やはり彼女は駄天使には相応しくない   作:芳香サクト

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 お ま た せ


第三章:魔界編
第一三話『やはり天真=ガヴリール=ホワイトは駄天使には相応しくない』


 悠人は姿をデュランダルに変えるとガヴリールたちに向けて言った。

 

「これが、僕が君たちを知っていた理由でもあり、僕の正体だよ。」

 

 ガヴリールたちは驚きを隠せていなかった。

 

 サターニャが悠人に向けて言った。

 

「こ、この姿は、騎士長デュランダルなの?…うそ…数年前に事故で死んだって聞いたけど…」

 

 悠人はサターニャに向けて言った。

 

「死んだと見せかけて実は生きていたということだ。僕自身が上に死んだってことにしておいてくれと頼んでいたんだ。」

 

 悠人はノイズで消えかかっていたアリスを音速で回収すると言った。

 

「さて…僕の正体もわかったことだし…アリスを修理しないといけないな…」

 

 悠人は何事もなかったかのように姿を戻し、あっけにとられているみんなを置いてアリスを連れて行った。

 

「アリス、びっくりしただろう?もう大丈夫だからな。」

 

 悠人はアリスを我が子のように扱って修理をし始めた。

 

『マスター、ありがとうございます。私は感情というものは持ちませんが…それでも、うれしいです。』

 

 残りの3人は意識が戻ったかのように同時にハッとなり、集まってそれぞれの意見を出した。

 

「悠人が、騎士長デュランダルなのはもともと知っていたの?ヴィネット?」

 

「まあ、前に一度ね…それっきり見せてはくれなかったけど…それに私たちの事を知っているということはやっぱり嘘じゃないんだなって思ったのよ。ねえ、ガヴ。」

 

「ん、まあ、悠人が伝説の騎士長だということには正直驚いたけど、それほど気にするようなことじゃないの?ねえラフィ?」

 

「そうですね、兄さんの事情は分かりませんが、きっと何か考えているのだと思いますよ。そうですよね?兄さん。」

 

 ラフィは悠人に向けて言った。悠人はアリスを修理しながら答えた。

 

「そうだな、ドレイクが現れたところでこの人間界が壊れることはないと思うけど、それでもこの夏休みは自由に過ごせないと思う。ねえ、みんな。」

 

 みんなの心は一つだった。私たちは絶対に面倒なことに巻き込まれた…と

 

 悠人はアリスを修理しなおし、みんなに向けて言った。

 

「とりあえず、夕飯を作りたいんだけど…今日はなにがいい?」

 

 その時だった、悠人の端末が不自然な音を立ててモニター画面に自動的に変わった。

 

 悠人は驚きを隠せないままモニター画面を見た。

 

「なっ、この音は、もしかして…面倒なのが現れた。」

「面倒なの?」

 

 モニター画面に映ったのは銀色の鎧をまとい、瞳がとても輝いていた一人の青年が座っていた。

 

『久しぶりだな、デュランダル、人間界はどうだい?』

 

 その言葉を聞いた悠人(デュランダル)は跪き、頭を垂れた。

 

「お久しぶりです。ローラン様」

 

「「「ローラン様?」」」

 

 ローラン、私は聞き覚えがあった。前に図書館で読んだことがある。

 

 確か…アーサー王と肩を並べるくらいに強かったとか…

 

 ローランは私をちらりと見て、悠人の方へと向いた。

 

『まあ、顔を上げよ、そう固くせぬともよい。その者たちはデュランダルの友達か…』

 

「はい、それでなぜ、急に連絡を寄越したのですか?それも、電話越しではなくモニター越しになんて…」

 

 ローランは悠人に向かって表情を歪ませながら言った。

 

『デュランダル、今日、お前にこのような連絡を送ったのはほかでもない。最近、街の様子がおかしいのだ。それも皆、口々に『瞳に輝きのないローラン様が現れた。』とか『死んだはずのデュランダル様が現れた。』とかが目撃されている。』

 

 ローランの話を聞いた悠人は俯き、呟いた。

 

「影…まさか、あいつが?いや、その可能性は薄いはず…だったらなぜ…」

 

 ローランは急にぶつぶつと言い始めた悠人を見て不思議そうに言った。

 

『デュランダル、お前、何か知っているのか?』

 

 悠人はハッとなり、ローランに向けて言った。

 

「ローラン様、今すぐ、ここを離れてください。このままでは城どころか魔界まで…最悪だと人間界まで崩壊に繋がるかもしれません。」

 

「「「「人間界が崩壊する???」」」」

 

 私たちはつい大声をあげてしまった。

 

 ローランは何を言っているのか分からないというような表情をして悠人を見たが悠人の真剣な表情に嘘ではないなと感じ取ったらしい。

 

『分かった、お前の言うことを信じよう。だが、これだけは約束してくれ。無理はしない、と…』

 

 悠人は頷き、モニターを消した。そして、同じくモニターを見ていた私たちの方を向き、頭を下げた。

 

「ごめん、これ以上は君たちを巻き込めない。だから、これからは僕一人で行動させてほしい。ここからは僕がやらなくてはいけないんだ。だから学校でもかかわらないでくれ…学校に戻ってこれるかはわからない。ヴィーネとも別れる。わがままなのはわかっている。だが、君たちには安全なところにいてほしいんだ。」

 

 その言葉は、私にとっては衝撃的な言葉だった。悠人と別れる?そんなの嫌に決まっている。私は反論をしようとしたが悠人の目にはうっすらと涙が流れていて反論するにもできなかった。

 

 

「悠人、そんなに私たちは使えないっていうのか?」

 

 ふと、私の後ろから声が掛かり、私たちが振り返ってみるとそこには今にも怒りそうなガヴリールがいた。

 

 悠人はそんなガヴリールを見て、首を横に振り、言った。

 

「違う、これはもうただの事件じゃないんだ。君たちが好きだから安全にいてほしいんだ。」

 

「言っているじゃないか!!」

 

 悠人はその声に反応し、顔を上げるとガヴリールは怒りをあらわにしていた。

 

「悠人、私たちがもし、安全な場所にいて悠人自身が帰ってこなかったらヴィーネや、みんなはどうなる!私はそうなってしまったヴィーネを救うことができない、見たくもない。それに私たちだって人間界が無くなるのは嫌だ。それに私たちは天使と悪魔だ。人間じゃないんだぞ!そこを分かって言っているのか?魔界の崩壊は天界のバランスも保てなくなる緊急な事態だぞ!つまり、これは魔界だけの問題じゃない。天界にも影響は出てくるんだ。それでもお前は一人で行くっていうのか!」

 

 

 ガヴリールは今にも悠人に掴みかかりそうな言葉で言った。

 

 実際に、天界と魔界は50%ずつの領域を保ち、それらが崩れると何が起こるのかは分からないらしい。

 

「ガヴリール、君はやっぱり駄天使には相応しくないよ。来たかったら来い。出発は1時間後、ここで集合する。」

 

 

 悠人はそういうと自分の部屋に帰って行ってしまった。

 

 私たちは顔を合わせ頷くと一斉に悠人の家を飛び出し、それぞれ必要なものを取りに行った。

 

「行ったか…」

 

 

 悠人はみんなが出て行った後、アリスを抱え、騒然とした玄関を眺めた。

 

『マスター、良いのですか?』

 

 悠人はアリスを見ると微笑み、言った。

 

「いいんだよ、あれでも、初めて僕を言いくるめた人たちだからね。」

 

『マスター、今回の事件は嫌な予感がします。どうかご武運を…』

 

「ああ…分かっている。」

 

 

 

 

 

 

 一時間後、悠人は私たちを見て言った

 

「それじゃ、各自必要なものはそろったな?行こうか!みんな!」

 

 私たちは頷き、悠人に向けて手を差し出し、言った。

 

「悠人、お前の思いをぶつけてやろうぜ!」

 

「兄さん、いつでも、頼ってくださいね。」

 

「大悪魔の実力を見せてあげるわ!悠人、きちんと手助けしなさい。」

 

「悠人、みんなで絶対に生きて帰ってこようね。」

 

「しゃあねぇ、みんな、帰ってきたらなんかほしいもの1つ買ってやる。だから…勝とうぜ!」

 

 

「「「「おーーーー」」」」

 

 

 悠人は私たちを隅に置くと転移魔法のカードを取り出し言葉を発した。

 

『闇の力を秘めし鍵よ、真の姿を我の前に示せ!契約の元、騎士長デュランダルが命じる。レリーズ!!』

 

 次の瞬間、私たちは光に包まれた。




 書き上げたときにふぅ…と一息、これがいつもの僕自身です。

 今回の話で前半戦が終了となります。後半戦は後日、出そうと思います。
しかし、新学期になり、学校行事で忙しくなりそうなので投稿ペースはガクンと落ちますが、気長に待っていただければ幸いです。

では、次回の『やはり彼女は駄天使には相応しくない』第一四話でお会いしましょう。
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