そういえば祥高型姉妹って名前が不思議だな。
クマ
えぇ? 司令は考えたこと無いクマ?
タマ
そうだニャ。旧国名だニャ。
大淀
そうね。でも秘書艦だけ名前が……。
「旧『出雲国』に絡んでいるのも、やっぱり偶然ですか?」
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新「艦娘」グラフティ(第12部)
:第22話<因縁>(改1.2)
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「さて」
スマホの画面を見ていた副大臣は立ち上がった。
「空軍美保基地の定期便に席を設けてくれるようだ。午後いちばんの便で入間(いるま)へ飛べる。そこから中央へ戻るよ」
「では空軍基地まで、誰かに送らせましょう」
司令が言うと副大臣は笑った。
「いや、陸軍からも今回、中央へ行く人が居るらしくて彼らの車が、ここに立ち寄ってくれる手筈(はず)になっているんだ」
その言葉に思わず顔を見合わせる司令と秘書艦。
祥高は微笑んだ。
「手回しの良さは、相変わらずね」
「ははは、祥高に言われると返す言葉も無い……ホラ、来たようだぜ」
窓辺から見下ろす副大臣。ちょうど陸軍の車が鎮守府玄関に到着したようだった。
そのことを内線ではなく無線を受けたらしい秘書艦も反応する。
「……あ、寛代ちゃん? そう、分かったわ」
それを見ながら司令は言った。
「この地域では陸海空の連携が取れているのが幸いですね」
それに頷いた副大臣。
「ああ、まったくだ。中央では何かと世知辛いんだよ。だからオレは美保に来ると、この土地の雰囲気にホッとするな」
「田舎だからですか?」
司令が聞くと彼は苦笑した。
「いや、ソレばかりじゃないんだけどね」
そう言いながら彼は鞄を抱えて軽く敬礼をする。
「迎えも来たようだから、失礼するよ」
司令も応える。
「せっかくですから私たちも降りて陸軍に挨拶しましょう」
副大臣を先頭に三人は揃って執務室を出ると、そのまま鎮守府の玄関へ向かった。
階段を下りながら何気なく副大臣が言う。
「こういう小さい鎮守府も良いものだな」
司令も反応する。
「そうですね、最初は何かと違和感がありましたけど、慣れたら使い易いものです」
一同が一階のエントランスホールから外へ出ようとすると、ちょうど訓練を終えた神通が入口から入るところだった。
彼女は言った。
「あ……今、お呼びしようと思っていました。陸軍の方が来られています」
「ああ」
神通は微笑むと、副大臣に会釈をして自らドアを開いた。玄関近くには数名の駆逐艦娘が居たが彼らの姿を見てサッと後ずさりをした。
正面玄関ロータリーには既に陸軍の車両が停まっていた。驚いた事は陸軍米子駐屯地の司令が、わざわざ降車して出迎えてくれたことだ。
困惑する美保司令と秘書艦を見て陸軍司令は敬礼をして微笑んだ。
「艦娘の皆さんにはお世話になっています。実は今回、私たちも市ヶ谷に行く用事がありましてね」
そう言いながら彼は軽く制帽を持ち上げて副大臣に近寄った。
「貴方も水臭いな。何度もこちらに戻って居るなら、私にも一声かけてくれれば良いのに」
それは意外にも少し砕けた言い方だった。
(この二人は何か関係があるのだろうか?)
美保司令は思った。
「あ、あはは……」
なぜか、やや硬直した副大臣。
陸軍司令が振り返る。
「お二人なら話しても大丈夫でしょう……この副大臣と私は旧知の仲なのです」
「へ?」
思わず変な声が出る美保司令。ただ秘書艦は知っていたらしく平然としていた。
だが続けて発せられた副大臣の台詞に二人は驚く。
「いぁ、幼なじみが地元の指揮官になると、ちょっと抵抗感があるからな……」
『え?』
といった表情の海軍の二人に副大臣は言った。
「隠すつもりも無かったけどね。オレも陸軍司令も、ここの出身なんだよ」
「あ、そういえば……」
美保司令は地元の古い代議士を思い出した。
「ここの埋立計画を出した人……何十年も前の話だったかな? 地元初の総理になるって言われた破天荒な大臣が居ましたね」
すると副大臣は頷いた。
「ああソレ、オレの爺さん」
「え?」
思わず絶句する美保司令だった。
陸軍の運転士に鞄を渡しながら副大臣は続ける。
「だから陸軍司令とオレたち……お前も含めた我々は、同郷の士ってことだ。まぁ、これに祥高も絡んでね……因縁めいた感じもするな」
「因縁ねえ……」
陸軍司令も苦笑していた。
「昔から、君が話し出すとキリが無いよな。そろそろ行こう」
「あぁ悪りぃ、悪ぃ。空軍も、あんまり待たせたら迷惑だからな」
そして車両に乗り込む直前に副大臣は美保司令に言った。
「だいたいオレとお前は、もう義兄弟なんだから……落ち着いたら、もっと驚くこともイロイロ話してやるよ」
そして見送りに出てきた数名の艦娘たちにも軽く手を振って彼らの車両は出発した。
「副大臣さんって相変わらずですね」
駆逐艦を連れた神通が苦笑している。
「トンだ義兄弟だよな」
司令も腕を組んで呟く。
するとその様子を撮影していた青葉が近づいて来た。
「あの副大臣も調べると相当な曲者ですけどね……とっても興味深いですよ」
「例えば?」
司令の返事に待ってましたとばかりニタニタする彼女。
「青葉も最初、彼が頻繁に美保に来るのは艦娘目当てだとばかり思ってたんですよ」
その言い方に司令は首をかしげた。
「え? 違うのか」
同じ思いは、神通をはじめその場に居た他の艦娘たちも同様だったらしく、お互いに顔を見合わせていた。
青葉は、やや得意になって続ける。
「一種のカモフラージュっていうか……もちろん下心もあるとは思いますが彼なりに諜報活動の下地を作ったりしているみたいです」
「諜報? 美保で」
司令はちょっと意外な表情だ。
「はい。そもそも美保は過去に何度も深海棲艦だけじゃなくて、シナの攻撃を受けました。それだけ艦娘は注目されているんです」
「なるほどね」
そうは言ったものの司令は半信半疑だった。
青葉はメモを開いた。
「シナだけじゃないンです。ロシアも、それに米国だって強い関心を持ってます。だから彼らの目を敢えて、この山陰地方に向けさせるために美保鎮守府を設置したという分析も出来ます」
「一種の囮(おとり)ね。わが国の中央から眼をそらせるために」
かつて横須賀に居た祥高は、まるで青葉に同調するかのように応えた。
しかし彼女たちの言葉が未だに飲み込めない美保司令。
「そりゃ考えすぎじゃないか?」
思わず否定の言葉が出る。
しかし青葉は、尚もつけ加える。
「美保に来た、あの原潜も単独で建造されたとは考え難いですよ?」
「まさか……」
思わず秘書艦に視線を送る司令。
それに併せたように青葉は畳み掛ける。
「青葉の想像ですが、恐らく米軍は原潜建造は一隻だけという条件をつけたはずです。でも、せっかく貴重な技術供与を受けるんです。もし艦娘みたいにわが国が独自に姉妹艦を造っていたら……どうです?」
美保司令は思わず副大臣と彼の影に今なお暗躍しているだろう前の元帥を連想した。
しかも彼は祥高たち姉妹の祖父と言う、これまた理解し難い関係がある。
そんな思いを抱く司令を見透かすように青葉が突っ込む。
「祥高型の二人の姉妹の名前が出雲と石見って、旧『出雲国』に絡んでいるのも、やっぱり偶然ですか?」
……この言葉に少しビクッとする祥高。
だが青葉は怯まずグイグイ来る。
「戦艦並みといわれた祥高型の三姉妹も未だに軍事関係者からは注目されているんです。それを誰が? なぜ? 意図的に封印したのかも気になりますし」
その言葉に、居心地が悪そうにソワソワし始める祥高。それは司令にも意外な反応だった。
(そういえば妻でもある祥高のことは私も、ほとんど知らないな……。元帥の孫らしい、とういことくらいだ)
まるで聞いてはいけないことを聞いてしまったと言う表情の神通。駆逐艦娘たちは、そもそもこの話の背景が理解出来ておらずポカンとしている。
「そのくらいになさい、青葉」
突然、凛とした声が響いた。全員が振り返ると加賀だった。
「加賀さん」
ホッと安堵したような祥高。残念そうな表情を浮かべる青葉。
落ち着き払った加賀は、その場を仕切るような雰囲気で言った。
「司令、この場はいったん、解散と言うことで宜しいでしょうか?」
「ああ。そうだな」
司令が言うと、加賀は頷いて神通や青葉に目配せをした。神通たちはさっと敬礼をした。青葉も渋々……といった表情で敬礼をして、立ち去る。
後には、美保司令夫妻と加賀だけが残った。
(そういえば、この加賀も祥高に匹敵するくらい、謎が多い子だな)
司令が、そう考えていると、加賀が口を開いた。
「勝手なことをして申し訳ありません司令。ただ、ある筋から私に打診がありました」
「打診?」
不思議そうな顔をした美保司令に、加賀は微笑んだ。
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※これは「艦これ」の二次創作です。
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PS:「みほちん」とは
「美保鎮守府」の略称です。