やはり彼女は駄天使には相応しくない   作:芳香サクト

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お久しぶりです。
タイトルからしてあの人みたいになってますがそんなことはありません。ではどうぞ。

追記:い つ も の 報告タイム。UAが5000を超えました。本当にありがとうございます。


第一六話『アナタ、怠惰デスね?と怠惰の罪の人間は言った。』

 次の日の朝、私は早くに目が覚めたので顔を洗いに洗面所へと向かった。するとそこには1人の人物の影があった。

 

「これでよかったのか…ルシファーの脅威を去ることができるのは…やはり、ガヴリールなのか…いや、しかしだな…」

 

 どうやら独り言のようだ。私は気になって中をのぞくとそこには険しい顔をした、悠人がいた。

 

「あ、おはよ、ヴィーネ。よく眠れた?」

 

 悠人は私を見ていつもの表情に戻り笑顔で声をかけてくれた。

 

「うん、大丈夫。おはよ、悠人。」

 

 私もさっきのは見なかったふりをして悠人に応じた。

 

「さてと…みんなの朝食を作るかな…」

 

 悠人は伸びをして、洗面所を出て行こうとした。

 

 しかし、私は悠人の腕をつかんでいた。

 

「待って、ねえ悠人、少し無理をしていない?」

 

 悠人はその言葉を真に受け入れようとはしなかった。

 

「無理をしている?僕が?一体いつ?」

 

 悠人はそう言って私から離れようとしたが私が強くつかんでいたため、離せなかった。

 

「離してくれ、僕にはまだやらなくてはいけないことがあるんだ。」

 

 悠人は続けざまにそういったが私は首を縦には振ろうとはしなかった。

 

「悠人、あのルシファーっていう人がガヴリールを狙っているとわかってからずっと焦ってる。まるで、この先の出来事を知っているかのように…」

 

 その言葉は悠人にとっては禁句だった。

 

 次の瞬間、私は悠人が今までにないくらいの力で私の手を振りほどき、そして、今までにないくらいの大声で言った。

 

「離せと言っているのが聞こえなかったのか!」

 

「悠人…」

 

「いいか!僕が焦ってないと言ったらそういう事なんだ。だから今後僕には近づかないでくれ。しばらくここにも帰らない。」

 

 そういって悠人は家を出て行った。

 

「悠人…」

 

 私はその言葉しか出てこなかった。

 

「大丈夫?ヴィーネ?」

 

 悠人の声で目が覚めたのかガヴリールたちが私の周りに集まっていた。

 

「うん、大丈夫。だけど、悠人のあんな表情初めて見た…」

 

「兄さんは、怒るとあんな表情になるのですね。これは知りませんでした。」

 

「何はともあれ、悠人を連れ戻さないとこの先、私たちがどうしたらいいのか分かんないじゃない。私、悠人を探してくる。」

 

 そういって玄関を飛び出そうとしたサターニャを制したのはガヴリールだった。

 

「待て、サターニャ。その役目、私にやらせてくれないか?」

 

 ガヴリールの提案に驚いたのはサターニャだった。

 

「何言ってるのよ。あんたは狙われているのよ。あんたが外に出れば連中は必ず動くわ。そんな危ないところに一人で行くって訳?」

 

 サターニャのいっていることは正しかった。

 

 だが、ガヴリールは肩をすくめて言った。

 

「だからだよ、悠人はきっと私以外の誰かが来てくれると予想している。当然だろ、私が狙われているのは悠人も重々承知の上なんだから、だが、私は掛けてみたいんだ。本当に私を狙っているというのなら確実に動いてくるのかどうかということを…」

 

 つまり、ガヴリールはこう言いたいのだ。

 

『自分をおとりにして連中の手の内を暴く』と

 

「ガヴリール…」

 

 ガヴリールの言葉にあっけにとられたサターニャはそうつぶやくことしかできなかった。

 

 私はそんなガヴリールを認めざるを得なかった。

 

「ガヴ、行っておいで。今の私じゃ悠人に何も声をかけることはできない。だから、お願いっ!悠人のところに行ってっ!」

 

 最後の方は私は涙目になりながらガヴリールに言った。

 

「分かった、しっかりと悠人を連れ戻してみせるよ。」

 

 そういってガヴリールは走り出した。

 

 

 

 

「はぁ…」

 

 ヴィーネにきつく言ってしまった悠人は家からちょっと離れた公園に一人座っていた。

 

「これからどうしようかな…」

 

 悠人はそんなことをつぶやき、ぶらぶらとしていた。

 

 その時、一人の人物が悠人のもとに近づいているのが分かった。

 

「お前は…どうしてこんなところに来ているんだ?ベルフェゴール!」

 

 ベルフェゴールは悠人を見ると舌を出して言った。

 

「デュランダル、お前は怠惰だ、ルシファー様がお前のところに行っているのにもかかわらず、何もしていない。つまりは怠惰だ。」

 

「だったら、殺すのか?古の大戦で力を失い、人を殺せなくなったお前が殺すのか?」

 

 その言葉にベルフェゴールはクスリと笑うといった。

 

「私だってただ、何もしてこなかったわけではない。しっかりと力は蓄えたさ。だが、まだ人は殺せない。しかしそれも時間の問題だ。その気になればいつでも殺せることをよく覚えておくんだな…。」

 

 ベルフェゴールはいうだけ言うと翼を広げて去っていった。

 

 悠人はベルフェゴールが去って言った後で、もう一人ここにきていることを知った。

 

 そして悠人はその人物の名前を呟くように言った。

 

「ガヴリール…」

 

 そして目の前にガヴリールが怯えたような様子でポツリと言った。

 

「悠人…」

 

 

 

 

 悠人の家から飛び出したガヴリールは『もしも、こういう時、悠人だったらどこに行くのか』という悠人の気持ちになって考え、前にラフィエルが『兄さんは悩み事を抱える時に必ず近くの公園に行くことがあるのですよ~』と言っていた(第6.5話参照)のでまずは公園に行くことに決めた。

 

 しかし、公園とはいっても魔界にはいくつもの公園があり、どの公園なのか分からない。ガヴリールは仕方なく、一つ一つ潰していくことにした。

 

「ふう…ここが最初の公園か…っとなんだ?あの緑色の髪をした女の人は…とその後ろには…悠人?よかった。まだいたんだな。」

 

 ガヴリールは悠人に駆け寄ろとしたが天使的な本能でここは行くべきではないと悟った。

 

『…その気になればいつでも殺せることをよく覚えておくんだな…。』

 

 そこまで聞いたときにガヴリールは閃いた。『こいつは私の敵だ。私を狙っているあのルシファーとかいう奴の仲間だ。だが、どうしてそんな奴と悠人が関わっているんだ?』

 

 とそこまで考えたときには緑色の女の人はいなくなっていて悠人しかいなかった。

 

「ガヴリール…」

 

 悠人がそう呟いたときにガヴリールは今しか出れない思い、意を決して出た。

 

「悠人…」

 

 その時の悠人の表情はとても怖いものを見る目でガヴリールを見た。

 

 

「なあ、ガヴリール。僕はこの世界に来て怠惰だったかな?」

 

 

 

 悠人はそんなことをガヴリールに聞いていた。

 

 ガヴリールは悠人の言葉にどういう意味を持っているのかを理解した上で言った。

 

「悠人、君はこの世界に来て怠惰ではなかったよ。むしろその逆さ、ヴィーネや私とも仲良くしているし、なにより一生懸命なのが…」

 

「それだけじゃダメなんだ!」

 

 

 悠人はガヴリールの言葉を最後まで聞かずについ大声で言ってしまった。

 

 

 その言葉にガヴリールは「ひっ」といい、後ろに後ずさりした。

 

 

「ガヴ、君は何事も一生懸命にしていればすべてうまくいくとでも思っているのか?それだったら考えが甘い。いつかその一生懸命で後悔することになる。かつて僕がそうだったように…だから頼む、僕を一人にしておいてくれ」

 

 

 悠人はそういうと翼を出し、飛び去って行ってしまった。

 

 

 後に残ったガヴリールは「悠人…」と一言いうことしかできなかった。




うーん、やはり怠惰と聞くとあの人が出てくるのはもはや定番なのでしょうか?『私は魔女教try』いえ、何でもないですよ。本編には一切出てきませんから!

さて、本編の内容に触れましょうか…今回はヴィーネが悠人になにか感じ取り、悠人がそれに対して大激怒をしてしまい、ガヴリールが慰めるという大雑把にいえばこういう内容でしょうか?
実はこの展開、最初はもっと違う展開だったのですが如何せんそれではこの話のコンセプト似合わないと思い消し、このような展開になりました。そのせいで本来登場することのなかったベルフェゴールさんが登場することになりました。

次回の内容を少し話しますと、このままでは絶対に上手くいかないと感じる人物が頑張るというお話になっています。

では、次回の『やはり彼女は駄天使には相応しくない』第一七話でお会いしましょう。
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