さあ、ニヤニヤしながら見て行ってくれ
『私…悠人が欲しいな…』
私は昨日、悠人にあんなことを言ってしまったのか…と家に帰っても恥ずかしさでなかなか寝付けず結局、一睡もしていない状態で学校に来てしまった。
「はぁ…悠人にどんな顔して会おう…」
そんなことを言いながら教室のドアを開けた。
するとそこには白い髪で後ろに赤いリボンをつけていた女子高生が悠人と仲良く話している光景が私の目に飛び込んできた。
「兄さん、このシーンはもっとシリアスにした方がプレイヤーにも伝わりますよ。」
「んでもなぁ、このシーンの後、すぐにこのキャラ死んじゃうんだろ?あ、ヴィーネ、おはよう。」
私は一目散に悠人のところに駆け寄り、強い口調で言った。
「はーるーとー、おはようじゃないわよ。これはどういうこと?状況を説明して!」
「違うんだ、ヴィーネ、落ち着いて僕の話を聞け!」
「何が違うのかなー?」
私は問答無用という思いで悠人を掴んだ。
そんなとき、女子高生の方が私のほうを見て言った。
「に、兄さんに手を出さないで!!」
「「えっ」」
私はあっけにとられた、と言ってもあっけにとられたのは悠人もそうだったのだが…
「だいたい、貴方は兄さんの何なのですか?恋人さんなのですか?それに、兄さんも兄さんです。私という女性がいながらも他の女の人に手を出すなんて…あんまりです。ううっ…」
その子は泣きそうになり、悠人もどうしたもんかと考えていたところだった。
「はよ~、あれ?なんでラフィがここにいるの?」
その言葉に女子高生は登校してきたガヴリールのところに駆け寄った。
「ガヴちゃん、助けてください。変な人に絡まれてしまって…」
「変な人じゃないわよ。」
ガヴリールは状況を把握出来ずに悠人に目線を送った。
「はぁ…ラフィエルも、ヴィーネも、お互いの事は置いといてまずは僕の話を聞いてくれないか?」
悠人は事のいきさつを私とラフィエルに話した。
(省略 この話は番外編で話します。)
「と、いう訳で僕とラフィエルの関係はこんな感じ、というか今日、久しぶりにあっただけなんだけどね。」
その言葉に私はただ納得するしかなかった。
「それで、この人と兄さんの関係は?」
ラフィエルは目を輝かせて悠人に詰め寄った。
「うーん、何というか…『友達以上、恋人未満…』的な?」
悠人は、しどろもどろになって答えた。
その時、私は昨日の事を思い出して、恥ずかしさで顔が真っ赤になってしまった。
ガヴリールが私の顔に気づいて手を差し出した。
「ヴィーネ、大丈夫か?保健室にでも行こうか?」
「大丈夫、ちょっと恥ずかしさで死にそうになっただけだから。」
「全然、大丈夫な状態じゃない。いいから行くんだ。」
私は、ガヴリールに担がれて廊下に出た。
◆
「それで、昨日、私が帰った後、何があったのさ。」
ガヴリールは昨日の事を聞いてきた。
「と、特に何もないよ。」
私は、顔を少し赤くして言った。
「嘘だな、私がヴィーネと友達やってきて初めてあんな顔を見せたんだもん。」
ガヴリールはそういうと、『む~』とでもいいそうな表情を浮かべた。
「はあ…じゃあ、言うね。『私、悠人のこと好きかもしれないな…』」
その言葉を聞いた、ガヴリールは振り向き、私の手を握って人目につかないところに行った。
「はぁはぁ…ヴィーネ、さっきの言葉、本気なの?」
「う、うん、でもこんな感情初めてでどうしたらいいのか分かんないもん。」
私は胸に手を当てて言った。
「分かったよ、ヴィーネ、駄天使とはいえ、私も天使だ。ヴィーネの恋を応援するよ。」
「ほ、ホントに?ありがとうガヴ。」
私はうれしくなってガヴリールに抱き着こうとした。
ガヴリールは私の口に手を当て言った。
「でも、これだけは約束、『どんな時も私や悠人たちの友情だけは壊さない事』、これが守れるのなら私は応援する。」
「分かった。それじゃ、ガヴ、教室に戻ろ?」
私はガヴリールの手を握って教室まで帰った。
◆
教室に帰ると、悠人とラフィエルが話をしていた。
ラフィエルは私たちを見つけると、悠人に向かっていった。
「それじゃ、兄さん、ラフィエルは自分の教室に戻ります。」
「ああ、気を付けて」
ラフィエルが廊下に出る直前、私に向かって言った。
『兄さんに勝手なことをしたら怒りますよ。』
その言葉は私の心にグサリと刺さった。
「悠人、ラフィエルさんと何を話していたの?」
私は悠人に聞いた、悠人は自分の机から一枚の紙を私たちに見せた。
「これは?」
「それは、『全国ネットゲーム選手権』の大会通知だよ。こう言っちゃ何だけど僕とラフィエルは前回の大会の『パズルRPG部門』で金賞をもらったことがあるんだ。今日はその話をしていたんだよ。」
「へえ、そのタイトルは?」
ゲームという話が出たのかガヴリールが話に加わってきた。
「『パズルオブダイナミック』という作品だよ。その後に、アプリ化されて莫大なヒットを生んだものだよ。」
「パズルオブダイナミックなら私も一度プレイしたことはあるよ。」
ガヴリールはそういうと携帯を取り出し、ゲームのプレイ画面を見せた。
そこにはデカデカとタイトルのパズルオブダイナミックと書かれてあった。
携帯ゲームを普段やらない私はこの作品を知らなかった。
「ガヴ、この作品はどんな感じなの?」
「製作者が目の前にいるんだから悠人に聞けばいいんじゃない?」
ガヴリールはそういって自分の机に座り、ぐでーとなった。
ガヴリールは説明するのが面倒という理由で言ったのかもしれない。
でも、私は『悠人と話せるチャンスじゃないのか?』と勝手に解釈した。
「それも、そうね。悠人、この作品はどういうものなの?」
悠人は自分の端末を取り出し、説明画面を見せた。
「まず、このゲームはタイトルにある通りパズルゲーだというのは知っているね。それも簡単に動かせる操作方法で指定された条件を満たせばクリア、というゲームだよ。」
「へぇ~やってみてもいい?」
悠人の説明を聞いた私はやってみたくなり、悠人に聞いた。
「いいよ、はい、どうぞ。」
私は悠人から端末を貸してもらい、SHRが始まるまでゲームをプレイしていた。
◆
「ありがとう、とても楽しかったわ。」
私はSHR終了後、悠人に端末を返し感想を言った。
「それは、それは、作った甲斐があったってもんですよ。」
悠人は端末を受け取るとポケットにしまい、私に向けていった。
「あのね、ヴィーネ、昨日の事なんだけど…」
その時、私は唐突の恥ずかしさで逃げ出してしまった。
「ご、ごめん、私、用事があるから。」
その日、私は何度も話しかける悠人から逃げ回っていた。
◆
「ガヴ、今日は一緒に帰ろー」
放課後、私は悠人に捕まる前に、ガウリールとともに帰ろうとした。
「あ、ヴィーネ、いいけど、今日はちょっと用事があるから少し待ってて。」
そういって、ガヴリールはカバンを持って教室を出て行ってしまった。
教室内はみんな帰ってしまい、私は暇になったのでガヴリールが帰ってくる間、悠人が去年、開発したというゲーム『パズルオブダイナミック』を自分の端末でインストールし遊んでいた。
「そのキャラクターはヴィーネに似合っていると思うんだけどなぁ…」
「うわっ」
振り向くとそこには悠人がいた。
「悠人か…何か用?私、ガヴリールが来たらすぐに帰ろうと思っていたんだけど…」
私は少しばかり強い口調で悠人に言った。
悠人は少し、考えたそぶりを見せ、私に向かって言った。
「あのな、ヴィーネ、僕、君に言わないといけないことがあって…」
「言わないといけない事?」
「そう…昨日、ヴィーネは『僕が欲しい』って言ったじゃん?」
その時の私と悠人の顔は真っ赤に染まっていた。
「う、うん、まあ、言ったけれど…」
「良かった、じゃあ…」
その後の悠人の行動は私にとって忘れられないものになった。
「これが、僕の返事だよ。」
その瞬間、悠人が私に向かってキスをしてきたのだ。
悠人は顔を赤く染めたまま言った。
「月野瀬=ヴィネット=エイプリルさん、僕はあなたの事が好きです。僕と付き合ってください。」
私はその言葉が信じられなくて、気が付けば涙が出てしまっていた。
そして涙を拭き、勇気を振り絞って答えた。
「悠人、私も悠人の事が好き、だから、悠人、付き合って?」
その言葉を聞いた悠人は顔をにこやかにして頷いた。
そして、私たちはそのまま抱き合った。
◆
「何だよ、私に協力してとか言っていたくせに結局、自分で解決しちゃったじゃないか、つまんないの。」
その光景をガヴリールとラフィエルは隙間からのぞき見していた。
「まあまあ、ガヴちゃん、これも天界の務めを果たしたということで結果オーライじゃないですか?」
「ま、そうだな。よっしゃ、帰ろうぜ。ラフィ、私、おなかすいちゃったよ。なんか奢ってくれない?」
「はいはい」
ガヴリールとラフィエルはそのまま学校を後にした。
もう何か書いている途中でこの作品、作者に精神的なダメージがあるなぁと感じるようになってきました。
さて、作品に戻りましょう、今回はラフィエルの初登場シーンだったはずなのですが…どうして妹キャラにしてしまったんだ?と、思ったあなた、僕は悪くない。悪いのはそうさせた友人のせいだ。
んでもってラストはヴィーネと悠人が付き合うことになりました。しかし、悠人って本当の姿は『騎士長』なんですよね。大丈夫なのかな…
とまあ、その話は置いておいて、次回は番外編:悠人とラフィエルが初めて出会った日になるかなと思います。
それでは、次回の『やはり彼女は駄天使には相応しくない』第6.5話でお会いしましょう。