副大臣はちょっと変わったか?
クマ
いや、もともと変わっているクマ。
タマ
でも、いつもお土産くれるニャ。
大淀
無事に降りて良かったですね。
「一瞬、殺意が芽生えたが」
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新「艦娘」グラフティ(第12部)
:第11話<副大臣>
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司令が到着する頃には埠頭では、ちょっとした騒動になっていた。
そこには手の空いた艦娘たちが群がっている。
彼女たちの声。
「副大臣さん落下傘なんてスゴイですね」
「えぇ? でも大臣さん軍人じゃないクマ」
「でも元々は兵学校も出ていたんですよ……確かぁ途中から政治の道へ」
傍で聞いているだけでも、あらゆる情報が錯綜(さくそう)している。
艦娘たちの会話は続く。
「何で海に落ちたの?」
「ホントは広場に降りる予定だったんでショ?」
「オスプレイから飛び出すタイミングを間違えたのかなぁ?」
「えっへっへ、ケリーさんがワザと遅らせたんじゃない?」
もう何でもアリになって来た。このままではケリーさんが悪者になりそうだ。
ふと見ると金剛と比叡の服が少し濡れている。
「ダイジン、スリムで助かったヨ」
「ホント、私とあまり変わらない?」
司令は思わず突っ込みを入れる。
「え? 本当にお前たちが引き上げたのか?」
ウインクする金剛。
「YES! 艦娘なら埠頭から降りて直ぐデスから」
「そう、お茶の子さいさいですよ!」
変な言葉を使うな。
すると全身ずぶ濡れでバスタオルを羽織った副大臣が司令に応える。
「オウ、王子登場か!」
この人も相変わらずだなと思いながら彼は応える。
「何ですか? 王子って」
すると副大臣はバスタオルで頭を拭きながら含み笑いをする
「中央ではお前、引き寄せの美保鎮守府ってことで有名人なんだぞ……何しろ横須賀からは武蔵に続いて日向の『引き抜き』だ!」
「……あぁ」
司令は制帽を軽く持ち上げた。
「いずれこうなると思っていましたから予定調和ですよ」
「ふっふーん」
副大臣は鼻で笑った。
「連れない奴だなぁ……まぁ良い」
彼は改めて髪の毛をバスタオルでクシャクシャと拭きまわしながら言う。
「今回は参ったよホントに!」
司令は苦笑した。
「大変でしたね」
「あぁ、海に落ちたときは死ぬかと思ったけどな……あの装備は水に浮くんだな」
副大臣の視線の先には榛名と霧島が黙々と片付ける落下傘の装備があった。
司令は続ける。
「そうですね。確か米軍のもので……あの国の装備は日々、改良されてますから」
副大臣は腕を組んで何度も頷く。
「そうだな。元帥閣下のお陰で米軍の装備が使えるというのは有り難い事だ。こういう体験は政治の場でも大いに野党連中への説得材料になるからな」
彼は、しみじみと感心している。
「まぁ人生塞翁が馬だ。ケリーに突き落とされたときには一瞬、殺意が芽生えたが結果的にはイロイロ悟りを得た」
(何だ、やっぱりケリーさんが突き落としたのか?)
ヤレヤレと思いつつも一応、司令は聞いてみた。
「ケリーさんとまた何か、あったんですか?」
「……変なことしたんでしょ」
すかさず巻雲が突っ込む。
すると副大臣は平然と応える。
「オスプレイに、たまたま米軍の艦娘が一緒でね。とてもグラマーな姉ちゃんだったからさ。ちょっとイチャついただけなのに……ケリーさん怒り出してね」
司令は呆れた。
「そりゃ当然でしょう?」
「いや、オレには艦娘は世界共通に扱えるかと思ったんだがな」
バカじゃないだろうか?
「壮大な勘違いですよ」
「むふふ、ピチピチな享楽……艦娘をきっかけに日米協定まで想いを馳せるわけだ」
話がいきなり飛躍し過ぎて司令は少し引いた。
「そう言う割には嬉しそうですね」
彼の言葉に副大臣はニタニタして言う。
「ああ、やはり日本男児にとっては大和撫子(やまとなでしこ)たる艦娘が最高だな。特に金剛と比叡……人生、苦有れば楽アリだ。実年齢は分からんが彼女たちのムチムチボディは……」
「ストーップ!」
慌てる美保司令。
「ちょっと……艦娘の手前って事も考えてくださいよ!」
今さら副大臣の尻軽さを咎めるつもりはないが美保鎮守府には秩序が必要だ。
気がつくと、この妙な光景を青葉が盛んに撮影していた。更にその周りを暇な艦娘たちが見物している。
「やれやれ」
司令は肩をすくめた。
さすがに空気を読んだ副大臣も応える。
「ああ失敬、失敬。まぁ、お前みたいな堅物が仕切っているから美保は上手く行っているとも言えるだろうし……済まなかった。細かい事は執務室で話そう」
そこで金剛が言う。
「ダイジンは丸くなったネ?」
その言葉に急に笑顔になる彼。
「えぇ? そうかぁ?」
比叡が続ける。
「そぉですね。前だったら、きっと海に落ちただけでも激怒されてたと思います」
「あはは」
頭をかきながら副大臣は笑う。だが確かに彼女たちが言う通り彼はちょっと変わったかも知れない。
すると落ち着いた風に彼は言う。
「オレも最近、時間があれば艦娘の訓練を見学するようになってね……海軍省の役人としては水に落ちたくらいでガタガタ言うのは見苦しいと思ったのさ」
『ほう』
この言葉にちょっと感心する司令と艦娘たちだった。
「まあ、お陰で今日は金剛姉妹のムチムチボディに……」
言いかけた彼は、司令の覚めた目にハッとした様に頭をかいた。
「済まんな、オレは病気だ」
自分で言っていれば世話はないな。司令は苦笑するばかりだった。
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※これは「艦これ」の二次創作です。
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PS:「みほちん」とは
「美保鎮守府」の略称です。