恋と禁忌と古代魔法   作:ラギアz

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第二十話「窮地」

 悪魔落ちは赤黒い瞳を俺たちに向けて、犬歯の覗く口で何かを呟く。すると、さっきと同じような黒い魔方陣が二つ生成された。壁に固まる俺とリノ、梓とフェオ。二つに分断され、両方を狙う砲撃。

 放たれる。直前、リノと梓の右手が閃き、盾魔法が発動。

 オレンジ色の壁が虚空に生成され、黒いビームと衝突した。火花を散らすような音を上げながら、必死に壊そうと壊されまいとせめぎ合う。

 梓とフェオは、その隙に盾の下から逃げた。広い体育館に分散し、魔法の準備を行う。

「リノ! 早く逃げろ!」

 声を掛けると、同じように俺も飛び出した。後ろではリノも駆け出して、最早『メテオ』を用意している。四つに分かれ、各々が悪魔落ちを狙う状態。

 四人の中心に立つ悪魔落ちは、一回視線をさ迷わせる。直後、狙いを決めた。

 その右手が指したのは、リノ。キイン、と指先に黒い魔力が集まり、展開される。撃たれるのは極細のレーザー。

 しかし、リノは余裕でそれを回避した。避けると同時に解放される『メテオ』。魔力が変換、展開された後に起動。圧倒的な威力を秘めた魔法は悪魔落ちに衝突し、ミギミギと体を軋ませる。黒い翼が引きつり、悪魔落ちの体がひしゃげた。

「―――ア、ガッ」

 響く、しゃがれた声。久々に聞く、悪魔落ちの声。

 ぞっと背筋が粟立つ。攻撃を喰らい、尚笑う黒い悪魔。『メテオ』を撃ち終え、隙の出来たリノへとそいつは左手と右手を構えた。

 魔法の同時起動。両手に、それぞれ魔法陣が創り出される。リノも慌てて魔法を準備するも、『メテオ』の魔力消費と反動が大きかったらしい。今までのキレは無く、精々フェオよりも少し展開と変換が早い程度だ。

 そこまで見て、俺はもう駆け出した。結果とかは考えずに、左手の鍵を右手に移して。

 梓が高速で魔法を起動する。フェオも手助けをするも、足りない事は明らか。悪魔落ちが練った魔力が今、唸りを上げて空を切った。

 黒い閃光、一筋の軌跡。

 体育館の埃臭い空気が渦巻き、魔砲の威力に風が舞い踊る。梓の盾魔法を瞬く間に貫通し、フェオの用意した物はまるで無かったかの様に。リノの起動した物も一本目、二本目と連撃で破壊されてしまった。

 迫る、二つの砲撃。当たれば絶対に無傷では済まない、その魔法。

 今からでは魔法の起動は間に合わないだろう。リノが自身の体を覆うように、腕を交差させた。

 その瞬間に、俺はリノの前へと滑り込んだ。右手には黄金の鍵。なりふり構わず、鍵の先を魔法へと向ける。

 そして、鍵へと魔力を流した。

 刹那。突如、鍵から黄金の魔法陣が12個放たれる。それらは一か所に集まり、まるで壁となって黒い魔法を防いだ。輝く魔法陣は消えずに、宙に浮遊している。

「セベット!? あんた、それ……!!」

 リノが後ろで叫んだ。それには答えずに、俺は鍵を少し振る。すると一つの魔法陣が中心に来て、止まった。

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