何故。彼女は俺の事を嫌いな筈なのにこうして接してくるのだろうか。
……そうか、俺の魔力が弱すぎる&魔法式がオリジナルで効力が弱かったのか。結果論から見ると嬉しいのだが、魔法として見るならば欠陥物でしかない。
「何って、今日でしょうが。お墓参り」
「そうだけど……お前、俺と行く時間ずらしたりしないの?」
「んー? いや、あんたのお姉ちゃんもお父さんも私と一緒の方が喜ぶと思うし」
「……確かに。あの父は絶対に喜ぶなあ」
「それに、私行き方分からないし。二人で顔見せたら、直ぐに別行動ね。本当に、嫌悪感しか無いから」
嫌悪感しか無いのか……。
合流し、会話が途切れた俺たちはどちらからともなく歩き始める。二人の距離は以前よりも大分開いているが、その程度の変化だ。
さて、俺の『惚れ魔法』が弱い事が証明されてしまった事で、確実に活路が見え始めた。やっぱり学年の下の中にオリジナルの魔法式を組むことは無理だった。自分特製の魔法は、どうしても前例が無いために手さぐりになる。大体は以前からある物の下位互換であり、本格的な知識を持ってなければ俺みたいに中途半端な結果しか得られない。魔法としての価値を認められるような魔法式を組むには、半年じゃ足りなかった。
所詮、付け焼刃。だからこそ、魔法解除魔法で壊しやすい。
しかしだ。魔法を勝手に他人へ使うことは法律で厳しく禁止されている。
催眠魔法や麻痺魔法を街中でばら撒かれたらテロと同義。街中での他人に対する勝手な魔法行使に対しては周囲の人間も攻撃をしていい事になっている。
さすがに王国の中で使うわけにも行かないため、やるならば墓地に行ってからだ。
太陽もすっかりと上って、街も昼の活気で盛り上がっている。楽し気な声が飛び交い、子供が走り回り遊戯小屋で一喜一憂する。
夏まであと一歩。初夏の気候は少し暑く、白いシャツのボタンを一つ開ける。
因みに服装は白のシャツに木綿の長ズボン。リノは白ワンピースに緑のカーディガンだ。歩くたびに周囲の視線を集めているが、本人は気づいていないかの様に前だけを見ている。時々、露店の動物に目を輝かせているのは指摘しない。すると怒られる。
実践済みだ。……数年前に。
そんなこんなで歩く事数十分。特に何も起きずに王国の城壁を出て、ある程度整備された道を通る。王国外にある村に住む人たちの為にも、馬や人が通りやすいように整備されている道は多い。
墓地にも通じる道はある。看板を見て、しっかりと記憶と照らし合わせてから進み、着いたのは毎年来ている、もう見慣れた墓地だった。
何個も並ぶ石碑の間を潜り抜けて、奥へ奥へと進む。
そこには、しっかりと二つの墓石があった。崩れても無いし、荒らされた形跡も無い。
「……久しぶり、父さん」
眠っている父へ向けて、言葉を発する。手に持った荷物から花を取り出して、墓へと供えた。