◆
ドゴンという大きな音が鳴り私たちは悠人のところへと駆け寄った。
「悠人、大丈夫?」
悠人は紙一重で避けたらしく「あぶねぇ」と言って振り下ろしたやつの顔を見て驚愕した。
「お、お前は!!」
その瞬間、女の人は顔を隠し、走ってどこかへと行ってしまった。
「悠人、今の人は誰なの?」
私はもどかしくなり悠人に聞いた。
悠人は座り込んでいった。
「今の奴はこの魔界の影の住人、七つの大罪『
悠人は立ち上がり町を一通り見渡すと開いていそうな酒屋に向かった。
「とりあえず、ご飯を食べようか。詳しくはそこで説明する。」
「分かったわ。」
私たちは悠人を追いかけて酒屋へと向かった。
◆
「へい、らっしゃい。」
酒屋というよりは八百屋のようなあいさつで迎えてくれたマスターはテーブル席へと案内してくれた。
「ご注文は何にしましょ?」
マスターの呼びかけに悠人は「ケーキ5つとコーラ、オレンジジュースとトマトジュースと紅茶とコーヒーをそれぞれ1つずつ。」と速やかに答えた。
「それで、さっきの話に戻るんだけどな…」
悠人はそういって語り始めた。
◆ ルシファーSide
私は最近住処にしている古い跡地に向かった。
「お帰り、ルシファー、今日も何も変わらない町中だった?」
「ああ、だが、今日は面白いものを見つけてきた。」
「面白いもの?」
今、私に話しかけているのは私と同じ七つの大罪の『
「へぇ、ルシが言うレベルの面白い奴って相当な奴なんだろうね。」
そういうとそいつは手に持っていたサイコロをジャラジャラと鳴らし、私に近づいてきた。こいつは七つの大罪の『
「まあな、聞いて驚くなよ、今日は何とあの『騎士長デュランダル』にあった。まぁ、魔力は感じなかったがな。」
「何だって?おい、今、デュランダルって言ったか?」
「ああ、それがどうした?マモン」
デュランダルと聞いて飛び込んできたやつは七つの大罪の『
かつて、古の大戦で奴はデュランダルに片手を傷つけられ、その後遺症が残っているらしく奴に対して執着心を持っているとかまあ、悪い奴ではないから気にしないでくれ。
「俺は、今度こそやつを殺さないといけないんだ。」
デュランダルに対するこいつの意気込みを除けばな…
後は『
「それで、俺たちはそのデュランダルと戦うっていうのか?」
マモンが言う、私は咳払いをし、マモンを制した。
「マモン、今はまだ動いてはいけないだろう?あの方に目をつけられたらお前はともかく私たちまで危ないんだ。あんまり身勝手な行動はするな。」
「分かってますよ、リーダー。」
◆
「と、いう感じに滅んだはずの七つの大罪は存在している。ということだ。分かったかな?」
悠人はみんなに向けて言った。
「まあ、このくらいは前にやったゲームでモチーフにされていたからよくわかったけど、ラフィエルやヴィーネはともかくそこの赤いのはあんまりピンとこないんじゃないかな?」
ガヴリールはそういい、サターニャを見た。
「何言っているのよ、このくらい頭に入っているに決まっているわ。大悪魔になるためには常日頃からいろいろと学ぶことがあるのよ。」
サターニャがそういい、得意げにガヴリールの方を見た。
ガヴリールは頼まれたケーキを食べ、フォークでくるくると回しながら言った。
「あっそ、まあいい、それで、これからどうするんだ?私やラフィエルは天界のものだ。住処なんて存在していない。ましてやヴィーネやサターニャの家を借りるわけにもいかない。」
悠人はコーヒーを一口飲み、「ふぅ…」というとガヴリールに向けて言った。
「そうだな、今後は僕が依然使っていた部屋に泊めてもらうことにするよ。とりあえず、今日はそこまで行けたらいいね。」
悠人はそういうと立ち上がり、「また来るよ、マスター」と一言いいながらお金を渡した。
私たちはそれぞれ「ご馳走様」と言いながら店を後にした。
「それで、悠人が昔、使っていたっていう場所はどこ?」
私は気になって悠人に聞いた。
「んー、結構前に空き家になっているはずだけど…まあ、大丈夫だろう。」
そういって悠人は歩き出し、私たちもそれに付いて行くことにした。
◆ ルシファーSide
「んあー、暇だ。ルシ、なんかして遊ぼうぜ。」
ベルゼブブがジャラジャラと鳴らしながら私に近づいてきた。
「特に今やる命令もないしな。まあ、息抜き程度に付き合ってやるよ。ブブ。」
私がそういった瞬間、ベルゼブブはフィールドを展開し、2人だけの世界になった。
「いくぜ、ルシ。」
「こい、ブブ。」
私たちはそれぞれの得意魔法を発動させ、互いにぶつけ合った。
「はぁぁー『
「効かない、『
私たちの魔法の弾幕は互いに弾きあい、そしてそれに耐えきれなくなったフィールドが干渉され、世界は元に戻った。
「あーあ、干渉しちまったよ。まだこの魔法には耐えられないのか…まあ、お疲れルシ。」
そういうと我が戦友は手を差し出し、私はそれにハイタッチで応じた。
その時、奥の方にいたマモンがおずおずと私のところへやってきた。
「リーダー、
あのお方からの命令ならば動かないといけない。私は立ち上がり、言った。
「分かった、行ってくる。」
そういうと私は扉を開け、移動魔法を発動させた。
◆
「ん、んぁぁぁぁー着いた。ここが僕が住んでいた家だよ。」
悠人は大きく伸びをし、私たちの方を見ると家を紹介した。
それを見た、ガヴリールは悠人に向かって言った。
「悠人、これ、家じゃないよね。どう考えても豪邸だよね。」
そう、明らかに家というよりは豪邸、それも魔界のどの場所からでも見ることができるらしい。
「まあ、この家は僕自身が建てた家だから自由に使ってくれて構わないよ。」
悠人はそういうと家のドアを開け、中へと入って行った。
私たちはそれぞれ「お邪魔します。」と言いながら中に入って行った。
「うわぁ…なにここ?ほんとに自由に使っていいの?」
私は感嘆の声を上げた、それもそのはず天井にはシャンデリア、壁紙には数々の有名な作品が並んでいた。
自由に使うにはもったいないくらいの話だ。
「ああ、この家は今、僕が当主だから自由に使ってもいいんだよ。」
悠人はそういい、キッチンへと入って行った。
「ヴィーネ、ここすごい、何でもそろっているよ。ほら、行こう?」
ガヴリールがはしゃいで、私を呼んでいた。
「仕方ないなぁ、ガヴ、物を壊さない程度になら探索してみよ。」
「あ、ずるい、私もやる。」
「私も~」
サターニャも、ラフィエルもついてきた。私たちは悠人の家の探検に出かけた。
◆ ルシファーSide
「『傲慢』ルシファー、参りました。」
私はあのお方に出向くために扉の前にいた。
『ふむ、入ってきなさい。』
中から声がする、あのお方の声だ。
私は扉を開け、頭を垂れ、申した。
「はっ、それで、どのような命令でしょうか?」
あのお方はいつも通り仮面をつけていて、後ろを向いて言った。
『ルシファー、君は
「はい?いえ、そのようなものは知りませんが…」
私はそのような者の名前を知らなかった。
『ならいい、今回の狙いはそのガヴリールという人物だ。それも殺すのではなくこちらに引き連れてくれないか?』
私は立ち上がるといった。
「お任せください、私を誰だと思っているんですか?かつて天界では神童と呼ばれ、古の大戦では悪魔の魅力にひかれ堕天使となり傲慢の罪を持っている私ですよ。そのようなもの、すぐに捕まえて見せますよ。」
私はそういうと扉を開け、下がった。
◆ 黒幕Side
一人静かな夜、私は仮面を外し、コーヒーを片手に持った。そしてぐいと一気飲みをするとふう…と呟いた。
『このままでいけば確実に魔界は崩壊する。だから何としてでも魔王ベクタの力が必要なんだ。そのためにはガヴリールがカギなんだ。頼んだぞ、ルシファー、我が愛すべき人よ。』
その呟きは誰にも聞かれることはなかった。
◆
「んで、探検したはいいけど迷って結局、探検どころじゃなかった…と」
悠人は料理をテーブルに置き、私たちを見た。
「とりあえず、簡単なところにいてくれて良かったけど、これからはそんなことをしないでくれよ。」
「「「はーい」」」
「はぁ…ご飯食べるか…いただきます。」
「「「いただきまーす。」」」
こうして、悠人の家の晩餐会は始まったのであった。
「あ~食った食った。悠人、ご馳走様。」
ガヴリールが満足そうな顔をして悠人にお礼を言った。
「ん、お粗末様です。それで、この後なんだけど…」
悠人がそう言おうとしていた時に突然、とても強い風が吹き、
「お前は…ルシファー!」
悠人はルシファーを睨んだ。だが、ルシファーはそんなことはどうでもいいというような表情をした。
「久しいな、デュランダル。だが、今はお前には用はない。そちらの天真=ガヴリール=ホワイトに用があったのだ。」
「なっ…お前、ガヴをどうするつもりだ!」
悠人の質問にルシファーは肩をすくめて言った。
「そんなことは私も知らない。すべてはあのお方の命令なのだ。『天真=ガヴリール=ホワイトを連れて来い。』とね。こい、ガヴリール。お前には重要な役目があるんだ。」
ルシファーはそういうとガヴリールの腕をつかんだ。
「いやだ!私はお前たちのところなんか行かないぞ!」
ガヴリールはルシファーの腕を振りほどき、天使の姿になってルシファーを見た。
「『フィール:
ガヴリールの周りに結界が張られた。だが、ルシファーの方は『ふっ…』というと手をガヴリールの結界へと伸ばした。
「そんなひ弱な結界で私が屈するとでも思ったか?天界も落ちたものだな。『スペル:
ルシファーがそういうとガヴリールの結界は壊れ、ルシファーはガヴリールの腕を再びつかんだ。
「これで、もう逃げられないな。さあ、私と来てもらおう。」
「嫌だ!悠人、ヴィーネ、誰でもいい。助けてくれぇー。」
ガヴリールが叫んだ時、ガヴリールの反対の腕をぐいと誰かが引っ張った。
『ルシファー、お前も落ちたな。まさか、俺が全部の魔力を使い切っているとでも思ったのか?』
いつの間に変身していたのだろうか…悠人が『騎士長デュランダル』に姿を変え、ガヴリールの反対の腕を引っ張っていた。
「デュランダル…貴様、手を離せ。我々にはこの小娘が必要なんだ。」
「悪いけど…それはできない。こちらにとってもこの子は必要な存在なんだ。簡単に渡せる状態じゃない。」
そこまで言うとルシファーは諦めたようにガヴリールの手を離した。
「ちっ、今回は引いてやる。だが、必ずガヴリールをこちらに引き寄せる。」
そういうとまた強い風が吹き、気が付いたらルシファーの姿はなかった。
◆
「どういうことだ?悠人、私が向こうの必要となっているということは向こうの連中がこれからも来るってことか?」
ガヴリールは言った、無理もない。さっきの光景を見たら誰だってそう思うだろう。
悠人は姿を戻し、ガヴリールに対してはっきりといった。
「今は、まだルシファーたちが狙っている理由は分からない。だけど、これだけは言える。『ガヴリールが今後のカギになる』ということだけだ。僕は少し考えることがある。それじゃ、お休み。」
悠人はそういうと部屋を出て行き、自室へと戻って行った。
残った私たちも昼間決めた、それぞれ各自の部屋に戻って行った。
はい、いいところで今回の話は終了です。そして今回から敵側の人物として『七つの大罪』に登場する人物たちを無理やり当てはまてみました。次回の前書きからキャラ紹介ということで1人ずつ書いていこうと思います。
次回は後編ということでガヴリールがカギの理由は?そして魔王ベクタの復活はなるのか?色々な話を今回は盛り込んでみました。
では、次回の『やはり彼女は駄天使には相応しくない』第一六話でお会いしましょう。