Fate/魔法少女リリカルなのは~ fake of think~   作:悠(ゆうふじ)藤
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日本へ

「聖杯の復活……」

 一瞬カイザの思考が停止する。
 あの時の悲劇が脳の奥からフラッシュバックしてきたからだ。
 だが、すぐに頭を回転させる。

「いやいや待て待て、記録上前の聖杯戦争で冬木にある大聖杯は破壊されたせいで聖杯は復活しないんじゃなかったのか?!」
 
 10年前、あらゆる願いを叶えるとされる万能の願望機・聖杯を求めて七人のマスターとサーバントによる聖杯戦争が日本の冬木市にて行われた。
 結果、聖杯は何者かの願いを叶え、冬木氏を焼き尽くしたことになっている。
 その後、聖杯をこの世に顕現させるために必要な冬木市の霊脈にある大聖杯と呼ばれる魔法陣は、聖杯の真意を知った何者かによって破壊され、二度と聖杯はこの世界には現れないとされていた。
 だが、聖杯を破壊した人物は日本で息絶えたため、『聖杯は何者かによって冬木市を壊滅させた』ことしか分からず、今もなお聖杯のついては謎が多いい。
 
「ああ、そうなっているはずだった。記録上では」
「……」
「だが聖堂教会は聖杯を復活させる方法を見つけたとハンスが情報を手に入れてきた」

 目をカリオンからパソコンをいじっているハンスに向ける。

「間違えとかじゃねえの?」
 
 ハンスがパソコンから顔を上げ、こちらを見る。

「デマの可能性はあるな、なんせ俺みたいな人間でもいとも簡単に見つけられたからな。まるでどうぞ好きに見てくださいと言うように」

 パソコンを片目で見ながら説明する。
 
「なるほど、執行人を動かせないから俺が現地に行って調査して来いと……」

 敵の戦力、目的が決定的でない場合、魔術教会は執行人を派遣しない。
 カイザが調査、『聖杯の復活』が嘘な場合はそのまま帰還。本当に復活するようなことがあれば連絡、執行人を派遣するように進言しろということらしい。

「めんどい」

 カイザは聞こえるか分からないぐらい小さい声で一言だけ呟くとカリオンがなだめるように言う。

「めんどいって、そんなこと言わず10年ぶりに故郷に帰るつもりで行ってくれば」
「……故郷」
 
 カイザはこの言葉を聞いた瞬間心の中で思った。
 自分には生涯の中で合わなければ行けない人物はいるが、帰る場所は存在しないと。

「まあ、いいや。実際、聖杯なんてもんは何起こすかわからんし」
「やってくれるか?」
「会っとかなきゃいけない人たちが一応四人はいるからね」

 そう言うとカイザは椅子から立ち上がり、資料だらけのこの部屋を後にした。





 
 
 カイザは荷物の入ったカバンを片手に持ち部屋を出て、ドアのカギを閉めていると、魔術を教えてくれた師匠がやって来た。

「ん、ぬえじゃん。なに心配になって来た感じか?」
「いや、別に貴方の心配はあまりしてないけど」
「さみしいな、おい」
「まあ、日本と呼ばれる島国に行くのなら餞別は必要かなと」
 
 ぬえはポケットに手を入れると中から銃を取り出し渡してきた。
 その銃はコンテンダーと呼ばれているものだ。
 
「こんなもんを俺に渡しても意味なく……なにこれ」

 なんとなく、軍人が銃をリロードする真似をしながら、コンテンダーの中にある銃弾を取り出すと、そこに何かが書かれていた。

「刻印?」

「失効弾、昔に起源弾って呼ばれるものがあってね、それをアトラス院の人が真似て作った物なのだけど、そこまでの性能にはならなかったのよ。でも、魔術自体を無効化させることはできるわ」

 ふ~んと言いながらカイザはまじまじとそれを見る。

「魔術の無効化か……でも、この一発だけ?」

 銃弾は、コンテンダーに入っている一つしか受け取っていない。

「いや~、これってアトラス院の人達からしたら失敗作らしいから」
「いらないもん渡されただけじゃんか!」
「でも、見た目は普通の銃と変わらないから不意打ちには使えるかもしれないわ」
「……まあ、護身用として持っとくわ」
「そう、じゃあ頑張ってね」
「へーい」
 
 カイザは適当に返事をするとその場を去った。
 そして、タクシーを捕まえて空港へと向かう。


 
 
 日本便の飛行機がゆっくりと滑走路へとむかう。

(聖杯は大昔に作られたが、今はその場所は滅んで生き残りの子孫や宗教団体がのみが存在していると聞く)

 滑走路につくと一時停止。

(日本に着いたら遇うべき人に合ってそのあとは……接触できるといいけど)

 飛行機はゆっくりと走り始めだんだん加速、車輪が地面から離れた。

「古代ベルカ人か……」
  
 離れ行く見慣れた町並みを見ながら小さく呟いた






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