やはり彼女は駄天使には相応しくない   作:芳香サクト

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 お ま た せ 

 半年くらい時間をいただきました。受験勉強が忙しすぎて投稿とか言っている場合じゃないかったというのが言い訳。のんびり投稿もここまでくるとひどいもんですね。
 とりあえず、今回はリハビリ解消ということで短いです。

今後について活動報告に記載しました。状況を把握していただけるとありがたいです。


第一七話『月野瀬=ヴィネット=エイプリルはいまだに姿を見せない愛人の名を呼んだ。』

「はぁ?悠人が捕まらない?どういう事よ。」

 

 帰ってきたガヴリールに状況を報告してもらったがいまだに納得ができていないサターニャはそんな声を上げていた。

 

「だから言ったとおりだよ、悠人は見つけたけど捕まらない。それどころかなんか自分に追い込まれているような様子だった。」

 

「それって…どうなの?」

 

 私はたまらずガヴリールに聞いた。

 

「多分だけど、悠人は自分で解決しようとしているんじゃないかな。私たちから縁を引いたのもかかわってほしくないという悠人のやさしさの思い入れなのかもしれない。」

 

「ガヴちゃんは、本当にそれでいいんですか?」

 

 口をはさんだのはラフィエルだ。

 

「それでいいってどういうことだ?ラフィエル。」

 

「兄さんの迷惑をかけたくないという思いは伝わりましたが、私はまだガヴちゃんがそれで良いのかという思いは聞いていません。」

 

 つまり、ラフィエルは悠人の思いはわかっているもののガヴリールがそれで納得するかどうかということを言っているのだ。

 

「私は…悠人を救いたいと思っている。天使だからという職業的な理由じゃなくてひとりの女として悠人を救いたい。」

 

「そうですね。私もあのままの兄さんをほおっておけません。」

 

「そうね、サターニャも来るでしょ?悠人が心配でしょうがないんだから。」

 

「そ、そんなことないし。私はどうなってもいいし。」

 

「じゃあ、お前は留守番な。」

 

「ごめんって、私が悪かった。」

 

 みんなの心が一つになった所で屋敷のドアが吹き飛ばされた。

 

「んなっ…」

 

 私たちは謎の訪問者を見た。

 

「ほぅ…ここがあのデュランダルの住処か。おや?そこにいるのはあのガヴリールか?」

 

 そいつはガヴリールを一目見ると、舌を回した。

 

「いかにも、私が天真=ガヴリール=ホワイトだ。そう言うお前は誰なんだ?」

 

 ガヴリールは前に出て、そいつの事を睨んだ。

 

「ハッハッハ、威勢がいいな。私はレヴィアタン。ルシファーの仲間と言えばいいか?」

 

「っ…お前も敵か。」

 

 ガヴリールは本来の姿に戻り、拳を構えた。

 

「ガヴリール、お前には傷をつけるわけには行かない。お前の血はすべてを変えるといわれている。今のお前を攻撃することはできない。」

 

 レヴィアタンは、ゆっくりとガヴリールを掴んだ。

 

「こっちに来てもらう。ガヴリールはこっちには必要なんだ。」

 

「嫌だね、私は絶対に行かない。」

 

 ガヴリールはレヴィアタンの腕を払い、距離をとった。その時に、ガヴリールは何かを感じ取った。

 

「お前…悪魔じゃないのか?」

 

 その言葉は腕を払ったガヴリールにしかわからない言葉だった。

 

「ちっ、分かってほしくなかったんだがな。私は、悪魔ではない。かといって天使というわけでもない。どっちの血筋を持っているつまりはハーフというわけだ。」

 

 レヴィアタンは自分でぶっ壊した扉をもとに戻した。

 

「壁をぶっ壊してすまなかった。もとには直したから次からはぶっ壊さないように気を付ける。ガヴリール、ゼリエルによろしくな。」

 

「待て!なぜ、お前が姉さんのことを知っている!」

 

 ガヴリールはレヴィアタンを追いかけようとしたが、テレポートしたのかいなくなっていた。

 

「くそっ!あいつ、私の何を知っているんだ?」

 

「ガヴ…大丈夫?」

 

 私は、ガヴリールに駆け寄った。

 

「ごめん、ヴィーネ。今は…何も答えることはできない。私もわかっていないからな。」

 

 ガヴリールは半ばうなだれたように言った。

 

 私はガヴリールの言葉を信じ、声をかけた。

 

「わかったわ。でも、いつかは話してね。」

 

 

「でも、いよいよ、敵も本気になってきたということでしょうか。」

 

 ラフィエルがいつものようなおっとりした口調、それでも目は本気のようだった。

 

「そうね、私の悪魔らしさを見せる時が来たのね。」

 

「お前は、黙ってろ。」

 

「ひどいっ!!」

 

 サターニャの中二病にもなかなか迷惑をこうむっているが、こうしてみると悪魔にもいろいろな人がいるんだなと感じる私がいた。いや、私も悪魔なんだけどね。

 

「こういう時に…悠人がいてくれたら…」

 

 私はいまだに姿を見せない、愛人の名前を呼んだ。

 

 

 どうしてこうなったんだよ。僕はただ、みんなと仲良くしたかっただけなのに。

 

 僕は翼を広げ、遠くへと飛んで行った。

 

「はぁ…」

 

「なに浮かないため息ついているんだよ。騎士王。」

 

「っ!?」

 

 突然の訪問者に僕は慌てて速度を落とした。

 

「お前は…誰だ?」

 

 僕の返答に訪問者は、はぁーと大きなため息をついた。

 

「やれやれ、俺のことを忘れたとは…あんなに俺のことを傷つけておいて…」

 

「えっ?」

 

 訪問者は古傷を悠人に見せた。

 

「お前は…デモンハダル。」

 

 悠人が名前を呼んだ時、デモンハダルは嬉しそうに言った。

 

「うれしいねぇ…覚えておいてくれたとは。」

 

「今の今まで忘れていたけどな。それにしても、何の用だ?お前がこんなところに来るような奴じゃないだろ?」

 

 デモンハダルは速度を完全に落とし、止まった。それにつられて悠人も止まった。

 

「騎士王、朗報だ。お前が探している人の居所がつかめた。」

 

「そんなことのために僕を止めたのか。僕は忙しいから呼び止めないでくれよ。」

 

 悠人は止めた翼を再度広げ、飛び出そうとしていた。

 

 デモンハダルはでもなぁ…。と続けた。

 

「お前が昔住んでいた家が今朝、何者かにぶっ壊されていたんだよな。あれ、誰がやったんだろうな。」

 

 その言葉を聞いた悠人は目を怖くして、猛スピードで自宅へと向かった。

 

 

 

 待っててくれよ。ヴィーネ。




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