ミステリアスな感じは加賀らしいな。
クマ
ミステイク?
タマ
違うニャ。ミスタイプ。
大淀
(私も皆から、そう思われているかしら?)
「青葉さん、記者として大切な事は?」
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新「艦娘」グラフティ(第12部)
:第23話<提督からの打診>
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「司令」
加賀は澄ました顔で彼を見た。
「その件については、ご相談を希望します」
周りを窺(うかが)うようにした彼女は小声で司令に言った。
相変わらずのポーカーフェイスだが決して怒っているわけでもない。
(この子は赤城さんと同じ一航戦ながら実に対照的だな)
彼は、そう思って一瞬静止した。
その様子に何かを感じたのだろう。加賀は少し首をかしげて言った。
「司令? 何か」
「あ、いや……分かった。執務室へ行こうか」
一瞬焦った彼は、それを隠すように体の向きを変えた。
歩きかけた司令は思い出したように秘書艦を振り返る。
「祥高さんも一緒に」
「はい」
彼らはエントランスから2階へと向かった。
やがて執務室に入った3人はソファーに腰をかけた。
司令と向き合うようにして加賀。その隣に祥高さん……内線で彼女は、お茶を頼んだ。
司令は受話器を置いた秘書艦を見詰めながら加賀の雰囲気は何処となく彼女にも似ているなと思うのだった。
すると当然、今度は秘書艦に突っ込まれた。
「あの……どうかしましたか? 司令」
「いや……」
少し慌てるようにした彼はメモを取り出して改めて加賀を見た。
「……で? 報告じゃなくて相談とは」
「はい」
彼女は澄まし顔で髪に手をやって思い出すような素振りを見せる。
(そもそも『相談』という物言いからして彼女らしいな)
彼は思った。
おもむろに加賀は口を開く。
「ブルネイの金城提督から『こっちへ来ないか』と打診がありました」
「へ?」
素っとん狂な声を出した司令。
「それは『遊びに来ないか?』という意味ですね」
直ぐに祥高さんが補足に入る。頷く加賀。
(いくら金城提督でも、いきなり他所の艦娘を分捕るような真似はしないだろう)……落ち着いて考えれば直ぐ分かりそうなことだった。司令は早合点した自分が恥ずかしくなった。
だが加賀は意味ありげに微笑んだ。
「……でも、『ずっとブルネイに居ても良いんだが』という彼の想いは伝わって来ました」
その言葉に慌てる美保司令。
「おいおい」
「冗談です」
ニコリともしないで応対する加賀。
「ははは」
乾燥した笑い声と共に脱力する司令。
(何だかこの子は……不思議だよな)
着任直後の加賀には、いかにも何かを隠している雰囲気に満ちていたのは確かだった。
さすがに今はそういった印象はなくなった。凛とした面持ちはそのままだが、明らかに心の壁は消えたように思えるから不思議だった。
一呼吸置いた彼女が続ける。
「話が前後しました……打診の内容は、表向きはブルネイ視察。でもホントの狙いは別にあるようです」
「別?」
汚い字でメモを取っていた司令は顔を上げた。
加賀は落ち着いて応える。
「はい。今回の大規模侵攻作戦に関連して私の手を借りたいそうです」
「へえ」
司令の手が止まった。
一瞬、考えた加賀は補足するように言った。
「私が行くことでブルネイにとっても実のある陽動作戦になるそうです」
「なるほど」
それを聞いた司令は直ぐに笑顔になった。転んでもタダでは起きない金城提督らしいなとも思った。この状況で、もしそれが他の人物だったら司令も厳しい表情になったことだろう。
祥高さんも微笑んで口を開く。
「ウフッ、こんなタイミングで、わざわざ加賀さんに声をかけて来る所が彼らしいわね」
その言葉に司令も苦笑しながら言った。
「もちろん、君一人じゃないよな」
「はい。二人くらい連れてきてもらえると助かると……人選は任せるそうです。じっくり考えて欲しいと」
淡々と応える加賀。
「じっくりねえ……」
その言葉は逆に緊急を要するという意味だろう。
これが普通の提督からの依頼であれば、失礼極まりないものだろう。だが美保司令にとっては金城提督からの依頼は逆に信頼の証に感じるのだった。
秘書艦は言う。
「加賀さん自身は、どう思われるの」
「私は……」
その時、誰かがドアをノックした。
「はい」
秘書艦が応えると、お茶を持って青葉が入ってきた。
しかもエプロン姿で。司令は呆れた顔をした。
「何だ? その格好は」
「えへへ」
いつもの笑みを浮かべながら、お茶を配る彼女は言う。
「司令……実は青葉、お願いがございまして」
「何だ?」
お茶を受け取った彼は彼女の顔を見た。
「オフレコにしますから、そのぉ青葉も、この輪に加えて欲しいなあ……って」
「……」
(何となく、そんな事だろうなと思った)
司令は秘書艦を見た。
「祥高さんは、どう思う?」
彼女は、お茶をすすりながら青葉を見た。
「青葉さん、記者として大切な事は?」
彼女はエプロン姿のまま、いきなり敬礼をする。
「はい、真実の追求と情報源の守秘義務です!」
こいつも真面目なのかふざけているのか、よく分からないなと司令は思った。
だが、それを聞いた祥高さんは微笑んだ。
「ウフ、貴女らしいわね……良いわ、座って頂戴」
「はい」
チラッと司令を見る秘書艦。司令も軽く頷いた。
座りながら一瞬ポケットをまさぐった彼女は直ぐに「あ」と小声で自分の手を押さえた。
そして『オフレコ……』と自分に言い聞かせるように呟いた。
この一連の騒ぎに全く動じることもなく澄ましたままの加賀。
場が落ち着いたのを見計らって、お茶を置いた彼女は口を開いた。
「先ほどのブルネイ行きについてですが私としては抵抗はありません」
「そうか」
司令は軽く腕を組んだ。
金城提督と過去にイロイロあったにせよ、一度は彼を傷つけようとした『前科』もあるわけだが。それも含めてのことだろうか?
彼がそんなことを思っていると加賀は司令を見て答えるように言った。
「もちろん彼を傷つけようとした事は確かですが、だからと言って、このままずっと避け続けるのも得策ではないと思います」
「なるほど」
普段の物腰から何となく分かってはいたがハッキリした考え方だ。
(そして今ではそれをキチンと自分に伝えるようになったんだな)
その真っ直ぐな姿勢は加賀らしい。
青葉はメモを取りたくてウズウズしていた。
「はぁ」
小声でため息を吐いた彼女。はやる気持を抑えるように、ちゃっかり持ってきた自分のお茶をすするのだだった。
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※これは「艦これ」の二次創作です。
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「美保鎮守府」の略称です。