ハイスクールD×D 〜世界の移動者〜 作:冷やしゴース
黒歌が可愛くて書いちゃいました。
「化物め!」
投げつけられた石を0次元に葬る。
「クソガキが!」
殴りつけられる腕に門を開き、僕に当たらない場所に出す。
「こいつ!」
これ以上何かをされる前に、自分自身を門に入れて移動する。
僕は、この力のせいでこれまで孤独だった。 そして、多分これからも孤独なのだろう。
時空をまたぎ、次元を越え、最後には世界すら移動してしまう。 この能力のせいで…
「ご飯… どうしようかな…」
転移した先は適当な街の貧民街だ。
こういうところならば新しく僕が加わっても、それほど怪しまれない。
親もなく、友もなく、知り合いすらもいない僕には過ごしやすい場所なのだ。
それよりも食料を用意せねば、確か最後に腹に入れたのはパン一切れで二日前だったはず。
もう少し断食はできるが食べないと能力が不安定になってしまう。
「そうだ、森に転移して何か食べられる物を取ってこよう。」
頭の中に森をイメージして門を開く、門を抜けた先は鬱蒼と茂る森であった。
「ここなら…」
果物の1つでもあるだろう、そう独り言をこぼそうとした瞬間。
僕の耳に女性の悲鳴が聞こえてきた。
「どうしよう…」
そう遠くない位置だ。 でもどうする?
助けに行けるし、多分助けられる。
でもそれは僕にメリットがあるのか?
見て見ぬ振りをしたとしても、後味が悪いだけではないか?
いや、もしかしたら何かお礼を頂けるかもしれない。
パンの1つでも恵んで頂ければ万々歳。
よし、そうと決まればすぐ行こう。
声のしたおおよその方向に門を開いて移動する。
門の向こう側には、1人の黒い服を着た座り込む女性を取り囲む、4人の男の姿があった。
数人の男は手に凶器を手にしていて、今にも女性に切り掛かりそうだった。
僕は自分のから出る音を他の空間に移動させ、その集団に忍び寄る。
僕の存在が気づかれるよりも前に、4人の背後についた。
そのまま男たちの間を抜け、女性の腕を掴む。
「え?」
「は?」
そこにいる人間が何が起こったのかを理解するよりも前に、門を作り出し時空をまたぐ。
次の瞬間、目の前にはスラムの風景が広がっている。
「ーーー」
女性に話しかけようとしたが、声が出ない。
怪訝そうにこちらを見る女性。
あ、自分から出る音を元に戻すのを忘れていた。
「大丈夫、お姉さん?」
他の世界から音を取り戻し、目の前の女性に話しかける。
「え…うん。 ここはどこにゃ? どうやってここに?」
「僕にもわからないよ。 多分どこかの街のスラム街だと思う。 僕の能力で移動した。」
混乱の治らない女性に軽く能力の説明をして、その場に座り込む。
もうそろそろ立ってるのも辛くなってきた。
「あ、あの、私は黒歌っていうにゃ。 君の名前は?」
「僕? 僕に名前はないよ。 気付いたら生まれてて、気付いたら1人だった。」
「そ、そう…」
「あれ? あんまり気味悪がらないんだね。 お姉さんもそんな能力持ってたりするの?」
女性… いや、黒歌からは驚いてはいてもそこまで恐れてはいないような印象を受けた。
もしや彼女も僕の同類なのかもしれない。
「うん。私も一応そんな力があるにゃ。」
「僕と同類かぁ… そうだ、お姉さん。 僕に名前をつけてよ。」
「え!?」
「嫌ならいいけど… "お前"とか"ガキ"よりかはわかりやすいでしょう?」
「そんな風には呼ばにゃいけど…」
黒歌は僕の顔をジロジロと見て、閃いたような顔をした。
「じゃあ、君は
「いい名前だね、じゃあ僕は灰詩だ。 よろしくね、黒歌。」
僕は壁を使って立ち上がりながら彼女に握手を求める。
「あの…私は…」
「うん? どうしたの?」
黒歌はいきなり俯いて、黙ってしまった。
「実は罪を犯して悪魔たちに追われてて…」
悪魔たち? さっきの男たちのことだろうか?
「なら僕も同じだ、嫌われ者で、ずっと誰かに追われている。 似た者同士でいいじゃない。」
「え!? 私がいると灰詩に迷惑を…」
「大丈夫だよ! 僕1人でマイナス振り切ってるんだからさ!」
僕は強引に彼女の手を取って門を開き転移した。
きっと遠いところならば仕事も見つかるだろう。
こうして、僕と黒歌の旅が始まった。