新「艦娘グラフティ」(第12部)   作:しろっこ

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司令 
艦娘の伝統か。

クマ 
電灯? 何だクマ。

タマ 
違うニャ。伝統だよ。

大淀 
武蔵さんって、深いんですね。



第19話<痛みの記憶>

 

「歴史的背景が私にはあるのだろう」

 

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新「艦娘」グラフティ(第12部)

:第19話<痛みの記憶>

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「リコンすると……どうなるの?」

改めて質問する日向。

 

これに祥高が応える。

「人間には何とも無いけど。リコンした艦娘は精神に破綻を来たす子が、ほとんどなのよ」

 

「……」

日向は無言だったが、ちょっと震えているようにも見えた。

 

雰囲気を和ませるように副大臣が大げさな口調で言った。

「祥高姉妹がケッコンがらみの法整備で尽力したんだよな」

 

「ええ……」

事実、そうなのだろうが少し恥ずかしそうな顔をした秘書艦だった。

 

「しっかし、よく分からんが」

副大臣がソファーに反り返って言う。

 

「リコンとスキル移動で現れる症状が似ているというのは妙だな」

 

「ちょっと気になるのだが」

ここで武蔵が深刻そうな表情になる。

 

「スキル移動の逆、つまり新たに他の艦娘のスキルを受けた者には似たような影響というのは無いのかな?」

 

司令も彼女に聞く。

「武蔵のスキルは、同じ武蔵に渡したんだよな」

「そうだ」

 

「それって、同型艦なら良いだろうが、もし仮に戦艦クラスのスキルを巡洋艦とか駆逐艦に移したらどうなるんだ?」

 

この言葉に一同はハッとした。

 

 一部の者は思わず祥高を見た。状況的に似ている……つまり祥高型とは試験的に戦艦の戦闘能力を巡洋艦に乗せたものだった。

 

「だが祥高たちが変になった事はない。むしろ頭脳も腕力も優秀なままだぞ」

副大臣の発言に、再び場が和んだ。

 

 武蔵が青葉に聞く。

「その辺りの情報は掴んでいないのか? 青葉」

 

「えっと……」

慌ててメモを開く彼女。

 

「そもそも的にスキル移動自体が公式的なものではありませんから……」

そう言いながらページをめくり続ける彼女。

 

「ただ……そのぉ、言い難いのですが」

青葉は特定の項目を見つけたようだ。

 

「あの大井さんって確か舞鶴に居ましたよね……司令もご存知でしょうけど」

 

「ああ……」

彼女に言葉に一瞬頷いた司令は直ぐにギョットしたような表情になる。

 

「おい、まさか……彼女が当時スキル移動をしてたとでも言うのか?」

 

「いえ……」

司令の表情に少し引き気味の彼女はそれでも続けた。

 

「あくまでも噂ですけど……いろんな情報を繋ぎ合わせると、どうも彼女はスキル移動技術を使ったような事例が多くて」

 

 すると突然、日向が頷く。

「その噂、聞いたことがあるな」

 

「まさか……」

美保司令は深刻な表情になる。

 

 確かに当時の彼女は妙に焦っていた。もともと彼女は感情の起伏が激しい子ではあったが。

 

「しかし、それが彼女の轟沈と関連があるのか?」

 

 司令は、ふっと大井が沈んだ冬の舞鶴の海戦を思い出した。彼にとっても痛い記憶だが、大井にとっても同様だろう。

 

秘書艦が言う。

「大井を、ここへ呼びますか?」

 

「いや……まだいい」

司令は否定した。正直、彼自身の整理が付いていないこともあった。

 

 それに、仮に事実がそうだったとしても、彼女がすんなりそれを認めるとも思えなかった。プライドの高い彼女であればなおさらだろう。

 

 祥高は話題を変えて日向に尋ねる。

「だいぶ整理が付いたのかしら、日向さん」

 

「はい」

 

やや間を置いてから彼女は口を開いた。

「横須賀でスキルを削除して、私は何て小さな存在なんだと思った。こんな状態で果たして異管する二人を連れて無事に美保へ行けるのだろうか……と葛藤もしたんだ」

 

執務室は静まり返る。

 

「だが先発した武蔵が言った言葉が……」

そこで何かを思い出そうとして詰まる日向。

 

 すると武蔵が腕を組んで口を開いた。

「我々は単なる兵器じゃない。生きて、姉妹として、新しい歴史を美保の地でつくろうぞ……と言ったな」

 

少し微笑む武蔵に、日向も笑顔で返した。

 

「へえ」

これは感心する副大臣。

 

日向は改めて続けた。

「私には、艦娘の新しい歴史といわれてもピンと来ない。でも艦娘という文化の流れ……姉妹は左右だが親子は上下関係だ。つまりそれが新しい歴史になるんだといわれた」

 

「へえ、凄いですね」

こっちも感心している青葉。

 

それを聞きながら、司令は言った。

 

「まったく……武蔵は哲学者のようだな」

 

「そうだな……きっと、そういう歴史的背景が私にはあるのだろう」

武蔵も微笑んだ。

 

 




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※これは「艦これ」の二次創作です。
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