一条定家の奮闘記   作:笑 花弥

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 オリキャラが出て来ますが、本編とはほとんど関わりません。気にせずにお読みください。(今のところは)


本歌 二首目

 月日は巡り、近江神宮で行われた全国大会から、気がつけば次年度の春になっていた。

 

 今日は瑞沢高校の入学式。わざわざ東京へやってきた定家は、真新しい高校の制服の袖を通し、学校から通達された集合時間に合わせてアパートを出た。

 

 電車に揺られること約三十分。サラリーマンと学生たちに揉まれながら電車で通学し今現在……。

 

「えっと、一条……で良いよな。一条はどこの中学出身? あ、俺は唐根智也(からねともや)

 

「僕か? せや、一条定家(いちじょうさだいえ)や。『テイカ』やのうて『さだいえ』やから気ぃつけてな。それで場所やったな、僕は京都の中学から来たんやわ。よろしゅうな智也」

 

 新しく在籍する事になった一年十組のアクティブなクラスメイト、イケメンの部類に入るであろう男子生徒と会話していた。

 

「いきなり呼び捨てかよ」

 

「嫌なんか? こっちは仲良うなりたいなぁなんて思うとるんやけど」

 

「いや、お前女子並みに綺麗だから下の名前で呼ばれるのドキッとする」

 

 なんでや……。今日は制服やからそんなに女の子っぽくならんはずやねんけどな。いつも通り音は聞きやすいように片耳は出してるし、下を見やすいように眼鏡は軽く下げてるぐらい……。

 

「艶やかな髪と言い、片耳だけ出すスタイルと言い、更にクールな眼鏡とかどこの女帝生徒会長だよ」

 

 それか! それかいなっ! 今すぐ耳直すっ!

 

「けど、耳隠しても女顔だから変わんねぇけどな。声も女性っぽいし」

 

「智也、僕ちょっと嫌いになったわ」

 

 ごめんごめんとかなりの勢いで謝る智也を余所に、教室の扉を開けて担任が入ってきた。席に着くことを促された僕たちは割り振られた席に着き、諸注意を聞くと入学式が執り行われる体育館へと向かった。

 

「それと一条。お前出席番号一番若いから仮の代表よろしくな」

 

「なんでやねんっ!」

 

 叫んでしまった僕は悪くない。

 

 ◆◇◆◇◆

 

 長ったらしい入学式は終始恙無く進んで行き、そのまま新入生歓迎の部活動紹介へと移っていた。

 

 女子たちはここぞとばかりに話始め、男子も男子で好き勝手遊び始める。そんなざわざわと騒がしい雰囲気の中でも、予定は狂わずに行事が進んでいく。

 

「定家は部活どこに入るか決めてる?」

 

「僕は一応競技かるた部に入るつもりや。小さい頃から家でやってるからな。そう言う智也は?」

 

「俺はバイトするから帰宅部」

 

『百人一首競技かるた部部長の真島太一です』

『キャ……キャプテンの綾瀬千早です』

 

 そんな時、舞台に現れたのは袴を着た美男美女。

 

「おいおい、お前あのキャプテン狙いでとかじゃ無いだろうな」

 

 いやいや、目がハートになっとるあんたやないねんから。

 

「多分奏先輩の作戦やろな。かるたの説明やなくてインパクトのある二人だけ出す。上手いこと考えとるわ。女子は部長に、男子は千早先輩にハート飛ばすやろうからな」

 

「ちょっと待て、『奏先輩』って女子か! 女子なのかっ! それに、『千早先輩』っすでに名前で呼んでんのっ!?」

 

 新しく出来た友達が女好きであるというどうでも良い事実など気にせず舞台を見る。

 

『私、かるた百枚と友達になるのが目標で、後輩も百人欲しいです』

 

 天然キャプテンの抜けた発言に場が笑いに包まれる中で、イベントはどんどんと消費されていった。

 

 ◆◇◆◇◆

 

「何この状況……」

 

 あれ? 前にもこないなことを言うた気がするんやけど。これがデジャブか。

 

 本校舎から少し離れた元生徒会室。他の部活が練習する場所から遠く静かと言う理由でかるた部の部室になったこの場所の中では、五人の先輩達の間に不穏な空気が漂っていた。

 

「こ、こんにちわ……。どないしたんや、これ」

 

「さ、定家君! どこに行ってたんですか」

 

「学級の仮代表に決められてしもうてその仕事を。そんで、新入部員は入ったん?」

 

 それが……。と言い淀む奏先輩からことの顛末を聞き出した僕は、大きなため息を吐いた。

 

「部活動紹介のやり方は良い考えやったのに、その後やな。そもそも、かるたなんてもんは物好きしかやらんのに、デモンストレーションなんかするからやん」

 

 かるたの体験ができると講義やらをしているわけではなく、またイケメンの部長とお近づきになるためにその二十人は来たはず。なら、部長を餌にしてでも繋いでおかないといけないはず。

 

「でも、せっかく二十人入って来たんだし」

 

「千早。……お前が本気で名人・クイーン戦目指すなら、後輩を育てる時間はないんだぞ? 部活休んで白波会で練習した方が良いんじゃないか?」

 

「おい真島! なんだよ名人・クイーン戦ばっかり! その前に高校選手権だろ」

 

 先のことを見据えて同意を求める千早先輩に、名人・クイーン戦を優先する発現をした部長。だがそれに優征先輩は異を唱える。

 

「教育係は私がします。厳しい中でついてこれる子だけ残せば良いんです」

 

「そうだね。高校選手権はおれたち五人がいれば戦えるし、それに一条がいれば心強い」

 

「なんで、一年生にかるたが好きになって貰わないとかるた部が……」

 

「何言ってんだよ。勝っていくのは俺たちだろ?」

 

「むしろ、僕は千早先輩の意見の方が理解できますけどね」

 

 思わぬ所からの助け船に先輩達は一斉に僕を見る。

 

「千早先輩の言うてることは、ここのメンバーの誰かが抜けたときとか、卒業してからのことを言うとるはずでしょ? いくら僕が補欠に回ったって変われるのは一人だけ。それに、先輩達が三年になれば進学やらなんやらでそもそもここに来れんようなるやから、先輩達ほどの強さは求めんでも、人は必要なんやし」

 

『かるた部』として現状を見るのであれば、五人の中で正解に近いであろう発現をしているのは千早先輩と優征先輩。

 

「奏先輩や勉先輩が言うてることも分かるし外れてないとは思いますけど、『部活』のことを考えるんやったら、部長が言うとることは外れとるんやないですか?」

 

 なんか熱くなってすみません。と、出しゃばった気がした僕は、のに物を買うという口実の元部室から逃げ出した。




 ここの内容って、オリ主を混ぜても書くことないんですよね。花野ちゃんがメインになっているので。ただ、そこに絡ませるのも違うかなぁと考えるウチに時間がかかりました。

 次はできる限り速く出したい。(願望)
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