先日起こった矢吹のストーカー事件から4日が過ぎいよいよ鳳凰武祭が1週間後に始まろうとしていた。そして何故か俺は頭を悩ませていた。その原因を知るには4日前に遡らなくてはいけない、が。めんどくさいので省略することにする。簡潔に説明するとあれから矢吹をボコボコにした俺は綾人に矢吹を連れ帰るように言いつけそして何故か俺はシルに説教をされた。そして俺はシルに鳳凰武祭に出ないと許してあげないと言われ渋々了解したのだ。しかし鳳凰武祭はタッグ戦、組むメンバーがいなければ出ることも出来ない。だから俺はこうして頭を悩ませている訳だ。
「……どうしたもんか。」
「おう!ソーマどうしたってよ!そんな湿気た顔して!」
「……チッ、矢吹か。」
こいつ4日前に俺にボコボコにされたのによくまあ話しかけられるもんだ。度胸だけはいいって言うか。タダのアホっていうか。
「なんだよ。俺じゃ気に食わないってか?俺ならソーマの悩んでること解決できるかも知れないぞ?」
「……ふーん。じゃあ何に悩んでるのか当ててみろ。」
「そんなの決まってんだろ!校内で葡萄ジュースの販売が中止になるからどうしたもんか悩んでんだろ?」
「……全然ちがう。って言うかその話し本当か。」
矢吹の話が本当なら俺は校内で葡萄ジュースが飲めないことになる。これは重代だ、これは何としても鳳凰武祭にでて優勝して葡萄ジュースの校内販売禁止を取り消して貰わなければ。
「あぁ、マジらしいぞ、何でも売れ行きがあまり良くないらしくてな。てかそれじゃないなら何になやんでんだよ?」
「……鳳凰武祭のタッグパートナーについてだ。」
「えぇ!まじ?ソーマが鳳凰武祭にでんのか!これはニュースだぞ!」
こいつ4日前のことで全く成長してないのか、あきれたもんだ。
「……また余計な事するなら今度は1週間寮から出れないようにするぞ。」
「じょ、じょーだんにきまってんだろー。それにしてもパートナーねぇ。」
「お、矢吹とソーマ何の話をしている、私もまぜろ。」
「ん?佐々宮か!丁度いい所に来てくれた!今ソーマの鳳凰武祭のパートナーがいなくて困ってんだよ!」
「おお、そんな事か。」
「……なんだ。佐々宮当てがあるのか?」
珍しく佐々宮が役にたつな。
「実は私も鳳凰武祭に出る予定だったのだが、急遽お父さんに呼び出されてしまってどうしようかと悩んでたんだ。」
「へぇーそれで?」
「だから、私の代わりに私のパートナーとソーマが組めばいい。」
佐々宮はエヘン、といった表情でドヤ顔をかましてくる。と言うか佐々宮のパートナーって……
「ってことはソーマあの元序列1位の疾風迅雷と組むのか!?」
「……何だか嫌な予感がするんだが。」
「大丈夫だ。綺凛はいい子だし実力は確かだからソーマの足は引っ張らないぞ。」
刀藤 綺凛。中等部の元序列1位か。話には聞いたことがあるが、疾風迅雷、その二つ名から分かる通り彼女の剣は早い、らしい。実際には見たことないがな。でも1度綾人を負かしているんだったな。だがな、
「……実力が確かなのは認めるが、そんな奴が俺みたいな奴と組んでも良いのか?」
「うむ、気にするな。綺凛はそんな事気にしない。」
「まあまあ、いいじゃんかソーマ!綺凛ちゃんがペアなら問題要らないって!」
「……まぁ、そうだな。」
「よし!決まりだな!じゃあ佐々宮!」
「よし、わかった、今から綺凛を練習場に呼ぶ。」
「おいソーマ!綺凛ちゃんは……凄いぞ。」
「……なにがだ。」
綺凛と言う女が凄いというのは知っている。だが矢吹の言っている凄いと言うのは何だか違う気がした。そして、後々俺はこの言葉の意味を理解することになる。
「そりゃきまってんだろ!あの年齢から考えられないバインバインだぞ!すごいったら、あだぁ!なにすんだよ佐々宮!」
「そんな下品な事言うなら矢吹は綺凛とは合わせないぞ。」
「わ、悪かったって。」
「……くだらん、さっさといくぞ、佐々宮。」
「れっつごー。」
そうして俺と佐々宮は綺凛が待っている練習場へと向かった…………
「あれ?2人とも俺のこと忘れてない?」
…………勿論矢吹を置いて。
〜〜〜〜〜〜
「あ、あのぉ!私刀藤 綺凛です!紗夜先輩からお話は伺ってます!あの、その、えと、よ、よろしくお願いします!」
「綺凛、あんまり緊張するな。ソーマは見た目は強面だが根はイイヤツだ。」
「……強面は余計だ。」
俺の目の前にいたのは想像していた疾風迅雷とは違って、見た目は少女でとても可愛らしい女の子だった。ちなみに俺が想像していた疾風迅雷とはリースフェルトのような強気で自信過剰な女。だが実際見てみるとどうだ、礼儀は正しくてとても…………凄い。何がとは言わないが。
「……俺はソーマ・シックザールだ、適当に呼んでくれ。」
「は、はい!ソーマ先輩。あの、それじゃあ私の事も好きに呼んで下さい。」
「……そうだな。じゃあ綺凛と呼ばせて貰う。」
「あ、はい!分かりました!よろしくお願いします!」
「おぉ、2人とも仲良くできそうだな、それじゃ私は失礼する。」
そう言って佐々宮は出ていこうとする。すると出る前に振り返り俺のほうを見てこう言った。
「ソーマ、一つだけ頼みがある。」
「……なんだ?佐々宮」
「アルルカントの奴らを私の代わりに倒してくれ。」
「……そんな事か、任せておけ。」
「綺凛もソーマとがんばれ。」
「わ、分かりました!紗夜先輩!」
なんだ?佐々宮アルルカントに何か因縁でもあるのか?いや、頼まれたからには全力で潰すだけだ。
「2人とも頼もしい。やっぱりソーマに頼んで正解だった。」
「……気にするな、俺もパートナーを探してた所だ。」
「ありがとう。2人とも応援してる。」
そう言い残すと佐々宮は練習場をでてどこかに言ってしまった。……さて、ここからどうしたものか。俺は中等部の女子に何を話したらいいんだ。
「あ、あのぉ、」
「……どうした?」
「私ソーマ先輩の実力をあまり知らなくて、それで、」
「……早く要件を言え。」
「あ、はい!あの!私と決闘してくれませんか!!」
「……要するにお互いの実力を知るために決闘する、という事か?」
「はい!そうです。私達は一応パートナーなのでお互いの実力を知るにはこれが手っ取り早いかなと思いまして。」
確かに一理あるな。ここでお互いの実力を確認するのも悪くない。
「……了解だ。じゃあ始めよう。」
「あ、はい!お願いします!」
そうして俺と綺凛はお互い距離を取り俺はデスイーターを展開させ、綺凛は背負っていた日本刀を構え俺は決闘をする際の言葉を発した。
「……我、ソーマ・シックザールは汝、刀藤 綺凛に決闘を申請する。」
「受諾します。」
始まった瞬間お互いに踏み込んでデスイーターと日本刀がぶつかる、その時……
「おいっす!待たさたな!随分とさがしたんだ、ぜ?」
矢吹の登場によりバランスを崩した俺達は正面からぶつかりもみくちゃになって転がった。
「……チッ、タイミングが悪すぎるぜ。」
「あー悪い悪いお取り込み中だった、か。って」
「……どうした?って」
何だか右手に柔らかい感触がある。そうだな、例えるならば……全てを包み込むまるで母の愛、といったところか。いけない、現実を見なければ。
「は、はわわわわ!」
「す、すまん!これは全部矢吹のせいで……」
「おい!確かに俺も悪いけど全部悪いわけじゃないだろ!」
なんと言うか。もみくちゃになった勢いで俺は綺凛を押し倒す形で綺凛の胸部装甲に手を置いていた。なんと言うか……凄い。何がとは言わないが。
「はぅぅ、だ、だだ大丈夫、です。ソーマ先輩が悪いわけじゃないので。」
「……本当にスマン。そんなつもりは無かったんだが。」
ふぅ、どうやら許してくれるようだ。と言うか見ていたのが矢吹だけで本当によかった。他の奴らが見ていたら……
……ってあれ?なんだ。複数の視線を感じる。
「き、きき貴様!ま、まさかそんな趣味があったのか!」
「ソーマ、流石にそれは俺でも引くよ……。」
「あら、ソーマったらそんなプレイが好きなのですか?」
「ソーマ、綺凛に何をしている。」
この後俺は初めて土下座というものをした。……こんな屈辱は2度と味わいたくない。
PS・次の日学園新聞には死神は中等部の女の胸を揉みしだくどうしようもない変態という記事が匿名E・Yから提供されそれを見たソーマが鬼の形相でどこかへ言ってしまいそれから1週間矢吹は学校に来なかった。尚記事は消され代わりに新聞部の矢吹は中等部の女子の胸ばかり見ている変態と言う記事が掲載されたのは別の話である。
矢吹さん。お疲れ様です、
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