悠人の家の勉強合宿2日目
悠人はいつも通り朝4時に起床をした。
「ふぁ~、よく寝た…っともうこんな時間か…みんなを起こさないようにしてっと、5人居ると狭いなここも…」
悠人はそう言うと眠っているみんなの足場を避けて通り、キッチンに行った。
「よし、それじゃ、みんなの朝飯でも作るか…」
悠人はそういうと、鍋、お釜、フライパンを手際よく出してきて朝食を作り始めた。
「よし、今日の朝食はご飯と、味噌汁と、卵焼きだ。多分あの中には日本人は誰もいないけど…まあ、気にしない。これが、日本の味ってやつだ。」
悠人そういいながら片手で卵を焼き、もう片手で味噌汁を作り始めた。
ご飯はお釜からしっかりと時間を測って作っている。
「よし、それじゃ、みんなを起こすか…」
悠人はそういうと私たちのいる寝室に足を運んだ。
「おい、起きろ、朝飯の時間だぞ!」
その声に反応したのはガヴリール以外の3人だった。
「おはようございます。兄さん。」
「おはよ、悠人。」
「おはよう、悠人。わぁ…」
私は悠人のエプロン姿に少々のときめきを感じつつもガヴリールを起こしに寄った。
「ガヴ、ほら、起きなさい。朝よ。」
ガヴリールはその声に反応することなくただ、寝息を立てているだけだった。
悠人はそんなガヴリールを見て、ニヤッとしながら言った。
「大丈夫だ、こういう時に頼もしいのがいる。アリス。」
悠人がそう言うと、ガヴリールのパソコンからアリスが登場した。
『おはようございます。皆さん、マスター、何の用事ですか?』
悠人は一言だけ言った。
「やれ。」
『はい』
アリスは悠人の意図を考え、頷くとガヴリールのパソコンの音量ボタンをMaxにし、そして次の瞬間、
「ギャギャギャギャギャギャーーー」
という機械音声が鳴り響いたかと思うとガヴリールが寝ぼけたまま言った。
「な、なんだ?どっかで事故でもあったか?」
ガヴリールは慌てたままきょろきょろと周りを見渡した。
その時に悠人はエプロン姿のまま言った。
「おはよ、ガヴ、ずいぶんと気持ちよく寝ていたじゃないか…朝飯が出来ているぞ。アリスにネットワークを遮断されなかったらすぐに行ってくるんだな。」
その言葉は鬼に金棒だった。
ガヴリールは飛び起き、ドタバタと食卓のところに行った。
悠人は笑顔になって言った。
「さて、ガヴも起きたし、みんな行こうか…」
私たちは、悠人の表情を見て、うわぁ、やべえなこいつと思った。
◆
朝食は悠人が作っただけあってやっぱりおいしかった。
少なくとも私よりも家事はできるなと思った。ちょっぴりだけ悔しかったのは内緒。
悠人はみんなの食事具合を見て、私たちに話した。
「そうそう、今日の午後、僕とアリスは研修に行ってくるけど…来たい人いる?」
私は悠人の研修がどういうのか見てみたくなった。
「私、着いて行ってもいい?」
悠人は私を見て、にこっと笑うといった。
「いいよ、それじゃあ、他の人は自宅できちんと課題をやっていること。アリスには自宅のカメラも同時で録画しておくからやってなくてもわかっているからな。」
私は悠人はやっぱり悪魔だわと思った。
午前中はしっかりと勉強をした。
ガヴリールは何度もアリスに注意されながらだったけど…
「それじゃ、僕たちは研修に行ってくるからきちんと勉強しておくんだぞ。特にガヴとサターニャな」
午後になり、悠人と私はアリスを連れて研修に行くことにした。
ガヴリールが玄関前で悠人に言った。
「へいへい、ちゃんとやっているよ。心配すんなって。」
そういってガヴリールは部屋に帰って行った。
「それじゃ、僕たちも行こうか、アリス、ヴィーネ。」
『はい、マスター。ヴィーネさんも今日はよろしくお願いします。』
「うん、こちらこそ、よろしくお願いします。」
私たちは玄関の扉を開け、外に歩き出した。
「行ったか…」
私たちはアパートの近くにいた人物に気づいていなかった。
◆
悠人は研修って言ったけど私にはどこに行くのか見当がつかなかった。
悠人はそんな私を見て言った。
「今から行くところはちょっと遠いけど…まあ、いいところだよ。」
そういうと悠人は駅に向かって歩き出した。
私は悠人に聞いた。
「ちょっと、駅に行くの?」
悠人は何を言っているの?というような表情をしていった。
「うん、その後で新幹線にも乗るけど…アリス、時間は大丈夫か?」
『はい、マスター、目的地の
「そうか…ご苦労様。」
悠人とアリスのやり取りの中で私は聞き逃せない単語があった。
「ちょっと待って?今、京都大学って言った?」
悠人はうんと頷き、再び足を駅に向けて歩き出した。
◆
新幹線を経由して何とか京都大学まで来たところで悠人はパソコンを開き、アリスを呼びだした。
「アリス、着いたぞ。」
『ふぁ~、了解です。では、衣装をチェンジしますね。』
悠人はあっけにとられている私を見て不思議そうに言った。
「どしたの?ヴィーネ?」
私はぼーっとしていた意識を捨てて、悠人を見た。
「何でもないよ、それより京都大学で研修を受けるの?」
悠人はにこやかにうなずいて言った。
「うん、まあ、そんなところ。それじゃあ、行こうか…」
私たちはゆっくりと大学の中に入って行った。
◆
私は初めて見る京都大学の中であっけにとられていた。
「ここが、京都大学の中…すごい…」
悠人は片手でパソコンを持ち、片手ではぐれない様にと私と手を繋いでいた。
その時、近くを通りかかった女子大学院生3人に声をかけられた。
「あ、悠人先生、アリスちゃん、こんにちはー」
「嘘?悠人先生いるの?」
「その隣の女の子は誰?もしかして彼女?」
「うそー」
悠人は苦笑いをしながら私の手を離し、大学院生と話をしていた。
悠人は先ほどの大学院生を笑顔で返しながら私のところに戻ってきた。
「ごめん、お待たせ。ってなんでそんなに怒っているんですかね?」
私はぷいとそっぽを向けて言った。
「悠人、この大学でも人気なんだね。」
悠人は照れくさそうに言った。
「そうらしい、僕が珍しいっていうのと、アリスを連れているからかもな…去年なんか『悠人先生&アリスちゃんファンクラブ』なんてのもあったらしいけど…」
『マスター!』
アリスの言葉に悠人はハッとなり、顔を上げた。
「わ、悪い、でも、今はヴィーネが一番だから…」
悠人はそういうと再び私の手をつかんで歩き出した。
私はふてくされながらも一番って言ってくれたことにうれしさを感じた。
「着いた、僕は機材を取りに行くけど…来る?」
私はにこやかにうなずき悠人の後を追いかけた。
「それじゃ、このパソコンと、あ、あとそこのケーブルもお願いできるかな?」
私は悠人の言われたとおりのものを持った。
「んじゃ、僕は白衣を着てっと…よし、出来た。それじゃ行こうか…」
悠人は白衣を纏って学習室に入って行った。
悠人が学習室に入った瞬間、歓声が起きた。
「悠人先生、アリスちゃん、久しぶりー」
「待ってたぜ、悠人先生、アリスちゃんも、っと、そこの人は悠人先生の彼女かな?」
その言葉に歓声が再び巻き起こった。
悠人は盛り上がる歓声を宥めて言った。
「はいはい、静かにー、今日は特別に僕の友達の月野瀬さんに来てもらっているから当番は挨拶を。」
「はーい、起立、礼、お願いします。着席。」
当番の人が言って悠人が教卓に立った。
「はい、というわけで今日の授業は前回の続きで『電子工学の応用編:ロボットとAIの違い』について学んでいこう、アリス、お願いできるかな?」
『はい、マスター、そもそも電子工学というのはですね…』
こうして悠人とアリスの授業は始まった。
途中、私も何度か悠人の手伝いをしたけれど…
(中略)
◆
私は大学からの帰り道、家も近くなった所で悠人に聞いた。
「でも、びっくりだよ。悠人が学校の先生をやっていたなんてね。」
悠人はにこやかに頷いて言った。
「まあ、隠すことじゃないし…いつか話そうと思っていたんだ。」
その時、悠人の端末が震え、アリスが異常事態を示した。
『マスター、大変です。ガヴリールさんたちが…』
その声を最後にアリスはノイズともにいなくなった。
悠人は端末に叫ぶように話した。
「アリス!アリス!」
しかし、悠人の端末からは無音が鳴り響くだけだった。
その瞬間、悠人は走り出し、私に話しかけた。
「くそっ、ヴィーネ、走るぞ、アリスがいなくなったということは家に異常事態が起きたということだ。何でこういう忙しい時に…」
私は言われるかがまま悠人の後を追いかけた。
「頼む、間に合ってくれよ…」
悠人は祈るような声を出しながら走った。
◆
「ガヴリール!!」
悠人は家に飛び込むとガヴリールの名を呼んだ。
ガヴリールは壁に座りながらうつむいていた。それはほかの2人も同じようだった。
不法侵入してきたやつは悠人を見るとニヤッと笑った。
「やっと、目玉が来たようだぜ。」
ガヴリールは悠人に叫んだ。
「悠人、こいつは何なんだよ。お前の知り合いか?」
悠人はそいつの顔を見ると表情を変えた。
「ちっ、今更、
ドレイクと呼ばれた奴はキシシというと悠人の方を見て言った。
「仕事だよ。これは上からの命令でね。『デュランダルの様子を見て来い』って言われたからな…所で、この少女たちは何だい?説明してくれないか?なあ、デュランダル?」
悠人はまるで恐怖を前にした人のような表情をした。
「はぁ…こいつらは俺の友達だ。天界のものが2人と魔界のものが2人だ。だが、こいつらには手を出すな。ドレイク。」
その時、私以外の3人が悠人に聞いた。
「おい、悠人、お前、私たちのこと知っていたのか?」
「兄さん、どういうことですか?」
「悠人、説明しなさいよ。」
悠人は俯きながら頷いた。
「実は結構前から知っていた。もちろん、ヴィーネが悪魔だということも知っていた。だが、それがどうかしたというのか!魔界のものは天界のものと交流するのはいけないとでもいうのか?答えろ、ドレイク。」
ドレイクはキシシと笑うといった。
「いいや、おかしくないぜ、デュランダル。俺だって交流は結びたいと思っている。さて…上には『デュランダルは生きていた。』と報告しておくよ。」
「ドレイク…」
ドレイクは悠人をまじまじと見るといった。
「勘違いするな、デュランダル、これは貸しだ。せいぜい今を楽しむんだな。」
そういうと、ドレイクは悠人の部屋を出て行き、どこかへと行ってしまった。
残された悠人は3人の質問に追われていた。
「悠人、どういうことだ?あいつは誰だ?」
「兄さん、デュランダルって何なんですか?」
「説明しなさいよ。」
悠人は、はぁとため息をつくと言った。
「分かったよ。少し待ってろ。」
悠人はそういうと紋章を示し、姿を変えた。
「あ、あんたは…」
そのセリフは誰のものだったのだろうか…
はい、というわけで一二話いかがだったでしょうか?個人的には悠人の授業内容をもっと増やしたかったのですが…いかんせん、僕自身が電子工学を知らないものなので今回は割愛させていただきました。
もうじき新学期が始まるので毎日投稿とまではいかなくても2日に一本は出せればいいかなと思います。
感想等々は常に受け付けておりますので気軽にどうぞ。
では、次回の『やはり彼女は駄天使には相応しくない』第一三話でお会いしましょう。
追記:なんか最近「k」のボタンが聞かなくなったような気がする…