耳元で鐘が鳴り続けていた。
デジタル式目覚まし時計のベルの音だ。
「うーん……」
そして再び眠りにつこうとしたところで、
「…お兄ちゃん、起きてください、朝ですよ。今日は真白お兄ちゃんと
真白は焦点の合わない目で見上げると、そこには見慣れた妹の姿があった。
一つに括られた髪に、中学校の制服を着た。可愛らしい目の大人しい少女である。
「あー、そういえば、そうだったね。今日は僕と黒那がご飯を作る当番だね、でもあと10分だけ寝かせて。」
「……だめ! お兄ちゃんが朝に弱いのは知ってるけどますけど...……当番制なんだから、ちゃんとルールを守ってください!
……黒那お兄ちゃんはもう起きて朝ご飯の準備をしてますよ。」
葵あおいは声を張り上げ、真白をゆさゆさと揺すってくる。
「わかった! わかったから! 起きるから、揺すってくるな!」
起き抜けのぼうっとした頭をシェイクされる感覚に眉を潜めながら、真白は苦しげに声を張り上げた。
「……はぁ」
息を吐き、布団を畳み、時計を見ると、まだ6時前であることがわかった。
「まったく、なんて時間に起こすかな。」
と、ぼやいた。そして、昨晩の事を思い直した。
昨日からは両親と兄と姉は事件の仕事関係で行ってしまっているため、しばらくの間は兄妹4人交代制で台所に立つことになった。
「あー……」
昨日葵達に言ってたのに忘れてたなと思った。
階段を下りて、リビングに入る。
「おはよう、黒那、
「おはよう、真白。」
「ん、おはよう。」
黒那と隆也は少しも表情を変えずに挨拶をかえした。
「真白、起きるの遅い、はやく手伝って。」
「ごめんごめん黒那。すぐに朝ご飯の準備を手伝うから。」
そう言って、真白は黒那が立つ台所に足を向けた。
真白達の両親と兄と姉は魔道警察の仕事関係で忙しく、家を空ける事が多かった。
その際の食事当番は2人制で担当しているので、もう手馴れたものであった。実際、母より調理器具の扱いには自信があった。
と、真白は冷蔵庫から卵を取り出し、黒那は味噌汁を作っていると、背後からテレビの音声が聞こえてきた。
葵と隆也は毎朝、ニュースを観るののが日課だった。
「今日未明、○○市近郊で」
「「ん?」」
真白と黒那はニュースの内容に、眉を跳ねあげる。
理由は単純。明瞭なアナウンサーの声で聞きなれた街の名前が発せられたのだ。
「なんだ、ここから近いね。何かあったのかな?」
「なんだろうね?」
真白と黒那は首を傾げて、カウンターテーブルから身を乗り出すようにして、目を細め、視線を画面に移した。
画面には、人だかりができている様子が映し出されていた。
建造物の一部が半壊し、そこには規制線のテープが張られており、警察官達が現場検証をしている最中だった。
真白と黒那は眉をひそめると、息とともに言葉を吐いた。
「ああ……また殺人事件か。」
「最近殺人事件多いよね、とくに魔道士が殺される事件が。」
「……確かに、多いですよね一体何が起こってるんでしょうか? 」
「……ん、それは分からないけど、物騒。」
真白達はうんざりと首を振った。