∞ - Kado: the Respective Answers - 作:沖黍州
◾︎ -43.1時間
エンターキーを叩いて、マックブックの脇に置いたコーヒーカップに手を伸ばす。研究室の窓からさす光はカップからたちのぼる湯気を白く浮かび上がらせ、暖かい香りは鼻腔を刺激した。
「品輪さん、どこにいるか知ってます?」
ふいに声をかけられて振り向くと、研究室の後輩女子の葵がいた。
「学会でもないですよね。研究室にいないなんて珍しいですね」
「ああ、三船先生の国交省の案件。あれで先生に同行しているらしい」
なるほど、と葵は納得した。
三船先生の研究領域は基礎理論物理に止まらない。
基礎理論が専門ではあるけれど、今回のように物性理論のアドバイザーとしてもしばしば活動することがある。
「ところで廻さん、きれいですね」
「え? 俺?」
「は? 何言ってるんですかそのシミュレーションですよ。ブラックホールですよね? それ」
ディスプレイに目をやると、時空が渦を巻き、特異点が生み出されていく様が描画されていた。光の経路は重力に歪み、生まれたての特異点へと吸い込まれていく。
「ああ」
自分のことじゃないと知ってがっくりと肩を落とす。が、何にせよ自分の研究に興味を持ってもらえるのは喜こばしいことだ。マックブックを少し横に回して見せてやる。
「興味の中心はブラックホールそれ自体じゃない。事象の地平面生成過程で、その近傍の潮汐力に耐えうる物理剛性を特定することなんだ。特異点から情報を取り出す方法を模索したくて……」
「はあ」
溜息のような相槌。少し不安になって、おそるおそる葵の方を見た。
その目は、珠のように煌めいていた。
「なるほどなるほど」
葵は繰り返して言ってはしぱしぱと瞬きをする。どうやら、ため息は関心によるものだったらしい。
するりと垂れる前髪からのぞく長い睫毛が、瞬きのたびに瞳を隠す。
すらっとした長身に、整った顔だち。
葵はもともと少ない女性の物理学徒の中にあって更に希少な存在だと言っていい、と思う。たぶん。
「でも廻さんも物好きですね」
そう言って頰に朱が指した気がするのは、季節がいま夏だからだろうか。
きっとそうだ。もう7月だもんな。
窓の外で、うるさいほどの蝉が鳴いていた。
「おもしろいだろ?」
「だって書けますか? こんなのでD論」
「なんかおもしろくない気がしてきた……」
「うわあ意志薄弱」
「水差したお前が言うなよぉ!」
D論。
つまりは博士論文のことだ。
今は博士後期課程二年目。そろそろ研究テーマを決める時期だろう。だけど自分は未だにどういった方向性で研究を進めていくか、決めあぐねていた。無論、最初から答えのわかる研究をやるわけではないので、どのみち困難は付きものだ。けれど進むほどに道は険しくなり、一歩進んではきた道を振り返る。そんなことの繰り返しだった。
「今から方向性を変えるのもな」
「ほら三船先生が言ってたじゃないですか。この研究室の標語」
「別に標語じゃないが……たしかにそんなもんだなあ」
研究者たるものは、答えが何かを考えるのではない。何を問うべきなのかを考えるべきなのだ。御船先生がノーベル賞をとったときの公演以来、マスコミでよく取り上げられたし、その後は一時期ビジネス書や雑誌などで頻繁に紹介された。
マスコミがもてはやすよりはるか前から、僕はは三船先生に憧れてきた。分野をまたいだ広い知見。アカデミズムのスタンダードにとらわれない奔放な発想。ノーベル賞を取るよりもずっとずっと前から僕惹かれていたのだ。三船先生のような研究者になりたい、と。
「同期が優秀だと焦りますもんね」
葵の言う同期とはもちろん、品輪彼方のことだ。
「あいつと比べるなんておこがましいよ。品輪ってやつは……」
彼女は間違いなく、比類ない天才だ。自分とて三船研究室に所属している人間であるから、優秀な方ではあると思うが、それでも彼女は自分なんかとは比べ物にならない。
「迴さんも努力して天才に追いつかないと」
「酷なこと言うなよ。あいつと比べるなんて」
「そんなすごい人なんですか? 品輪さんて」
「大学入学こそ同じだったが、飛び級を繰り返してあっという間に博士号を取った。今は三船研究室に所属しているが、20代のうちに自分の研究室を持つようになるだろう」
「そのうちノーベル賞とったりして」
「三船先生は10回取るだろうと言っていたよ」
「本当ですか」
「僕もそう思う。あいつはいつも飢えているんだと思う。この世に自分の好奇心を満たしてくれるものがないか探してる」
椅子を回して葵に応えた。
「品輪は、別次元の天才だ」
特筆するとしたら観察力だろうか。子供の眼差しのように、いつも世界の事象を新鮮にみつめている。理論から実験から、手当たり次第興味に任せてなんでも手をつけ、あっという間に第一線の業績を出していく。 品輪の目を見ていると、自分が井の中の蛙だったことを繰り返し思い知らされた。
三船先生、それに同期の品輪彼方。卓越した知性たち。あの人たちと僕にはいくつもの隔たりがあるのを見にしみて感じていた。それでも僕はここにとどまって、必死に考え続けている。世界を丸ごとひっくり返すような、《根元の問い》を。
◾︎ -15.2時間
腹が空いたのに気づいて、コーヒーでも入れようかと研究室を見渡した。窓から差し込むのは月明かりに変わっている。外に響く虫の声は蝉から鈴虫になっていた。大分シミュレーションのコードを書くのに没頭していたらしい。
研究室に入りこむ風がそっと顔を撫でる。真昼の余熱を孕んでいたが、それでも随分心地よく、煮詰まった頭を幾分か和らげてくれた。
スマホを確認する。もう20時を回っていた。
夕飯は外に食べにいこうか。誰かを誘おうと思って研究室を見渡したが、珍しく誰もいなかった。
研究室を出る前に隣の学生室を覗くと、葵がひとりで勉強していた。頭の中で自分と葵の距離を測る。葵までの距離は5m70cmといったところ。対人関係距離は106といったところか。126というのは自分の中で決めている対人距離の尺度だ。100を切ったら信頼して心を開くことにしている。
「葵」
ワンテンポ遅れて、葵が顔を上げた。
暖簾を分けるように、前髪を両手でかき分けてこちらを向く。
「廻さん?」
「あのさ、外に飯行かないか」
葵は腕時計をちらりとのぞいて頷いた。
「おごりですか?」
「博士課程というのはだな。キミが思っているよりずっと貧乏なんだ」
「冗談ですよぉ。自分で出しますって」
そう言って葵は背伸びをするように椅子から立ち上がった。
小声で鼻歌を歌っている。耳をそばだてたが、記憶をのなかを検索しても、その歌はかからなかった。
◾︎ -14.7時間
大学の通用門の前、プロムナードにはソメイヨシノが三列に植えられている。入学シーズンは大学外部からもお花見で人が賑わうが、今は季節は夏。
頭上まで広がる枝々には葉が茂り、月明かりを隠している。
僕と葵をのぞいて、ほとんど人は歩いていない。僕が3歩あるく間に、彼女は4歩あるいて並んでいた。横を盗み見て、歩調を落とし、足並みを合わせる。3歩と4歩から4歩と4歩へ。
葉桜の枝の隙間を夜風がながれて、葉の擦れ合う声と螽斯の声が調和している。
なにか会話をと思い、歩きながら取っかかりの話題を探す。
「試験、あと何が残ってるの?」
7月も半ば。となれば学部生なら前期試験の時期でもある。
「一般相対性理論と、場の量子論です」
「そりゃ大変だ。一般相対論はアインシュタインも十年かかったからしいしね」
「そっちは問題ないです」
葵は短く、さも当然というように応えた。
「今はリー代数とツイスター変換あたりを勉強してます」
「葵くんはあれか。超弦理論より量子重力理論に興味がある口かな」
「ええ。あとひと月ほどあればマスターできますけど」
「本当なら大したもんだ」
「廻さん、わたしを侮ってます?」
「そんなことはないよ?」
公式や法則をできる限り独力で考えて出そうとするし、実際それで高いレベルの専門知識を身につけていってる。理論物理学者のリチャードファインマンもそうだったらしい。
「葵くんは、理論物理のセンスがあると思う」
葵は吹き出した。
「わたしだって廻さんのことけっこう期待してるんですよ」
「生意気な」
ありがとうと言おうと思ったけど、やめておいた。
「理論物理と情報科学の架橋をできないかなと思っているんだけど。この領域にはまだまだ研究のフロンティアがあると思うんだよ。どう思う?」
「わたしは計算幾何学や情報数学はそれほど詳しくありませんけど。でも、ブラックホールやプランク定数が無視できないような物理状態なら、情報科学の理論上のものとされていた概念のいくつかが実現できるかもしれない……というのは興味をそそりますね」
「そうそう」
頭の中で計測し直した。葵の対人距離、98。研究のための助けが欲しい。その時のために葵と軽口をたたきあえるくらいの距離になりたいと思った。いや、ずっと思っていた。今がその時だ。
「葵の力を借りたいんだ」
一息おいてのち、彼女は「さあどうしようかな」と言って、何を思ったのかおもむろに駆け出した。間も無く葉桜のプロムナードは終わり、月が彼女の顔を照らしだす。
「天そば!」
振り返って彼女はにこりと笑った。
「何?」
「薮飯屋の天そばが食べたいです」
彼女の後を走って追いかけながら、薮飯屋の定番メニューのことを思った。魚料理は学生価格で逸品。天ぷらは特にうまい。ただし出てくるまでやたらと時間がかかるのが玉に瑕。
「ああ、やっぱ今日はおごるよ」
ようやく葵に追いつくと、彼女はにししと笑った。
「明日いいもの見せてあげますよ」
葵の声に誘われて彼女の眼差しを見る。
生まれついての性なのか、自分はどうも人間関係の距離感を数値で考えてしまう。距離というのは、物理的な距離でもあるし、人間関係の距離感でもある。数値化すれば距離が計算できるから安心するのだ。
1mと20cm。
それが今の、葵との距離だ。
◾︎ -0.6時間
翌日。第2学生食堂の窓際のカウンター席。
11時に差し掛かろうというころに葵は現れた。
「昨日はご馳走様でした」
「で、手は借りれるのか?」
葵はうなずいた。
「あー、廻さん。『バベルの図書館』って知ってますか」
「そんな小説があったような……」
「ちがいますよ。これです」
そう言って葵はスマホのアプリを立ち上げた。表面にオブジェクトたち学生食堂数レイヤー重なり、ひとつひとつに派手なエフェクトが付いている。印象としては良い意味でアナクロ。アングラ感あふれるUI(ユーザーインターフェース)だ。これが研究と何の関係があるのか皆目わからない。
「なんなのこれ?」
「分野を問わず色んな研究者が集まる掲示板というかチャットというか、そんな感じです」
「へえ。集まってどんなことしてるの?」
「まあしょうもない雑談がほとんどなんですけど、部屋…ああ、このコミュ二ティでは掲示板に当たるものを部屋って呼んでいるんですけどね。部屋によっては真面目に専門的な話や研究のディスカッションをしてたりします」
「これが研究のヒントになると?」
「わたしもよく刺激を受けていますよ。すごい人がワンサカいますから。特に尊敬を集めているのが、コテハンをもつ8人の超人的ハッカー」
葵が言うんだから、相当優秀な人が集まっているに違いない。
「それでコテハンの名前なんですが、【answer answer;答えを持つ者】【beaver eater;カワウソ喰い】【copper water;赤い水】【永遠の師走: December ever】【error over;失敗失敗】【fever cover;真人間 】【gutter keeper;0点大行進】」
「……」
「本人たちが名乗ってるらしいですけど」
「……なんというか」
「まあ、言いたいことはわかります」
ライトノベルだ。ネーミングセンスがラノベだ。
「本当にすごい人たちなのかなあ」
「すごいのは確かです。えーと、このコテハンの人たちはアカウントIDを持ってないんですよ。『バベル』ではログインのたびに、必ずランダム文字列のIDが割り振られるんです。普通に考えてありえないんですよ、IDが無いなんて。歴史的な経緯については省きますけど、ギーク集団が根掘り葉掘りセキュリティの穴を探したから運営側も対抗してセキュリティを高めて、そのイタチごっこの末に『バベル』のセキュリティは世界最高レベルの堅牢さを手に入れたんです。つまり……」
「コテハンは世界最高のクラッカーであると」
「その通りです」
何となくわかってきた。
「7人しかいないってのが希少価値高いね」
「あー、でもanswer answerさんは数年前から出現しなくなりました。わたしも実際に見たことはありませんね。他のコテハンはたまに見たことはありますが。おそらくコミュニティを抜けたのか……」
「あるいは、ハンドルネームの恥ずかしさに気づいた……?」
「まさかぁ」
葵は汗をかいたグラスから冷水を飲んだ。
「『バベル』はどうやったらできるんだい?」
「公式のアプリストアからは落とせないです。普通にアクセスできるウェブサイトにも落ちていません。ダークウェブってやつですよ」
「なんか、やばそう」
「正直なところを言えば、法的にブラックに近いグレーの話やグレーに近いブラックな話題も多いです。共謀罪が施行されたらアウトでしょうね」
「やばいやつだ!」
やばいやつだった。
「でも研究、困ってるんですよね?」
そこを突かれると痛い。今は何でもいいからD論のための手がかりが欲しかった。
「『バベル』は招待制なんです廻さん。やるなら招待メール送りますけど」
「うーん」
「悩んでるふりなんてしちゃって。答えは出ているんでしょう?」
「わかったわかった」
両手を上げて降参のサインをした。結局背に腹は変えられなかったのだ。葵に圧縮ファイルを転送してもらい、展開したのち別途葵に送ってもらったトークンと初期パスワードを入力してログインする。
ソフトを立ち上げると、トップ画面には検索窓と無秩序に部屋へのリンクが並んでいた。きっとトップ画面におさまらないほどの無数の部屋がこのバベルにはあるのだろう。手始めにいくつかの雑談部屋を除く。たしかにたわいのない話題ばかりだ。ちょっと意外だったのは、いわゆるオタク、ギーク文化ばかりでなく話題は本当に多岐にわたっている点だ。こんなにもクローズドなコミュニティなのに集まる人の多様性はかなりのものだと推測される。続いて理論物理系の部屋、情報科学系の部屋を除く。議論の高度さに思わず唸った。いずれも第一線のものだ。専門性が極めて高い。正直、自分の研究領域から少し遠ざかると途端に何を話しているのか分からなくなる。それだというのにここの住人たちは研究分野を飛び越えて議論を広げていく、広げるたびに思わぬ出会いが生まれ、新しいアイディアが創発し、また深まっていくのだ。ざっと見ただけでも、広さだけでなく深さも持ち合わせているということがよく解かった。
次に自分の関心に近い議論をしている部屋をのぞいた。一目して議論のレベルの高さがうかがえた。ポスドクが書き込んでいるのだろうか。
過去ログを遡ると、ここ最近は一つの話題が頻繁に出ていることがわかった。
「『高次元コンピューティングによる《オラクル》の実装に関する仮説』というのが話題らしいな」
「ああ、最近いろんな部屋で噂に上がります」
「別の部屋でも?」
「ええ。この仮説を『バベル』に投稿の人なんですけどね。IDがなかったんです」
「ていうことは、さっき言ってたコテハンの一人?」
「いいえ。さっき言いそびれちゃったんですけど、最近コテハンを持たないID無しが今年になって現れたんですよ」
「それってつまり、7人の誰かがハンドル名を伏せて投稿しているか」
「あるいは【8人目】」
それはつまり、世界最高レベルのセキュリティを突破した、世界最高のクラッカーが新たにあらわれたということだ。情報技術のエキスパート中のエキスパートであることを示している。
「なるほど。だからこんなに論文が話題になっているんだな」
「どういうことですか」
「P=NP問題……つまり数学のミレニアム問題の一つに関係しているかもしれないんだ」
ミレニアム問題とは、多額の懸賞金のかかった数学の未解決問題のことだ。2000年の数学国際会議で定められたことからこの名が付いている。
「ミレニアム問題を証明したなんて論文はゴマンとある。その10割が誤ってるけど」
「10割って全部じゃないですか」
「解けないから難問なんだよ。でも世界最高の情報エキスパートとなれば話が変わってくる。もしかしたらこれは足がかりで本当はミレニアム問題を証明しているんじゃないかとさえ考えてしまう。もしそうならきっと……」
「なんですか?」
「世界がひっくり返るかもな」
その瞬間。
部屋に新規コメント上がった。
たった三文字、『つづき』とだけ書かれ、ファイルが添付されている。
そのコメントには、IDもハンドル名もなかった。
「【8人目】だ」
葵に報告すると同時に添付ファイルをウイルススキャンにかける。
「うそ?!」と葵が聞き返すより早く、スキャンが終わった。すぐさまファイルをダウンロード。
「廻さん。【8人目】が現れた部屋、見れないんですけど」
「そんなはずないだろ。今さっきまで見えていたんだ」
「本当ですって」
ディスプレイに目を戻す。
「すごい勢いで部屋が作られてるんですよ。シカクだとか羽田とかなんとか。なんか負荷が高まってるみたいです」
セキュリティレベルは高いくせに負荷対策はそれなりのようだ。
ダウンロードしたファイルはサブで使っているPCに転送した。ネットワークを物理的に遮断した状態でファイルを開く。悪意あるウイルスであることを想定してPCが乗っ取られても影響がないようにするためだ。
万全を期してファイルを開く。
ファイルは、本当に論文の続きだった。
急いで目を通す。
「ばかな」と思わず呟いた。
その論文を簡略してまとめれば、コンピュータを高次元につなぐ。それができるかどうかがこの仮説の肝になる。そんなこと高次元に触れるなんて、現実では考えてあり得ない。絶対に。
「葵も【8人目】の論文見てみてくれ」
「全然見れませんよ廻さん。なんか負荷が高すぎるんですよ。大量の実況ストリーミングとそのミラー配信が行われてるみたいで、システムのリソースを食いつぶしてます」
葵に言われて『バベル』を見る
すさまじい速度でタイムラインが流れていく。
流れが早すぎて文字が全く読めない。
「なんだこれは」
言うや否やアプリが落ちた。処理に耐えきれなかったからだ。すぐさま余計なプロセスをキルしてメモリを解放してアプリを再起動する。無数の新規部屋の無数のコメント、張られた動画、画像その全てが一つの事態を指し示していた。
羽田空港。
空から落りてくる物体。
蠢く幾何学模様……すぐまたアプリが落ちた。
「廻さん、あそこ」
そう言って葵が外を指差すその先、空と陸の境に目を移す。そこには、パースを間違えたかのような、スケールの外れたオブジェクトがあった。
直線で囲まれた輪郭。
羽田からはるか離れたここからでもはっきりと見える。
差し渡し1kmを優に超えようかという超絶に巨大な立方体が、はるか地平線に屹立していた。
◾︎ 0時間 羽田空港にカド出現