新「艦娘グラフティ」(第12部)   作:しろっこ

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司令 
駆け引きか、苦手だな。

クマ 
えぇ? 司令は駆けっこするクマ?

タマ 
違うニャ。魚釣りだニャ。
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大淀 
フフフ、どちらも違うわよ。でも……美保の課題ね。



第21話<オスプレイ墜落>

「ほう、やはり宿毛に居たか」

 

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新「艦娘」グラフティ(第12部)

:第21話<オスプレイ墜落>

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 内線を受けながら秘書艦は少し深刻そうな顔をした。それを見ながら司令も専用端末の液晶画面を見た。

 

実は副大臣も海軍省が支給した同類の端末を持っていた。彼も自分の端末を見てから呟くように言った。

「おい」

 

「ああ……」

司令も頷く。二人の端末の画面は緊急事態を告げていた。

 

そんな二人のやり取りを見ながら内線電話を置いた秘書艦は青葉に言った。

「青葉さん、有り難う。戻って結構です」

 

「……は、はい」

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何か新しい情報が得られるかと思った彼女は、ちょっと残念そうに敬礼をして退出する。

 

それを見送るようにしてから秘書艦、祥高は口を開いた。

「お二人にも通達が来たと思いますが……ケリーさんのオスプレイが墜落しました」

 

二人の男性は頷いた。

 

司令が聞く。

「原因はまだ分からないよね」

 

秘書艦も頷く。

「はい……ただ場所が日向灘付近で、米軍の依頼で直ぐに宿毛湾泊地の艦娘部隊が救援に向かったそうです」

 

「宿毛湾か」

副大臣は少しホッとしたようだ。

 

その時、再び内線が鳴った。

「はい」

 

受話器を取った秘書艦は少しやり取りをした後、自分のデスクに移動した。

「……そうね。分かったわ、確認します」

 

恐らくまた緊急事態かと思った司令だったが、彼女はあくまでも冷静だった。

 

祥高は少しの間、自分の端末を確認してから顔を上げた。

「司令、この鎮守府のネットワークにもサイバー攻撃が仕掛けられています」

 

「何?」

反応する司令。

 

秘書艦は続ける。

「現状は大淀さんと霞ちゃんがブロックをしています。一部、侵入したウイルスも排除しました」

「そうか……」

 

「米軍からも注意を喚起するメールが来たそうです」

それを聞いた副大臣は何故かニタニタしていた。

 

怪訝そうな顔をする司令に彼は詫びた。

「済まん、政治家をやっているとな、こういう非常事態があるとつい、ニタニタするクセがついてしまってね」

 

その時、彼の携帯が鳴る。一瞬、画面を見た彼は呟いた。

「珍しいぞ……出雲からだ」

 

「姉から?」

祥高の返事を待つまでも無く、彼は電話を受ける。

 

「オレだ……」

最初はニヤけていた彼だったが、直ぐに深刻な表情に変わった。

 

「……分かった。直ぐに全軍に指示が出るだろう……ああ、オレも戻る」

 

電話を切った彼は言った。

「直ぐ中央に戻らないといけない」

 

司令は聞く。

「そちらも緊急事態ですか?」

 

「ああ、そのサイバー攻撃は、ここだけじゃない。軍令部、中央省庁、全ての公的機関に一斉に仕掛けられたらしい」

 

立ち上がって身支度を始めた彼は言った。

「オレの予想だと、オスプレイが落ちたのも無関係ではないかもな」

 

「なるほど……」

司令も頷く。

 

副大臣は続ける。

「出雲が言うには全鎮守府に、特命が出るらしい」

 

「特命?」

司令は不思議そうだったが、既に何かを知っているような秘書艦が補足する。

 

「各鎮守府から選抜隊を編成して反撃を加えます」

「反撃って……敵は?」

「まだ特定されていませんが、ほぼ見当は付いているようです」

 

副大臣も続ける。

「深海連中と、どこかの国が連合してるな」

 

その時、秘書艦が何かに反応する。

「どうしたの? 寛代ちゃん……」

 

それを見た司令は、きっと寛代が何か受信したのだろうと思った。

 

やり取りをする中で彼女の表情が次第に明るくなっていく。

「そう、それは良かった……引き続き新しい情報が来たらお願いね」

 

二人の男性は固唾を呑んで見守った。

 

祥高は口を開いた。

「ケリーさんたち、オスプレイの乗員は全員の無事が確認されました」

「ほう」

「それは良かった」

 

「……なお」

秘書艦は続ける。

 

「この安否情報は、現地に居た別の部隊から……」

そこまで言ったとき外線電話が鳴った。

 

「珍しいな」

司令が呟くと、いったん大淀さんが受けたらしい。直ぐに内線で呼び出し音が鳴る。

 

「はい……ちょっと待って下さい」

秘書艦が保留ボタンを押して司令に声をかける。

 

「司令にお電話です」

「こんな時に……誰だ?」

「ええ……」

困惑したような祥高に、取り敢えず司令は電話に出た。

 

『あらぁ、ボクちゃん。お元気だった?』

「あ……」

それは、あの『クネクネ武官』だった。

 

『やぁね、そんな顔しなくても良いじゃない』

まるで自分の反応を見透かしたような彼の台詞に司令は苦笑した。

 

秘書艦も困惑していたが、司令のやり取りを聞いた副大臣は内容を悟ったようだ。

「ほう、やはり宿毛に居たんだな」

 

意味ありげに呟く副大臣に秘書艦は問う。

「ご存知だったのですか?」

 

「ああ……」

彼は、またニタニタした。

 

「祥高は石見から聞いてなかったか? 宿毛にはイタリアだ。そして呉にはだな……」

そこで今度は司令の携帯に着信だ。

 

「はい?」

慌てた司令はイタリアとの電話を早々に切り上げて、直ぐに携帯を取る。そもそも彼の端末は、ほとんど軍関係……元帥や統括官ぐらいからしか来ないのだ。

 

だが受話器の向こうから聞えた声を聞いた彼は驚愕した。

『お元気かな?』

 

「……え?」

それは紛れも無く、あのドイツ武官だった。

 

司令の反応を見た秘書艦は、直ぐに事情を察した。

「呉にはドイツ武官と……U511ですか」

 

司令の電話の相手は続ける。

『ミス・ケリーは無事だ。また今回の背景は落ち着いて説明したいところだが……取り急ぎオスプレイの無事を伝えよう』

「有り難うございます」

『フフフ、相変わらずだな、君は……また近いうちに、再会出来ることを楽しみにしているよ』

そう言って彼は電話を切った。

 

「驚いたな」

呟く司令。

 

副大臣は言う。

「何となく察してくれたと思うが、宿毛湾近海をリベッチオとイタリアが、呉周辺にはU511とドイツが情報収集活動を展開中だ……もちろんもと元帥閣下は承諾済みだから誰も何も言わないよ」

 

少し肩をすくめて彼は続ける。

「恐らく彼らは相当な情報を集めている。そして、なぜ彼らは美保に電話をしてきたと思う?」

 

副大臣の問い掛けに司令は何かを察した。

「あ……そうか。意図的に傍受されることを?」

 

その答えに頷く副大臣。

「諜報活動とは、こういうことだ。高度な駆け引き……まあ人の良いお前が美保の司令官というのは未だに解せないがな」

 

その言葉に司令は、ただ苦笑した。正直それは彼が一番自覚している。

だが諜報部隊以前に、なぜ艦娘だけの鎮守府に自分なのか? それが一番理解し難かった。

 

それに以前、祥高姉妹に言われた言葉が気になっていた。

『貴方は艦娘との親和性が高いのよ』

 

その言葉の真意は彼自身、よく分からなかった。

ただ気がつけば彼は祥高とケッコンしていたし、娘も生まれた。

 

彼女たちは、そういったことも含めて未来まで見越した言葉だったのだろうか?

 

 

 ちょうどその頃、ブルネイの泊地でもネットワークから大混乱が生じていた。

 

「提督、大変です!」

【挿絵表示】

 

慌てふためいた大淀が執務室に飛び込んできた。

 

「hey、大淀。らしくないネ」

ソファで紅茶をすすっていた金剛が顔を上げる。

 

緊急事態とは裏腹に余裕タップリの金剛の姿……その落差に、戸惑う大淀だった。

 

「えっと……」

視線を上げた彼女は、金剛の向こうの窓辺に提督の後姿を認めた。

 

助けを求めるような声で大淀は言った。

「提督……」

 

窓の外を眺めなから腕組みをしていた彼は振り返る。

「金剛の言う通り『お前らしく無い』といえばそれまでだがな……事態は、かなり酷いか?」

 

既に、ブルネイの緊急事態を予測したような彼の言い方……

(ああ、これが私たちのいつもの提督だ)

 

彼女は何があっても動じない、いつもの彼の姿に心がスッと落ち着くのだった。

 

(なるほど、だから金剛さんも、いつも落ち着いて居られるのね)

すべてを包み込む大きな人……そんなことを思いながら彼女は報告をする。

 

「はい、緊急回線も含めた全てのネットワーク回線がダウン、一部にウイルスが侵入しています。明石さんと夕張さんが復旧を試みていますが……」

 

提督は問い掛ける。

「侵入経路は、まだ分からないか?」

 

「それが……」

やや言葉を濁らせる大淀。

 

だが提督は言う。

「あの美保から持ってきたシステムか?」

 

言葉を選ぶようにして大淀は説明する。

「恐らく……そうです。美保のデータ自体が巧妙なバックドアに成っていたようです」

 

直ぐに金剛が反応する。

「じゃ、それを作ったアメリカが犯人ね?」

 

すると首を振る大淀。

「いえ……攻撃を仕掛けたのは……」

 

そこで提督が口を開いた。

「第三勢力……恐らくシナ辺りだろ?」

 

彼の言葉に少し驚いたような大淀。だが、この洞察力の高さも提督なのだ。

 

彼は改めて全てを悟ったように頷いた。

「取り敢えずシステムの処置は、お前たちに任せる。オレはオレで動かにゃ成らんな……」

 

「はい」

事態は緊迫しているが、それでも大淀には安心感があった。

この提督の元に居る限りは、何が起こっても絶対に大丈夫だという気持ちになる。これがブルネイなのだ。

 

外の景色を見詰めながら思案をしていた提督は、結論を導くように言った。

「そうだな……いい機会だ。アイツを呼ぶか」

 

「アイツ?」

呟く大淀。

 

「ねえ、アイツって誰?」

金剛も問い掛ける。だが提督は、それ以上は何も言わなかった。

 

窓の外の椰子の木が、風で揺れていた。

 

 




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※これは「艦これ」の二次創作です。
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サイトも遅々と整備中~(^_^;)
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PS:「みほちん」とは
「美保鎮守府」の略称です。
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