私が悠人と付き合うことになって最初の朝、私は自分のアパートの前で伸びをしていた。
「今日も、学校に行ったら悠人に出会えるかな~うふふ。」
その時、隣の部屋の人のドアが開いた。
「やべっ、今日完全に寝坊した。急いで行かないと…」
「あ、おはようございます。」
「おはようございます。朝は大変ですね。」
その人に私は見覚えがあった。というか、昨日も学校で会い、私が告白した人だった。
「って、えっ…ヴィーネ?なんでここに?」
「は、ははは、悠人じゃない!何でこんなところにいるの?」
「何でって言ったって、ここ僕の家だし…」
「えーーーーー」
私は朝から驚かされる羽目になったのだった。
◆
「はぁ…まさか悠人が隣の部屋の住人だったとは…」
登校中、私は悠人にそんなことを言った。
「ごめんって、んでも、驚いたなぁ~、ヴィーネが隣にいるなんて…」
悠人は少し、照れくさそうにしていった。
「昨日、告白してきたのは一体、どっちなのかな?」
私は小悪魔風に、口元を歪ませながら言った。
「そんなこと言ったら、一昨日、欲しいとか言ってたのは誰だったんだろうなぁ?」
悠人はしてやったりとでも言いたそうな顔をして言った。
お互いがお互いを認め合っていた。
「でもさ、今はこうして付き合っている訳なんだし、明日からは一緒に登校することもできるってわけだ。」
悠人は空を見上げながらそんなことをいった。
「そうね、悠人の家も分かったことだし…」
私はそういうと悠人の手を握った。その感触はとても暖かった。
◆
教室に入ると、ガヴリールがいた。ガヴリールは私たちが登校してくるのを見て言った。
「悠人、ヴィーネを幸せにな。」
その言葉に悠人は戸惑った様子で言った。
「お、おう、任せとけ。」
「お前は、人生の先輩か、あと悠人も勝手に乗っかってんじゃないわよ。」
私は我慢できなくなってつい、ツッコんでしまった。
ガヴリールは私の肩に手を置くと表情を変えないまま言った。
「というかヴィーネ、見ていたんだけど、まあ…良かったな。」
その瞬間、教室のドアが開き、ラフィエルが入ってきた。
「兄さん、この度はヴィーネさんとの恋愛達成、おめでとうございます。」
「うわぁ、っていうか何でもう知っているの?」
「昨日、ガヴちゃんと一緒に隙間からのぞき見していました。その証拠にほら…」
そういうと、ラフィエルは自分の端末を取り出し、悠人に見せた。
そこには動画として昨日の私たちが写っていた。
「うわぁぁぁー、やめろ、ラフィエル。その動画だけは絶対に流出してはいけない。さあ、丁重に端末を寄越すんだ。兄さんとしての命令だ。」
「いやーですー。」
そんなやり取りをしている中、しれっと逃げ出そうとした一人の友人を私は見逃さなかった。
「待ちなさい、ガヴ、昨日見ていたんだっけ?」
ガヴリールは振り返り、動きを止めた。
「う、うん。まあ見たけど…うわっ、ちょっヴィーネ、関節は一定の方向にしか曲がらないんだよ。何をするんだ。やめろーー」
私はガヴリールを丁重に葬った。
◆
「痛ってて、ヴィーネ、やり過ぎだよ。」
「見ていたあなたが悪い。もう、恥ずかしかったんだから。」
そんなことを言っていると背後から声がした。
「いよし、この動画はお兄ちゃんがしっかりと削除したからな。もちろん、複製もできない様にしておいた。ほら、ラフィエル、端末を返してやろう。」
「ううう、酷いです、あんまりです。私は兄さんのこの動画を全国的にアップして兄さんに恥をかいてもらう姿をみたかっただけですのに…」
なんて恐ろしいことを考えているんだ。と、その時チャイムが鳴った。
「あらら、もうこんな時間ですか…それでは兄さん、ラフィエルは自分の教室に戻ります。」
「おう、できれば二度とこないでくれ。」
「うふふ、それは無理です。」
そういってラフィエルは自分の教室へと帰っていった。
「それじゃ、SHRを始める、今日の欠席は無しだな。皆もうじきクラスマッチだ。頑張るようにでは、解散。」
先生は一言だけ言うと教室を後にした。
◆
「ね、今日は悠人の家に行ってもいい?」
「んー、まあ来てもいいかな。誰もいないし。」
「やった。」
放課後、私はいつものように悠人と話していた。
ガヴリールは最近始めたバイト?というものに行っているらしい。
「ヴィーネはさ、僕なんかのどこが良かったの?」
ふと、悠人がそんなことを言い出した。
私は少し考えて言った。
「うーん、悠人のいいところも悪いところも、それを含めて全部が好きになったんだよ。」
「そっか…ヴィーネ、今日、一緒に帰ろうぜ。」
悠人はそういうと手を出してきた。私は悠人の手をつかんだ。
「もちろん。」
◆
その日の下校したときはいつも見ていた景色とは違ったように見えた。
やっぱり悠人が隣にいたからかな…
「着いた、ここが僕の家、とはいっても君の部屋の隣なんだけどね。」
悠人は家に着くと自分の部屋に入り、その後に私も入った。
「お、お邪魔します。」
私は悠人の部屋なんか初めて入ったから正直、どきどきしていた。
「まあ、汚い部屋だけど勘弁してね。今、お茶淹れてくるから適当にくつろいでて。」
とは言ったものの悠人の部屋はすごくきれいに整頓されていた。まさか普段からこの清潔感を?だったらガヴにでも見せたいくらいだ。と私は思った。
「あ、お茶くらい私が出すよ。」
私はそういって立ち上がろうとしたが悠人が止めた。
「こらこら、ヴィーネは今日はお客様なんだからここは僕がやるよ。ゆっくりしていって。」
正直、悠人のこうした態度は私にとっての好きな一面でもあった。
「分かった、じゃあお言葉に甘えて」
「うん。」
悠人はそういうとお茶を淹れにキッチンに行った。
「あっ、コタツがある。悠人ー、入ってもいい?」
私はキッチンに言うと、キッチンからは『どうぞ、ご自由にー』という声がかかったのでコタツに入ることにした。
「はぁ、暖かいなぁ。もう4月も終わりに近づいてきたっていうのに気温は一向に上がらないんだもん。コタツは必須品よね。ふああ…眠くなってきちゃった。最近、よく眠れてないからなぁ…少し、休ませてもらおう。」
そういうと、私はコタツで横になり、そのまま寝てしまった。
「ヴィーネ、お茶淹れたよ。って、なんだ寝ちゃっていたのか…」
僕がお茶を持ってきてヴィーネに渡そうとしたらそこには眠っているお姫様がいた。
しょうがないな、眠っている姿もかわいいが、起こさないとお茶が冷めちゃう。
「おーい、ヴィーネ、起きろー」
僕はお姫様のほっぺをつんつんして起こそうとした。
「う、にゃにゃ、まだ寝ているのー」
かわいい!寝言なのか…いやいや、寝言でもすごくかわいい声が聞こえた。
「はぁ…まあ、そっとしておいてやろう…」
そういって僕はお茶を台所に置き、こたつで寝ているヴィーネの隣に行き、そのまま眠ってしまった。
◆
コタツの誘惑に負け、寝てしまった私は起きてみると横には同じく誘惑に負けた悠人が寝ていた。
「悠人…いつもご苦労様。これは私からの贈り物だよ。」
そういって私は悠人の口元に近づいた。
その時、背後から手が伸びてきて私を抱きしめた。
見ると、悠人が起きていて私に向かって言った。
「捕まえた、ヴィーネ、大好きだよ。」
私は悠人の腕の中で悠人のぬくもりを感じたまま言った。
「私も、悠人の事が大好きだよ。」
そうして、私と悠人はキスを交わした。
今度は私の方から…
◆
「さて、夕飯も食べたことだし、ヴィーネどうする?今日はこのまま帰る?」
夕食の片付けをしながら悠人は私に聞いた。
「んー、今日はこのまま泊っていくよ。あ、でも、一旦、自分の方に行って荷物と着替えだけしてくる。」
私はそういうと悠人の家の玄関まで行った。
「分かった、それじゃ、一旦、ばいばい。」
「うん、それじゃまた後で。」
そうして私は一旦家に帰った。
その後も、私達は何事もなく過ごした。
ただ、一緒に寝るという行為がとても恥ずかしく眠れなかったが…
ほんとに書いてて『あー、こんな彼女いたらいいのに~』とか思ってしまう作者です。
悠人とヴィーネのこの生活を書いているとそろそろRー15でも足そうかなと思っている今日この頃です。
次回はいよいよクラスマッチの話になります。
といった形で今回は終了です。次回の『やはり彼女は駄天使には似合わない』第八話でお会いしましょう。