昨日見た夢の中に出てきたアリスという少女に俺は見覚えはない、ないが何故か懐かしいような気がして胸が熱くなっていた。今朝起きると俺は汗を欠いていて隣ではまだ矢吹がぐっすり眠っていた。時間を確認し、まだ時間があるのを確認してから俺は風呂に入ることにした。風呂の中でも何故かアリスという少女が頭から離れなかった、しかしそれ以上思い出そうとすると脳がそれ以上はだめだ。とでも言うのか頭痛がした。俺はそれ以上考えるのをやめ、汗を流すことに集中した、ふと自分の右手首を確認する。俺の右手首は何故かそこだけ黒い痣が出来ている。ここに着いてからずっとこの状態だ、治る気配は微塵も感じさせない痣を見ると気分が悪くなる。
「……あまり考えても時間の無駄だな。」
俺は風呂から上がり手早く制服に着替え朝の日課の一つ葡萄ジュースを口に含み耳にイヤホンを当ててイスに深く腰を下ろした。聞いている曲は矢吹から紹介されたシルヴィア・リューネハイムという女の曲だ。何故かこの女の曲を聞いていると安らぐような感じがし日頃のストレスをこれで解消している。そうしていると俺のストレスの元の一つ矢吹 英士郎が起床していた。
「おーおはようソーマ。なんだ?今日はやけに早くないか?」
「……たまたま早く起きただけだ、深い意味はない。」
「また変な夢でも見たんじゃないのか?」
矢吹は変に感が鋭い。というのも、例えば俺が矢吹から逃げていると必ず逃げた先には矢吹がいて「やっぱりここか!来ると思ったんだよな。」などと俺が逃げる場所に先回りしていたり、矢吹にジュースを買ってこいと言ってその時飲みたかったものを必ず買ってきたりする。まぁ、飲みたいものなんて葡萄ジュースがほとんどなんだがな。
と、こんな風に矢吹はとても感が鋭い。この勘のお陰かは知らないが矢吹の書く新聞は皆にとても人気だ。
「……余計な詮索はするな。俺は先にいく。」
「そ、そーか、わかった。じゃあ後でそっちに行くわ!」
「……別に来なくてもいいけどな。」
そう呟くと俺は男子寮を出て学園に向かった。
学園につき廊下をフラフラしていると何だか練習場が騒がしいことに気がついた。気になってドアの前で聞き耳を立てて見るとどうやら天霧とグリューエンローゼ朝早くから練習していることに気づいた。
「……こんな朝早くからよく頑張るな。」
「確かに、綾人は頑張り屋さん。」
「…………誰だ?」
声がして振り向いて見ると声の主は青い髪と小さめの身長、どこか惚けている顔が特徴の同じクラスの佐々宮 紗夜だった。
「……珍しいな、お前が朝早く学園に来ているなんて。」
「それはお互い様、ソーマこそ何でこんな朝早くに?」
「……ただ早く起きただけだ、深い意味はない。」
「そうか……私は今から綾人とユリスの練習を見学しに行く途中だ。ソーマもこい」
「……おい!待て!」
佐々宮はそう言うと練習場の扉を開け俺の手を引っ張って中へ連れ込んだ。
「……っておい!俺は別に入るつもりは、」
「あれ?ソーマ君どうしたの?紗夜と一緒にこんな朝早くから。」
「ソーマは近くで偶然あったからついでに連れてきた。」
「……これはただの事故だ。」
「フッ、貴様が朝早くから学園にいるとは珍しいな、【死神】。」
「……チッ、その名前で呼ぶんじゃない。華焰の魔女」
俺を【死神】と読んだ赤髪の女は同じクラスで天霧のタッグパートナーユリス=アレクシア・フォン・リースフェルトだ。リーゼルタニアという国の王女らしく気難しい性格で友達は少ない。まぁ、俺も人のことは言えんがな。
「ユリスもソーマ君も喧嘩しないでよ……。」
「綾人、この2人はいつものこと。」
佐々宮の言う通り俺とリースフェルトはあまり気が合わない。こいつの一々鼻に付くような言葉遣いが理由の一つだ。天霧も良くこんな奴とタッグを組んだものだな。
「それで、貴様は何しに来たのだ?練習の邪魔をするなら容赦はせんぞ?」
リースフェルトは俺に細剣を向け睨みつける、こういう奴は1度叩き潰して黙らせるのが1番だ。俺は純星煌式武装を展開し刃をリースフェルトに向ける。
「……お前がその気ならいつでも相手になってやるよ。」
「ほほぅ、随分と強気だな?お前はここに来てから1度も決闘をしていないと聞く。なら、私と今決闘しろ、【死神】。」
「2人とも辞めなよ……」
「綾人!私にも退けない時もあるのだ!綾人は黙ってみていろ!」
「2人とも、ふぁいとー。」
「はぁ、止めても無駄か。」
天霧が観念したかのように後ろへさがる。どうやらリースフェルトは本気らしく俺に決闘を申請する言葉を発した。
「我、ユリス=アレクシア・フォン・リースフェルトは汝ソーマ・シックザールに決闘を申請する!」
そういい胸の校章に手を当て俺へと向ける。決闘か、確かこいつは魔術師だったな。少し厄介な戦いになりそうだ、だが……相手が悪い。そっちがその気ならこちらも真面目にやるとしよう。
「……受諾する。」
お互い距離を取り決闘が開始される。開始された瞬間俺はデスイーターを構え持ち前の身体能力でリースフェルトとの間合いを一気に詰める。
「クッ、早い!だが……甘い!咲き誇れ!
ユリスは炎を飛ばし間合いを詰めた俺を一気に突き放そうとする。だが、
「……甘いのはそっちの方だったな。墜ちろ!」
俺はデスイーターに力を込める。するとデスイーターに紫のオーラが纏いデスイーターの斬撃の間合いが伸びる。俺はそれを上段に構え向かってくる炎ごとリースフェルトの校章を真っ二つにした。
「
電子音声が決闘の勝者を告げ俺はデスイーターを解除し腰にしまう。
「な、なに、私が貴様に負けるだと。」
「……まだまだ詰めが甘いな、出直してこい……王女様。」
俺はそう言いい天霧と佐々宮に背を向け練習場を出ようとする。しかし出ようとする時天霧が俺に声を掛けた。
「ソーマ君、流石にパートナーがこんなふうにやられるのは俺も納得が行かないよ。次は俺と決闘してくれないか?」
「……今は断る。どうしても決闘したいなら授業が終わってからにしてくれ、俺は疲れた」
「そう、か。わかった。じゃあ授業が終わったら中庭で待ってるよ」
「……フッ、せいぜい逃げない事だな。」
そう言って俺は今度こそ練習場から出る。しかし出た瞬間に待ち構えていたのはルームメイトの矢吹だった。
「おいソーマ!俺に黙って決闘するとかないでしょ!一声掛けてくれよ。」
「……何で俺が決闘するのにお前に報告しなきゃ行けないんだ。」
「つれないねぇ、俺とソーマのなかじゃんかよ!それにうちの序列5位の後はダークホースの綾人とデュエルかよ!これはスクープだぜ。」
矢吹はじゅるりと涎を垂らして記事を書いていた。チッ、大事になっちまうな、まぁ、別にいいか。今日は少し気分が良いから今回だけ見逃してやるか。
「……矢吹、クローディアにだけはこのことを伝えるなよ?面倒事がふえる。」
「それは無理なはなしだぜ?だってもう記事にして配信しちゃったし。」
「……チッ、後で覚えてろよ。先に教室にいくからな。」
「おうよ!んじゃ後でな!」
そう言うと矢吹は練習場に入っていく。リースフェルトの次は天霧か、天霧との決闘はリースフェルトの時のようには行かなそうだな。だが何故か分からないが俺は今最高に興奮している。それと……気のせいかもしれないが右手の痣が少し広がっているようにも見えた。俺は気にしないように耳にイヤホンを当てシルヴィア・リューネハイムの曲を耳に流し教室へと向かって行った。
教室に入ると皆の視線が俺に向かっていた。そりゃそうか、決闘をしない奴がいきなり決闘をしてしかも序列5位を倒したのだ。この視線にも納得がいく。俺は気にせずに自分の席に着き机に突っ伏して瞼を閉じる。曲に集中するために耳に神経をやると曲とは違う周りの話し声も聞こえてきた。
「……おい、あの死神がユリスを倒したってよ。」
「まじでか。やっぱり死神だな、戦闘能力もバケモノだぜ。」
「ねえ、あの人って。」
「辞めなって!あの死神と関わったらろくなことないんだから。」
「声が大きいって!聞こえるよ!」
俺が序列5位を倒した事で周りからの反応は更に厳しくなっているようだ。俺は生まれつき身体能力が高い。それと別に聴覚も普通の人とは段違いだ。俺は聴覚が高いせいで周りの陰口が全てきこえているのだ、それにしても人間というのは弱い生物だ、お互い肩を寄せあってしか生きていけない。だが俺はあんな奴らとは違う、俺は1人でも充分やって行けるはずだ、人と馴れ合う何てまっぴらだ。そんな事を思いながら俺は曲に集中して授業が始まるのを待っていた。
先日友人からレイジバーストを借りたのですが余りにもソーマの出番が後半過ぎてやる気を失いました。でもシエル可愛いな。いや、作者はアリサ派です。
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