一条定家の奮闘記   作:笑 花弥

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 気がつけばUAは1500。お気に入りは40になってました。こんな駄文しか書けない作者の物語を読んで頂きありがとうございます。

 一部ではありますが、南辺 こよりさん。koronaさん。k_mamyさん。敬称略としてここに名前のない三十七名の読者の皆さん。お気に入り登録ありがとうございます。

 昔投稿していた『一条定家の奮闘記』をお読みになっていた方々にも最大の感謝しかありません。

 この程度の物語しか書けませんが、何卒続きの方もよろしくお願いします。

 中途半端な話数で入れた謝辞ですが本当にありがとうございます。


本歌 八首目

「あ! 定家くん! 詩暢ちゃんの幼馴染みってホント! どんなかるた取ってたの? どうな――」

 

「今それ、関係ないやろ?」

 

 選手控え室に戻ってきた僕と奏先輩を迎えたのは、千早先輩の空気が読めない言葉。思わず怒った感じで言ってしまったが、言ってしまった以上しょうがない。

 

「クイーンの幼馴染みが誰とかやのうて、今は全国大会のことやろ?」

 

「ああ、一条の言うとおりだ。俺たちの目標は全国優勝。なら、そこをしっかり見るべきだ」

 

「けど、負けても出られるって言うのは良いよな。すっごい気が楽――」

 

「何言ってんの?」

 

 部長が気を引き締める言葉をかけ、そこにサボり癖のある優征先輩が、全国行きを楽観する言葉を発したのだが、それに対して千早先輩が発言する。

 

「日本一って言うのは、一度もどこにも負けないってことだよ?」

 

 先程とは打って変わって、ピシッと両手の人差し指を二本立てた強欲な先輩に一同は言葉を無くす。

 

「ねえ一条?」

 

「何や? 花野」

 

「私さっき北央の部長が言ってたことを聞いたんだけど……」

 

 二年がごちゃごちゃと話し合っている隙に、花野から小声で話を聞くと、なるほどなと理解できる作戦を考えているのを教えてもらう。

 

「へ、へぇ。どうせ二年が出ると思うから、部長を甘糟さん。他二人は誰が相手でも勝てると。A級の二人を無視して、楽に三勝しようなんて言っとんか……」

 

 ピクピクっとこめかみをひくつかせた三人は、誰が相手でも勝つ! と、僕の予想通り先輩達が怒り始めた。

 

「部長。さっきは会場に居らんですんませんでした」

 

「いや、そっちにも事情があったんだろ? ならいいよ」

 

「ホンマすんません。謝るついでに一つおねがいが……」

 

 厳しいところもあるが根は優しい部長に、少し難しいおねがいを僕はしてみた。

 

 ◆◇◆◇◆

 

『北央学園と瑞沢高校の、決勝戦のオーダーを読み上げます』

 

 静かになった会場でアナウンスが入り、僕たちはじっと両校のオーダー発表を待つ。

 

『北央学園甘糟くん。瑞沢高校綾瀬さん』

 

「「えっ!?」」

 

『北央学園亀田くん。瑞沢高校大江さん』

 

 順番に発表されるオーダーを聞く選手の中で、驚きを見せないのは二人。

 

『北央学園城山くん。瑞沢高校一条くん』

 

 一人は、あらかじめこの形に、大将同士、副将同士が戦う可能性を頭に置いていた瑞沢高校の一条定家。

 

『北央学園宅間くん。瑞沢高校駒野くん』

 

 そしてもう一人は、北央学園のオーダーを操ることで、全力の戦いをしたいと願っている人物。

 

『北央学園木梨くん。瑞沢高校真島くん』

 

「オイ! ヒョロッ! 何考えてんだよっ! お前の予想したオーダーと全然違うじゃんか」

 

 胸ぐらを掴んで怒る北央の部長を、顧問の持田が止めに入るが、木梨は少しも動かない。

 

「省エネってなんですか……。うちは北央学園じゃないですか……」

 

「あ?」

 

「大将が大将がと当たって、副将が副将と当たって……。それで勝たなくてどうするんですかっ! 東京で一番強いのは北央学園。なによりおれが! それを見たいんだっ!」

 

「東京で一番強いのは北央? 何当然のこと言ってんの」

 

 突然現れた金髪できつね目の男性に両校のメンバーはガタガタと震えているが、僕はどこかで顔を見た気がして、記憶の中を探っていく。

 

「ああ、山城さんの読手の講義に出てた人」

 

 その言葉に反応した両校のメンバーに、件の男性、須藤暁斗は発言する。

 

「今日は持田先生に頼まれて、決勝の読手を」

 

 ――なに北央の選手がちんたらすんな。

 

 凍えるように冷たい一言に顔つきが変わった北央の選手たちに、さらにとても強い圧力が加わっていく。その雰囲気に気圧される中で、後ろから宮内先生が一人に一つずつ襷を置いていく。

 

「昨日思いついたんです。なんとか間に合って良かった」

 

 皆で襷を締め、その涼しさと動きやすさに感謝する。五人全員で先生に頭を下げ、そして、目の前の相手に目をやる。

 

「君、君付けで呼ばれてたけど、本当に男子? すっごく可愛いね」

 

 名前は確か城山。何故か二本ぐるぐるのヘアピンを付けているがこの際どうでも良い。

 

「そうですかありがとうございます。お誘いは嬉しいですけど残念ながら僕は男です。まあとりあえず」

 

 ――叩き倒すから堪忍してな。

 

 口には出さずに謝罪の言葉を告げるとにっこりと可愛らしい笑顔で一言伝える。

 

「お互い思い通りの試合になるようがんばりましょ」

 

 チラチラと目に映るぐるぐるピンを頭に付けた山城くんには悪いが、今回は色々としなければならない。何一つとして流れを渡さない。ターンなど来させない。

 

「とりあえず皆さん。一枚ずつ拾っていきましょ」

 

 無理なわがままを聞いて貰った。そして、そのわがままを突き通す。それができなければ意味が無い。だがら、一息吸って声を張る。

 

「東京で一番強いのは瑞沢! 行くぞっ!」

 

『オウッ!』

 

 慣れてはいない掛け声を出しチームの士気を上げ、その後、須藤による序歌がの読まれ始める。

 

『なにわづに さくやこのはな ふゆごもり いまをはるべと さくやこのはな――』

 

 思ったよりもずっと低く、深く響く声の序歌が。

 

 始まり終わる。滋賀へと進む最後の試合が、熱い予選のゴングとして。




 大学が始まったこともあり、良くて一日に一話投稿になります。

 一気に書ける日は二話三話と投稿する所存です。

 新生活の疲れをちょっと抜く程度に、当作品をよろしくお願いします。
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