IB〜インフィニット・ベースボール   作:エンリコ・プッチ

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今回は野球回です。IS全く関係ないです。


2回 休日

ぬわああああん疲れたもおおおおおん

 

突然裕之の携帯が鳴った。

 

「はい、吉田です。」

 

「オオー裕之!俺だ!週末さぁ、草野球の試合あるんだけどお前来てくれないか?」

 

「あぁ〜いいっすよ〜」

 

「さすが裕之だ!試合は10時から、○○球場でやるから遅れんなよー!」

 

「取り敢えず試合の2時間前には行けるようにしますよ」

 

裕之はそう言うと電話を切った。そして、

 

「(っ'ヮ'c)ウゥッヒョオアアァアアアァ」

 

裕之が少し壊れた瞬間だった。

 

そして金曜日の放課後。裕之は寮の外で1人素振りをしていた。

周りには誰もいない。自分ひとりだけの空間。裕之は表情一つ変えず黙々とバットを振り込む。

 

「今日はこんなもんでいいな」

 

裕之は1人呟きながらバットをケースにしまって、寮の自室に戻った。

IS学園の寮は基本的に相部屋なのだが、裕之は1人で部屋を使っていた。

夕食は茶碗一杯のご飯、バランスを考えて選んだ御菜をバランス良く摂って、すぐに部屋に戻ろうとしたが、

 

「あ、裕之ちょっといいか?」

 

一夏だった。裕之は少し不機嫌気味に、

 

「なんだ一夏、どうした」

 

「明日って暇?暇だったらどこか遊び行かないか?」

 

「悪い。明日は試合あるんだ。」

裕之は明日半年ぶりに試合に出ることになっていた。

 

「じゃあさ、俺も見に行っていいか?」一夏は裕之に聞いた。

 

「いいぞ。場所は○○、時間は10時からだからな。じゃ、俺は寝るから。おやすみ」

 

「あ、ああ。おやすみ」

一夏に時間と場所を教えて自室に戻っていった。

 

 

 

次の日、朝6時に起きた裕之は試合に行く前の準備をして、球場に向かった。しかし…

 

「貴様、何をしている。」

 

千冬だった。裕之は物怖じせず、

 

「野球の試合行くんですよ。」

ただ一言、そう伝えて学園を出ていこうとした。

 

「待て。場所はどこだ。」

 

「○○球場で10時試合開始ですよ」

 

「そうか。なら乗れ。送っていってやる。だが怠慢なプレーは許さんからな。」

 

「俺には野球しかないんで怠慢なプレーなんてしませんよ。」

 

裕之は自信ありげに答え、千冬の車に乗った。

 

 

時間は10時になろうとしていた。グランドではシートノックを終えた両チームがそれぞれ試合前にミーティングを行い、素振りやキャッチボール等をしていた。裕之がスタンドに目を配った。すると、

 

「おーい、裕之!頑張れよー!」

 

一夏がいた。近くにはクラスの女子が数人ではあるが球場に来ていた。一夏以外には時間も場所も教えていない。一夏から聞いたのか、昨夜の会話を聞いていたのかどうかは解らないが、応援する人がいることに対しては裕之は感謝していた。

 

「おー!サンキュー!」

 

裕之は一夏に一言答えるとベンチに戻り、整列する準備を始めた。

 

審判がグランドに出てくる。両ベンチが整列の準備を済ませていることを確認すると集合をかけた。

 

 

試合が始まった。裕之のいるチームは後攻だった。この試合、裕之は3番サード、初回から打席が回ってくる。裕之は久しぶりの試合に興奮していた。

 

1回表、相手チームのバッターが打席に立つ。体は小さいが、足のある左バッターだと予測した裕之は、少し前に守備位置を取った。

カウント1-2からの4球目、打球は裕之のいるサード側に転がしてきた。初回からセーフティバントで出塁を図ったのだ。

しかしサードにいるのは全国MVPの裕之。バッターがバントの構えをするや否や、裕之はプレスをかけてトップバッターをアウトにしたのだ。サード側のスタンドから歓声が上がる。

 

「吉田君って、案外凄いんじゃない?」

 

スタンドにいた女子の一部が裕之に注目していた。

 

その後は2番、3番とピッチャーが三振に抑えた。

 

裏の攻撃、1番が倒れ、2番が四球で塁に出た。右打席に立つ裕之。最初の打席は直球に的を絞っていた。しかし、その狙っていた直球を見逃す。相手のピッチャーの持ち球を探っていた。

 

全く手を出さずカウント2-3。裕之が遂に動いた。

インコース高めのスライダーをレフト線に引っ張って余裕のツーベースヒットを打った。

 

スタンドから「おおっ!」と歓声が上がった。裕之はスタンドを見ず、相手の動きをよく見ていた。

 

しかし、4番が倒れ、先制とはならなかった。

 

その後は両チーム共にピッチャーが踏ん張り、お互いに点が取れない。

7回表、1死2、3塁にランナーを背負う。ヒット1本で2点は免れない状況で打席に立つのは5番バッター。

自分より二回りは大きい体格で、中○翔のような長距離バッターだった。

 

その5番バッターが初球から打ってでた。打球は裕之のいる三塁線にライナーが飛んだ。裕之が咄嗟の反応でライナーに飛び込む。ボールはパァン!と乾いた音を立て裕之のグラブに収まった。

裕之は三塁ランナーが飛び出していたことを見逃さず、慌てず三塁ベースに駆け込み、ダブルプレーでチームの危機を救った。

 

スタンドからは歓声とため息が同時に聞こえていた。裕之はチームメイトとハイタッチを交わすとベンチに戻っていった。

 

その後も両チーム譲らず9回裏、2死ランナーなし。打席に立つのはこの試合2安打打っている裕之だった。

 

初球、スライダーが外角に外れ0-1。三塁側スタンドからは裕之に対する声援が飛んでいた。

2球目、同じく外角にストレート。裕之これを見逃し1-1。

 

裕之はインコースのストレートを張っていた。外角は全て見逃し、インコースのストレートをレフトスタンドに放り込むイメージはできていた。

 

しかしインコースのストレートが来ない。相手は外角に徹底していたのだ。

 

(なんだよ面白くねぇなぁ…)

 

裕之がそう思っていた刹那、インハイにストレートが来た。しかし裕之は仰け反った。完全に気を抜いていた。裕之の野球人生の中で初めて試合中に気を抜いた瞬間だった。

 

すかさず裕之がタイムを取る。一呼吸置いて再度打席に立つ。

 

カウント2-2。追い込まれてはいるが精神的には余裕があった。アウトコースに的を絞り直していた。

ファールで3球粘った後の8球目、アウトコースにストレートが来た。

 

裕之はすかさずバットを出した。打球は綺麗な弧を描いてバックスクリーンに直撃する、サヨナラホームランとなった。

スタンドからは大きな歓声が上がり、裕之も右手を突き上げて大きく喜びながら、サヨナラのホームを踏んだ。

 

 

学園の寮に戻ってきた。その時、

 

「きゃーっっっ吉田君よ!!」

 

「今日カッコよかったよ!」

 

「また見に行くね!」

 

クラスの女子は掌を返したような態度で裕之は困惑していた。

 

「お疲れさん。今日凄かったわ。」

 

「あ、ありがとな」

一夏からも労いの言葉を貰った。しかし…

 

「オイ。吉田。最後気を抜いただろ。怠慢なプレーは許さんと言ったはずだぞ?」

 

千冬から拳骨が飛んできたのは言うまでもなかった

 

「す、すいません織斑先生」

 

即座に頭を下げる裕之。

 

「まぁいい。以後気をつけるように。」

 

裕之は野球の実力を見せつけた。だがISの適正は覆らない。今度はISで見返してやろうと思いながら就寝する裕之であった。

 

 




今回は野球回と言うことでIS抜きで書いてみました。
機会があれば他にも試合の描写を書きたいなとは思っています(書くとは言ってない)
次回はクラス代表の件です。
今後とも、よろしくお願いします
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