気がつくと授業が始まっていた。どうやらそのまま眠っていたようだ隣では矢吹もイビキをかいて爆睡していた。
「(……こいつあんなに寝たのにまだ眠いのか。)」
俺は少し矢吹に関心した。まぁ、俺も寝ていたから人のことは言えないんだがな。教卓では先生が六花の歴史やら構造について解説していたそして3年一区切りの星武祭についても。星武祭には3つの種類がある、まずは一年目の夏に行われる
「ソーマ、何で笑ってるんだ?」
俺の前の席の佐々宮が俺にそう言ってきた。
「……ただ考え事してただけだ。」
「ふーん、でも優勝した後の願いが葡萄ジュース飲み放題何てさすがに変だぞ。」
「……声に出してたのか。」
「違う。ソーマの考えてる事は何となく分かる、だってソーマ1日中葡萄ジュースの事だけ考えてるだろ?」
「……さすがにそこまでではないがな。」
そんな下らない話を佐々宮としていると気づけば授業は終わっていた。何でか知らんがコイツと話すのはそんなに疲れなくて楽なんだよな。
「ソーマ、今日の放課後綾人と決闘するんでしょ?」
「……あぁ、そうだな。」
「私は綾人の事も好きだがソーマの事もなかなか気に入っているだから私はどっちにも応援することにした。」
えへん!と言うようなドヤ顔で腰に手を当てそれから俺の目を見て
「ソーマ、綾人は強いぞ。だから頑張って」
「……あぁ、わかった。勝ってみせるさ」
「だけど綾人に怪我をさせないようにね、怪我させたら私が怒るぞ。」
「……段々難易度が上がってるぞ。まあ、善処するさ」
佐々宮はうむ、と頷くとそのまま机に突っ伏して寝息を立て始めた。寝るの早いな、コイツは矢吹と同じ種類か。そんな事を思いながらふと隣に目をやると矢吹は机に突っ伏し寝てる振りをしてチラチラとこちらを除いていた。
「……おい、」
「…………(汗)」
「……もう起きてるのは知ってるんだぞ。」
「…………(汗)」
「……チッ、そっちがその気なら俺にも考えがある。」
俺は少し間を開け拳の骨を鳴らして矢吹に鉄拳を喰らわせようとすると。
「わ、わるかったって!殴るのはよしてくれ!」
「……最初から素直にそうしてればいいだろ。」
「だってあのソーマが佐々宮と仲良さそうに話してるなんてスクー、」
「アァ?なんか言ったか?」
「何でもございません。」
俺は矢吹を睨みつけると矢吹は拗ねた子犬のようにシュン、と縮こまった。いつもこんな風に静かならいいんだがな……。そんなふうに思っていると矢吹が俺の顔を見て恐る恐る話しかけた。
「あ、そ、そう言えばそろそろ綾人との決闘の時間だろ?行かなくてもいいのか?」
「…………忘れる所だった。」
「お、おいおいソーマから吹っかけたくせに忘れるなんてやばいだろ」
「……全部お前のせいだ。いってくる。」
「何で俺のせいなんだよ。まぁいいか、ソーマ頑張れよ?」
「……頑張っては見るさ。」
そう言い残し俺は教室を出て天霧がいる中庭に向かった。
中庭につくともう既に大勢のギャラリーが集まっていた。集まったギャラリー達は俺を見るなりコソコソとはなし初め、俺が通ろうとすると何も言わず道を開けた。チッ、いつにも増してくだらん奴らだ。ギャラリーの中央に行くと、どうやら天霧はすでに準備しているらしく先日正式に天霧の純星煌式武装となったセル=ベレスタを構え目を閉じて待っていた。
「……悪い待たせたな、矢吹に時間を取られてた。」
「いや、それほど待ってないよ。それにしてもいっぱいギャラリーが集まったね。見せ物ではないんだけど……」
天霧は少し困った顔で周りを見渡す。まぁ、確かに少し多すぎるとは思うがな。俺はデスイーターを展開させ剣先を天霧に向ける。
「……お前がどんな覚悟を持って俺に挑んだか知らんが、あのお姫様の敵と言うならお前も随分とお人好しだな。」
「別にそれだけのために挑んだ訳じゃないさ。挑んだ理由は3つある、まず一つはユリスのため。二つ目はソーマ君と剣を交えて見たいだけさ。三つ目は……」
そう言うと天霧は口角を上げニヤリと笑った。コイツ何を考えている。三つ目が気になるが今はそれどころじゃないな
「……くだらん、さっさと始めるぞ。視線が痛くてムズムズする。」
「それもそうだね、それじゃあ始めるよ。」
天霧は校章に手を当て俺へと決闘を申請した。俺はそれをすぐに承諾し天霧と俺の決闘が始まった。決闘が始まってから数秒天霧と俺の間には沈黙が訪れていた。しかし最初に天霧が行動にでる。
「天霧辰明流剣術初伝
天霧はそう言うと踏み込んで俺へとセル=ベレスタを突こうとする。だがそれを俺はデスイーターで威力を受け流し難なく交わす。
「……
俺はリースフェルトの時と同じように思い切り踏み込み自分の背丈と同じくらいのデスイーターを上段に構えそのまま天霧に振り下ろした。手応えはなく振り下ろした先には土煙だけが舞っていた。
「(……終わったか、いや!)」
俺はとっさに左に周り混んだ天霧に気づきデスイーターでガードした。
「1度その技は見ているからね!対処の使用もあるがまさかそれも防がれるなんて星脈世代じゃないのにすごい身体能力だ。」
「……うるさい。ハッ!」
俺はデスイーターでガードしていたセル=ベレスタを切り上げ体制を崩した天霧の校章に拳を入れようとする、だか。
「まだだ!天霧辰明流剣術初伝
天霧はそう言うと切り上げられたセル=ベレスタを力ずくで振り下ろし、そこから十字に横から俺の校章を破壊するために振り抜く。だがまだまだ遅い。俺は天霧が校章を破壊する前にとっさにバックステップで交わしデスイーターを両手で持ち横に構えリースフェルトの時と同じように紫色のオーラでデスイーターのリーチを伸ばした。
「……これで終わりだ。喰らえ!」
「
俺の斬撃は天霧の校章を破壊し電子音声が俺の勝利を宣言した。本来であればギャラリーからは歓声が上がるはずなのだが周りは俺が勝者したことに驚いたのかやけに静かだった。
「やっぱり負けちゃったか、ソーマ君は強いな。俺じゃまだ勝てないや」
「……バカ言うな、お前本気を出していなかっただろ。」
「ありゃ、バレちゃってたか。」
コイツは俺に決闘で手を抜いた。しかしその理由はなんだ?俺はデスイーターを右手に持ったまま天霧の顔を見つめていた。
「ソーマ君?どうしたの?俺の顔になんかついてる?」
「……ソーマだ。」
「え?何てい、」
「ソーマでいい。君付けはよせ、……気持ち悪いからな。」
「そう、か、わかったよ!ソーマ!なら俺のことも天霧じゃなくて綾人で良いよ?」
「……考えておく。」
気がつくと周りのギャラリーはいなくなっていた。俺と天霧の周りはガラリとしており先程の喧騒はどこかに消えていった。そのあまりの変わりように俺は何故か笑っていた。
「なんで笑ってるんだい?ソーマ」
「……深い意味は無いさ。それと、お前は俺と決闘を始める前に3つ理由があるといったな?後の一つはなんだ?」
「あぁ、それね。三つ目はソーマと友達になるため、かな?」
そう言うと天霧はニコっと人懐っこい笑みを漏らし俺もそれにつられて笑ってしまった。
「……それだけのために俺と決闘したのか、面白い奴だなお前。」
「よく言われるよ。」
「おーいおふたりさん!もう決闘はおわったのか?」
俺と天霧が笑っていると矢吹が葡萄ジュースを二つ持って駆け寄ってきた。
「はい!ソーマ。疲れた後はこいつだろ?」
「……やっと分かって来たか矢吹。」
「ほら!それと綾人にもやるよ!」
「あ、ありがと。」
そして俺と天霧は葡萄ジュースを決闘で疲れた体にながしこむ。
「あ、美味しいねこれ!ソーマが毎日飲んでる意味がわかる気がするよ!」
「そ、そうか、お前も分かってるな。」
俺は照れくさそうに鼻を掻きながら顔を反らした、すると矢吹が。
「なんだー?おふたりさん知らない間に仲良くなってんじゃん!うんうん、よきかなよきかな。」
「……チッ、いつにも増して騒がしいやつだ。」
「それについては同情するよ。毎日大変だね、ソーマ。」
「二人して俺の悪口とか酷くないか!?」
そんな矢吹の声を無視して俺は考える。天霧 綾人、不思議なやつだ、俺と友達になるために決闘を挑みわざと負けるだなんて。
「あ、それでソーマ!俺と、友達になってくれるかな?」
「……チッ、勝手にしろ。」
「うん、これから宜しくね!ソーマ!」
そう言うと天霧は俺に手を伸ばし握手を求めてきた。俺は少し遠慮がちに手を伸ばすと天霧が俺の手を掴み強制的に握手することになった。
「……宜しく…………綾人。」
「あれ?俺って無視されてる、よな?」
ソーマと綾人は先程までの決闘が嘘のように仲良くなっていた。それから矢吹 英士郎を置いて男子寮に2人で向かって言ったのは言うまでもないない。
「あれ、土煙が目に入って涙が。」
次か次の次に矢吹視点でも書いてみようかなと思ってます。
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