一気に押し寄せてくる。
「悪い…何故か…不思議と…落ち着く…」
「あらあら」
その言葉に朱乃は静かに笑みを浮かべると、優しく抱き締め、頭を撫でた。
「きっとお疲れなんでしょう。ゆっくりお休みください」
「そう…か…俺…疲れて…るの…か…」
彼女の言葉を耳にすると共に、視界がゆっくりと暗くなっていく。ビルス星での戦いの日々により、今まで休憩を必要としていた身体が、安らぎを求めたのだろうか。
不明な理由を明確にする事なく、ゼノはゆっくりと目を閉じたのであった。
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眠ってしまった。
「ぐぅ…」
私の胸元で寝息を立てながら眠るその顔は小猫ちゃんと変わらない普通の男の子でとても可愛らしい。
だけど、その子に私は命を救われ、ずっと探し待ち続けてきた事で、いつしか彼を“想うようになってしまった”。
今思えば、私を助けてくれた姿に惹かれたのか、それともようやく出会い、彼の素顔を合間見たから惚れてしまったのか、何方かは分からない。
けど、もう確信した。私は彼を好いている。心の底から。
「もうしばらく…一緒にいたいですわ」
そう囁きながら、ゆっくりと目を閉じた。
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その翌日。目を覚ましたゼノは朱乃の用意した朝食を食べ終えると、荷物をまとめる。
「じゃあな。世話になった」
「あらあら。もうしばらく、ここにいて良いですのよ?」
「いや、タダ飯食わしてもらったうえに長く滞在するのは嫌だ。時間まで辺りを回ってくるよ」
「そうですか…。わかりました」
何故か朱乃は暗い表情を浮かべていたが、それを疑問に思いながらもゼノは荷物をまとめて、彼女の家を後にしたのであった。
「また後ほど、お会いしましょう」
「あぁ。また後で」
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その後、ゼノは不動産へと向かい、スーパーなどが近い立地でのマンションを購入すると、早速その部屋で荷物を降ろし、水道光熱費などの契約も済ませる。
「…よし。部屋は確保と」
購入したのは一人暮らしにしてはやや広めな1LDKであり、数千万もするが、その額はビルスから事前に貰っていた金のうち、10%にも満たない程度であるために問題ない
更に予定よりも早く契約を終えたため、その隙間時間で近くの家具専門店から家具家電も調達し、部屋に設置した事でようやく形も手に入れた。
「マンションの契約、水道光熱費、家具家電__と。全部オッケーだな」
事前にウイスから渡されたオススメの家具一覧を全てチェックし終えると、ゼノは購入した大きなベッドの上で横になる。
「ふぅ…ようやく休める」
初めての母星での一人暮らし。ビルス星と違い、とても静かで落ち着きのある空間は安らぎを感じさせてくれる。
「あ、あとご近所さんに挨拶もしねぇとな。…まぁまたの機会で良いか。あと、食った分の米を朱乃に渡さねぇと…」
それからゼノは約束の時間まで休憩も兼ねて昼寝をすると、起きてすぐ約束の場所へと向かうのであった。
○◇○◇○
よぉ皆!俺は兵藤一誠だ!!
俺は今…猛烈に嫌な状況に立たされていた、
「キャァー!!木場きゅんが兵藤と!?」
「綺麗な木場くんが汚れてしまうわ!!」
あ〜!!マジでうるせぇ!!俺だってこんなイケメンと歩くなんてゴメンだよ!!だけど今朝のリアス先輩に言われたからどうしようもねぇんだよ〜!!
俺が心の中で気持ちを吐露している合間に目的地へと到着した。
「ここだよ。さぁ入って」
「ここって…旧校舎の…『オカルト研究部』…?」
案内されたのはあまり使われていない旧校舎だった。本校舎よりも作りが古く、最低限の手入れしかされていないために老朽化している筈だ。
それでも俺は誘われるがまま、開かれた扉をくぐり、中へと入った。
ガチャ___
「部長。連れてきました」
「え…!?」
中へ入った俺は驚いてしまった。部屋の中は電気が消され、いくつかの蝋燭の灯りだけ灯されていて、しかも謎の魔法陣や道具などが幾つも置かれていた。
すると
「ありがとう裕斗。座って待っていてちょうだい」
近くの部屋からシャワーの音とリアス先輩の声が聞こえてきた。ま…まさか…あの扉の向こうで…甘美なおっぱいが丸出しになっていると言う事か!?
そのワクワク感に俺はますます興奮してしまう。
「やぁ。早かったね」
「…ども」
___え!?
俺はさらに驚いてしまった。それもそうだ。イケメンに挨拶し、椅子に座りながら羊羹を食べているのは学園でもマスコットと名高い『塔城小猫』ちゃんだからだ!
いや、小猫ちゃんだけじゃない!あともう1人は………え?誰!?
「むぐむぐ…ん?何だ?ジロジロと見てんじゃねぇよ」
そこに座っていたのは、小猫ちゃんと然程背丈が変わらない男子だった。三つ編みにした長い髪に綺麗な青い目を持っていて、最初は女の子かと思ったけど、脚を組みながら座り、ワイルドにロールケーキを丸々頬張るその素振りから男だと分かる。
だけど制服を着てないから生徒じゃない。なぜこんな所にいるんだろうか?
さらに今度は2大お姉様の1人であらせられる『姫島朱乃』先輩やお風呂から上がりバスタオルを巻いたリアス先輩までもが現れた。
うひょぉー!!やったぁー!!
「…いやらしい顔」
小猫ちゃんに半目で呆れられている…ごめんね!だが!それでも良い!!こんな楽園に出会えたのだから!
俺が興奮していると服を着たリアス先輩が椅子に座り俺達に目を向けた。
「さて、これで全員揃ったわね。始めましょう」