司令
日向……
クマ
どうしたクマ?
タマ
様子が変だニャ。
大淀
そうね……やはりアレは普通じゃないのよ。
(日向も大井のようになってしまうのだろうか?)
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新「艦娘」グラフティ(第12部)
:第15話<決断と葛藤>
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鎮守府全体が急に騒がしくなった。
「到着したようだな」
副大臣がニタニタしている。
直ぐに内線が鳴った。秘書艦が受ける。
「日向さん到着ね? 分かったわ。下で全員待機させて」
電話を置いた彼女は言う。
「日向たちの部隊も到着しました」
司令と副大臣は一瞬、顔を見合わせた。
「来たな」
「ああ、降りよう」
本館の正面玄関ロビーは既に艦娘たちで、ごった返していた。
「押すなよ!」
ひときわ通る声で注意を喚起しているのは武蔵。
それでも駆逐艦娘を中心として艦娘たちが群れている。
司令たちが近づくと日向は改めて敬礼をした。
「司令……」
報告しようとした彼女は、なぜか言葉に詰まる。日向にしては珍しいなと司令は思った。
すると彼女の隣に居た髪の長い駆逐艦が代わりにシャンとなって報告する。
「えっと、横須賀から着任しました。日向隊長、以下駆逐艦2名です!」
「ご苦労」
司令は敬礼を返した。
「この清霜はな、私と縁がある子なんだ」
出迎えていた武蔵が言う。
「はい。武蔵さんと一緒になれてとても良かったです」
清霜も嬉しそうに言う。
「超弩級戦艦の武蔵さんと射撃の名手、日向さんと一緒に着任できるなんて最高じゃないですか?」
……その言葉に苦笑する武蔵と日向。
途中までニタニタして聞いていた副大臣も、さすがにバツが悪そうな表情に変わる。
敏感な艦娘たちも、その空気の変化に不思議そうな顔をして互いに向き合う。
祥高が言う。
「清霜と風雲は大淀さんに着任手続きをして貰ったら休んで下さい」
『はい』
敬礼をする二人。
続けて祥高は日向を振り返る。
「執務室で貴女の詳しい状況を聞きましょうか? 日向さん」
「はい」
秘書艦に促されて2階へ向かう彼女。
その後姿を見送りながら周りの駆逐艦娘たちが不安そうな表情をしている。
司令のそばに副大臣が近寄ってきて言う。
「そういえば日向って無愛想な雰囲気に似合わず不思議と駆逐艦たちから好かれるんだよな」
司令は応える。
「横須賀でもそうだったのですか」
「ああ……ただそれは彼女に高度な能力があればの話だ。恐らくそれが無くなった今、彼女がどうなるか……」
司令は聞いた。
「では、これから一緒に彼女の話を聞きますか」
副大臣は頷いた。
「ああ、そう願いたい。実はオレにしては珍しく、彼女の件では未だに悶々としていてね」
「彼女に良かれと思ってやったのでしょ?」
「そりゃそうだが」
副大臣は顔をしかめた。
「良心の呵責って言うと大げさだが。戦艦とはいえ艦娘にスキル移動という、あまりにも大きな決断と葛藤を背負わせてしまったかな? ……ってね」
「……」
司令は黙って腕を組んだ。
二人が執務室へ入ると日向と秘書艦、それに武蔵が居た。
祥高が口を開いた。
「武蔵さんも同席を希望されましたが」
「ああ、構わない。いわゆる『先輩』としての意見も伺いたいところだ」
司令の言葉に頷く彼女。
「ああ、心得た」
祥高は室内の全員を改めて見回してから日向に言った。
「艦娘のスキル移動と共に配置転換を願う流れは私たちも大まかに聞き及んでいます。貴女からは、むしろ個人的な心象を聞かせて下さい」
「はい」
淡々と、しかし元気なく答える日向。
美保司令が意外に思ったのは日向の変わりようだった。
今までの彼女は控え目とはいえ、ほのかな自信すら感じられる安定した雰囲気を持っていた。
ところが今の彼女は、少々おどおどしたような状態だった。
その姿を見て彼は、ある艦娘を思い出すのだった。
(まるで、かつての大井みたいだな)
彼は、ふと嫌な予感がした。
(ひょっとして……日向も大井のようになってしまうのだろうか?)
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※これは「艦これ」の二次創作です。
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「美保鎮守府」の略称です。