新「艦娘グラフティ」(第12部)   作:しろっこ

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司令 やれやれ、また来たか。

クマ 副大臣ってヒマなんだクマ。

タマ それならタマの手を貸しても良いニャ。

大淀 無事に降下できるのかしら?



第10話<降下着水>

「タマには痛い目に遭ったら良いと思うヨ」

 

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新「艦娘」グラフティ(第12部)

:第10話<降下着水>

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「この広場は、さほど広くない。私でもちょっと緊張したくらいだがアイツは大丈夫かな」

広場の横に来たとき武蔵が言う。

 

「でも昨夜のお前は余裕タップリに見えたが」

司令が言う。

 

彼女は少し恥ずかしそうに答える。

「いや……アレは実は強がりでな」

「へえ?」

 

軽く咳払いをして武蔵は続ける。

「戦艦の場合は特に動きが緩慢になり易い。日頃の鍛錬が欠かせないのだが、さすがに初めての場所に夜間降下するのは緊張するんだ」

 

「ウン、それ分かるネェ」

いきなり突っ込んできたのは金剛。

 

「ワタシも長女として頼られることが多いケド、ホントは不安に思うこともたくさんあるヨ」

その言葉に武蔵が金剛を見て頷く。

 

なるほど……戦艦というのは頼りがいが有る反面、メンタルはむしろ繊細だから人知れぬ気苦労もあるのだろうと司令は思った。

 

「来ました、来ました!」

比叡がオスプレイを指差す。

 

この比叡にしても同じ金剛型とはいえ、その挙動は、まるで一番末っ子のように見えるよなと司令は苦笑した。

 

しかし減速しない機体を見て秋雲が言う。

「オスプレイは減速しないんだ」

 

すると霧島が反応する。

「本来なら着陸すべきところを敢えて落下傘で降下するから速過ぎず遅すぎず……と言ったところね」

 

「副大臣さん、大丈夫かしら?」

榛名が心配する。

 

「アレはネ、タマには痛い目に遭ったら良いと思うヨ」

金剛の意外な発言に司令は目を丸くした。

 

「ニャア?」

何故かそこに居た多摩。

 

金剛型の姉妹たちはウフフと笑っている。そんな彼女たちを見て司令は思った。

 

 金剛も戦艦だ。合同作戦のときにも感じたが彼女には片言の日本語の端々に見え隠れする深い心情の世界があるんだ。

 

それを考えれば、たまに毒付くことがあったとしても何となく、それも含めて理解できるのだった。

 

 十分な高度を取ったオスプレイの後部から落下傘で降下する人影があった。

 

「あぁ、降りた降りた!」

巻雲が袖を振り回しながら言う。

 

武蔵も腕を組んで観察する。

「なるほどタイミングさえ合えば何とか行けるかな?」

 

 副大臣を無事に放出したオスプレイは、そのまま出雲方面へと飛び去る。同時に通常無線で艦娘たちにも聞えるように「サンキューという」通信が入った。

 

『あ』

それは美保の艦娘たちの多くが聞き覚えのある声……ケリーだった。

 

「なぁんだ、どうせ来ているなら降りたら良かったのに」

秋雲の言葉に、その場の艦娘たちも頷く。

 

「副大臣だけじゃない。ケリーも強引に『参加』したようだな」

司令も笑った。

 

 降下作戦を補佐するように周回をしていた美保鎮守府のオスプレイ。

弓ヶ浜の艦娘たちが無事に着水、回収されたのを確認して美保湾からルートを変更した。

 

 オスプレイの早苗から通信が入る。

『今回の美保湾での降下訓練は着水した艦娘の回収を以って無事に終了しました』

 

続けて伊吹。

『先のケリー中佐及び米軍司令部の指示により私たちは、もうしばらく周辺の警戒を続けます』

 

『了解』

司令部から大淀が答える。

 

青葉が呟く。

「なるほど……2機のオスプレイでキッチリ情報収集をしたようですね」

 

「そうだな。まあ大義名分がないと米軍もホイホイと出動できないだろ」

司令も応える。

 

続けて武蔵から入電。

『こちらも回収完了。感度良好だ……これより鎮守府へ戻る』

『了解』

 

「何とか終わったようだな」

司令はホッとしたように制帽を取った。

 

すると榛名が声を掛ける。

「あの……副大臣は結局どうなったのでしょうか」

『あっ』

 

全員が思い出したように声を合わせたとき寛代からボソボソとした声の通信が全体に入った。

『副大臣、埠頭前の海に着水したよ』

 

『着水?』

その通信に全員が顔を見合わせた。

 

「じゃ、私たちが回収に向かうネ!」

金剛の言葉に比叡が応える。

 

「はい! お姉さま」

高速戦艦たちは小走りに埠頭へと向かう。

 

「これは決定的瞬間のチャンスです!」

青葉も慌てて走り出す。

 

「やぁ、悪いことしたな」

司令は呟く。

 

すると秋雲が言った。

「でも……たまには必要なお灸だと思うなぁ」

 

「アハ、そーだね」

同意する巻雲。

 

「誰かタオル持ってきてくれるかな?」

司令が言うと寛代から入電。

 

『副大臣の回収開始……タオルは有るよ』

彼は苦笑した。

 

 美保の艦娘たちも、それぞれに強くなっているなと思う司令だった。そして彼らもまた広場から埠頭へと向かった。

 

「おぉい……」

直ぐに情けない声が無線に混じる。

 

 




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※これは「艦これ」の二次創作です。
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PS:「みほちん」とは
「美保鎮守府」の略称です。
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