新「艦娘グラフティ」(第12部)   作:しろっこ

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司令 
そうか、武蔵はやっぱり。

クマ 
え? 武蔵ってすごいクマ。

タマ 
よく分からないニャ。

大淀 
武蔵さんもすごいですけど……。



第13話<回収された艦娘>

「密かに建造された子が運悪く太平洋かどこかで轟沈させ」

 

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新「艦娘」グラフティ(第12部)

:第13話<回収された艦娘>

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 微妙に呆れたような空気が流れた。

 

副大臣は弁解のように説明をする。

「美保以外の鎮守府では規模も大きいからな。こういうフレンドリーな付き合いが出来ないんだよ……いや何度も言うがオレはな、美保は、これで良いと思うんだぞ」

 

美保のことを褒められて機嫌を良くしたのか微笑んだ祥高が言った。

「お茶をどうぞ」

 

「ああ、では遠慮なく」

お茶をすすった彼は、ちょっと天井を見上げてから続ける。

 

「予算配分の厳しい昨今では他の鎮守府が建造して轟沈した子を何とか『回収』して復活させるって感じかな? ちょっとセコイが、まぁ現実的に、ほとんどの鎮守府が、それを狙っている」

 

「へえ」

司令は苦笑した。

 

「ただ、この回収も相当困難だ。何しろ敵だって弾が当たれば轟沈だからな……その上に運よく保護された子だって、顔かたちは艦娘でもスキルも記憶も無い。まっさらの状態……いわゆる『スキル・ゼロ』だ」

 

祥高が補足する。

「それは、ほぼ新造艦に近い状態ですよね」

 

「そうだな……まぁ、どういう理屈なのかは謎だが」

 

それを聞いた司令はかつてブルネイでの「復活」を思い出した。いわゆるサルベージ……狙って出来るほど簡単なことではない。

 

彼は言った。

「美保は小さいから意識した事はありませんが他の鎮守府は軒並み規模が大きいから建造を含めて艦隊運営も大変でしょうね」

 

司令の言葉に頷く副大臣。

「ああ。だから大和型なんて新造だとしてもホイホイ出来る物じゃない。ところが実際に回収された艦娘が武蔵だったから横須賀では大騒ぎになったんだ」

 

「つまり?」

 

「少なくとも横須賀以外のどこかの鎮守府……呉か神戸か……まぁ今さら追求はしないが、どこかの鎮守府で密かに建造された子が運悪く太平洋かどこかで轟沈させられて……それが、たまたま元に戻って保護されたのだろう」

 

祥高が口を開く。

「その武蔵は保護されてから順調に成長したのですか?」

 

副大臣は頷く。

「もちろんだ。当然、武蔵と大和でみっちり仕込んでいたが……半月ほど前かな? 元から居た武蔵が急に妙なことを言い出したんだ」

 

「いわゆる人為的な『スキル・ゼロ』に基づく配置転換願いでしょうか」

 

祥高の言葉に頷く副大臣。

「そうだ。やっぱり祥高は知っていたな……あの武蔵は賢い。自分の後継者が出来たからスキルを渡す代わりに自分を配置転換させてくれと言い出した。しかも先ずオレを捕まえて密かに申し出てきたんだ」

 

何かを言いかけた司令を、やんわりと押さえるようにして祥高が言う。

「スキル移動の技術は、あの舞鶴から来た医師だけが持ってますよね」

 

その言葉に副大臣は一瞬、驚いた。

「お前は本当に良く知っているよな……まぁ姉妹たちを思えば当然か」

 

それから直ぐに頷くと応えた。

「このことは元帥とオレと、祥高を含めてごく一部の人間しか知らないはずだ」

 

 苦笑する二人。やや蚊帳の外に置かれた司令。ただ彼は別段、疎外感も覚えなかった。彼が祥高と出会ってから万事がこの調子だから、そういった分野は完全に秘書艦に任せているのだ。

 

副大臣は続ける。

「祥高は当然としても解せないのは武蔵だ。あいつがなぜスキル移動のことを知っているのか? 大和ですら知らなかったんだぞ」

 

ちょっとボーっとしていた美保司令に副大臣は問いかけた。

 

「美保司令も知って居るだろう。君の顔見知りの舞鶴の参謀……アレの兄が医師でその技術と引き換えに司法取引、いわゆるクーデータの罪を逃れたことを」

頷く美保司令。

 

「彼は元気ですか?」

 

副大臣は続ける。

「ああ……まぁ彼については憲兵が四六時中、張り付いて監視しているが根は技術オタクだ。元々彼単独で国家転覆を図る気はない。軟禁状態であっても文句も言わずに仕事をこなしているよ」

 

美保司令は思い出した。

「そういえば、ここの正規空母たちの多くは彼の技術で……」

 

「え?」

それは知らなかったらしい副大臣は驚いた。

 

「何だ? アイツそんな技術も持っていたのか」

それを聞いた美保司令は、あの医師も実は、まだまだ手の内を隠している。思った以上に、したたかなのだろうと思った。

 

「いや……今は余計な事は後回しだ」

副大臣は頭を振って言った。

 

祥高が聞く。

「それで結局、武蔵はどうなったのですか?」

 

ちょっと表情を緩めた副大臣。

「ああ……スキル移動技術は公になっていない中で彼女としては一種の取引のつもりだったのだろう。オレに声をかけて後は頼む、という腹だろうと理解した」

 

「では、おじい様に?」

祥高の言葉に頷く副大臣。

 

「実質的に引退したとはいえ元帥の海軍での影響力は大きい。実は武蔵回収の件も公には伏せられていたのが幸いしてな。そのスキル移動を使って実質的には『すり替わった』んだ」

 

さすがに顔を見合わせた司令と秘書艦。

 

副大臣も頭を軽く叩いた。

「あとは元帥経由で米軍と話をつけて……闇夜に紛れて一気に美保へ移動だ。何しろオスプレイは静寂な上に脚が長いからな」

 

『……』

あまりにも見事な武蔵の作戦に言葉を失った司令と秘書艦だった。

 

副大臣は肩をすくめた。

「とにかく武蔵は策略家だよ。結果的には自分の願いを果たした上に、表面上は無用な混乱を抑えたわけだからな。ああいった戦艦クラスになると頭も切れる。しかも洞察力、先見性、思慮深さ……正直、あいつが人間だったら良い政治家になったと思うくらいだよ」

【挿絵表示】

 

 

彼の言葉には、その場の全員が苦笑した。

「だが実際には祥高が、一番切れるけどな」

 

『……』

その言葉に無言になる秘書艦と司令。彼は意味深な発言だなと思った。

 

司令は聞いた。

「で、日向は?」

 

「それだ! ……それが今回の肝だな」

副大臣は、改めてニタニタした。

 




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※これは「艦これ」の二次創作です。
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サイトも遅々と整備中~(^_^;)
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PS:「みほちん」とは
「美保鎮守府」の略称です。
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