本当にありがとうございます。今回でクラスマッチ編は終了となります。
「さあて、ここからは短期決着だ。ガヴリールが頑張っている間にこっちで会長をつぶす。」
悠人はそういうと会長のクラスである3-Aに向かった。
「悠人、みんなで行った方がいいんじゃないの?」
私は聞いた、大人数で行った方が勝ちやすくなるのではないかという私の疑問だ。
「いや、少なく行った方がいい。その理由は…」
「理由は?」
「まあ、行けば分かる。っと悪い、ちょっとトイレに行かせてくれ。」
「分かったわ、行ってらっしゃい。」
悠人はそういうとトイレの方へと走っていった。
「さてと…悠人が帰ってくるまで何をしていようかな…」
その時、背後にいた一人の女子生徒に私は気づかなかった。
◆
「ヴィーネ、悪い、待たせちまったな…ヴィーネ?」
悠人がトイレから出るとそこにヴィーネの姿はなく代わりに紙切れとヴィーネの端末が置いてあった。
「これは?」
そういうと悠人は紙切れを見た、そしてそれを見た悠人は表情を歪ませた。
「野郎…やりやがったな!!ヴィーネを人質に取りやがって…上等だ!やってやるよ。」
そういうと、悠人は紙切れをクシャリと丸めヴィーネの端末だけを持って走り出した。
紙切れの内容は以下のとおりである。
『あなたの大事な人を奪いました。返してほしければ3-Aまで来ること、もし、来なかったら彼女さんはどうなるかしらね…』
校内アナウンスで2-Aと2-Bの敗退を告げたらしいけどその時の悠人はそんなことはどうでもよく、ただ単に怒りに任せていた。
◆
「ヴィーネ、大丈夫か?」
紙切れを受け取ってからものの5分と立たずに悠人は3-Aまでやってきた。
「あらあら、そんなに息を荒くして、よほど彼女が傷つけられるのが嫌だったのね。」
奥から出てきたのは先週、悠人たちに宣戦布告した会長さんだった。
「そんなことはどうでもいい、ヴィーネはどこだ?」
悠人は表情を変えないまま、会長に詰め寄った。
「良い顔ね、大須賀悠人、貴方のそういう顔が見たかったわ。安心して、彼女さんは我がクラスの人たちがしっかりと預かっている。ねぇ…大須賀悠人、取引をしないかしら?」
「取引だと?」
そういうと会長は悠人に近づき言った。
「ええ、彼女さんとあなたのクラスの旗を交換するの…もちろん、約束を守ってくれたのなら彼女さんはすぐに開放してあげる。どう?悪い手じゃないでしょ?」
「この野郎…」
悠人には何かこみ上げてくるものがあった。
つまり、会長はこう言いたいのだ。
『自分たちは一切の手を汚さず、旗を盗る』という作戦に…
「くっ…」
「彼女さんとこの試合の勝利、あなたならどちらが大切かわかるでしょう?」
悠人はがっくりとしてトランシーバーでガヴリールに伝えた。
『ガヴ、作戦変更だ。旗を持って3-Aまで来い、そして、防御隊の解散を命ずる。』
『ああ、分かったよ。お疲れ。』
ガヴリールにトランシーバーで伝えた悠人は会長にかって出た。
「会長さん、今、僕の友達が旗を持ってこっちにやってくる。さあ、ヴィーネを開放してもらおうか…」
「ふふふ、あなたにやっと勝てた、大須賀悠人、お前は負けたのだよ。」
会長は完全に勝利していた、というか勝利を確信し、高笑いをしていた。
その時、悠人のトランシーバーが受信を開始していた。
『悠人、これはどういうことよ、なんで私のカバンの中に2個も旗があるのよ。』
その言葉はサターニャからのトランシーバーだった。
悠人は会長を見てにやりと笑うとサターニャに告げた。
『サターニャ、それは大悪魔になるための最期のカギだ、今すぐ、そいつを先生に渡せ、それでお前は大悪魔だ。』
『分かったわ、というかもう先生に渡したけど…』
『ご苦労、後は、屋上に行って攻略組の解散を命じてくれ。』
『分かった、それじゃ、行ってくる。』
サターニャとの通信が切れたタイミングで会長が悠人につかみかかった。
「大須賀悠人、これは一体何の真似だ。お前たちは私たちのところに旗を持ってくるはずではなかったのか?」
その時、校内アナウンスでラフィエルのクラスの1-Cと会長の3-Aの旗が見つかり、よって僕たちの1-Bの旗だけが生き残り1-Bの優勝が決まった。
というアナウンスが放送された。
悠人はニヤッと笑って会長の腕を払い、ポケットに手を突っ込み、いった。
「お前たちの事だ、恐らく、こういう作戦に出るんじゃないかと思った。だからこっちはそれに乗ったんだよ、お前たちは僕がヴィーネを奪われて我を失い、狂ったように見せかけて実は最初からこのクラスマッチは僕たちが勝つようにされていた。」
「ど、どういうことよ、最初、旗はあの金髪の少女が持っていたんじゃないの?」
会長は敗北のあまり、女王気取りではなく素に戻っていた。
「会長、もっと人を疑う努力をしないといけないよ。ガヴが持っていたのは僕たちの旗ではない…もちろん、会長の旗でもない。」
「じゃ、じゃあ誰のクラスの旗を持っていたっていうのよ。」
「答えを教えてやるよ。そのお堅い常識にしかとらわれない頭でよく聞いていろ。『誰のクラスの旗でもない。』これが正解だ。」
その時、会長は閃いた。自分が最初から悠人の手の中で動かされていたことを…
「じゃあ、まさか、偽物?」
「そういうことだ、ルール上、
「でも、だったらなぜ、初めの方で渡さなかったのよ、そうすれば、貴方は勝っていた。」
悠人は会長に顔を近づけると下衆な笑みを浮かべて言った。
「決まっているだろ?その方が
何も言えない、会長はがっくりと崩れた。
こうして、クラスマッチは悠人たち1-Bの優勝で幕を閉じた。
◆
え?ヴィーネはどうしたかって?
もちろん、この後、会長がしっかりと返してもらったよ。その時のヴィーネの表情を見て、『ああ、勝ってよかったな』ってつくづく実感させられたな。
クラスに帰った悠人とヴィーネは個人MVPを獲得した。
ガヴリールは健闘賞をもらったらしいけど…
「よっしゃ、優勝したから、この後、打ち上げだ!!」
と、だれかが大きな声で言って全員がそれに乗っ掛かった。
◆
「良かったわね、優勝できて…」
みんなが帰った後、私は悠人と2人でいた。
「ああ、そうだな…これも、みんなのおかげだよ。」
悠人は空を見上げ、言った。
「なあ、ヴィーネ、聞いてくれるか?」
悠人はいつもとは違う、真剣な表情で言った。
「うん?何?」
私はその表情に圧倒され、聞いた。
「ヴィーネ、会長の時はああ言ったけど本当はすごく怖かった。君に何かあったらってずっと思っていた。頼むからもう、僕を1人にしないでくれよ。」
その言葉はいつもの悠人ととは違う、何か新鮮さがあった。
「悠人、大丈夫だよ、私は決して1人にはさせない。それに、たとえ悠人が暴走しても私がしっかりとそばにいるよ。」
私は悠人の手を握りながら言った。
「ヴィーネっ」
その言葉を言った後、私に抱き着いてきた。
私は悠人の頭をずっと撫でながら言い続けていた。
『悠人…大丈夫だから…大丈夫だよ…』
その言葉はまるで今の悠人に元気をくれるような言葉だった。
もう…悠人君許すまじ、(失礼しました。)と、いう訳でいかがだったでしょうか。
クラスマッチ編が終了したので次回からは少しずつシリアスな展開に変わっていくと思います。
次回からは夏休みの話を書いていけたらなと思います。
では、次回の『やはり彼女は駄天使には相応しくない』第十話でお会いしましょう。