マダンロンパ〜超高校級達の数列〜   作:†AiSAY

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第5話です。
よろしくお願い致します。


第2問 ③イキキル (非) 日常編

朝比奈「ねぇねぇ!もしかして守亜ってさあ、探偵なんじゃない!」

 

朝比奈の声が食堂内に響く。

 

葉隠「お!確かに、その可能性はあるべ!!昨日の十神っちと大和田っちの正体も見破ったし!」

 

大神「うむ、守亜の観察眼は我も目を見張るものがある。あながち間違いではないのではないか?」

 

と、朝比奈の結論に湧く2人。

しかし、苗木だけは何故か浮かない顔をしていた。

その様子を見た舞園が苗木に声をかける。

 

舞園「どうかしましたか、苗木君?」

 

その声にハッとなり、苗木は再び守亜を見た。

すると、その本人と目が合い、思わずたじろいだが直ぐに我に返り、もう一度守亜の目を見て言った。

 

苗木「そうだね、守亜君ほどの人なら確かに超高校級の探偵だって言われても納得かもしれない。」

 

朝比奈「でしょでしょ!!」

 

と、自分の意見が皆に賛同されたのがよほど嬉しかったのか、満面に笑みで喜ぶ朝比奈。

だが、苗木は続けて守亜に聞いた。

 

苗木「それで…。どうかな?守亜君、僕たちの予想はこういう感じになったけど何か心当たりはあるかな?」

 

そう、言い守亜へと訪ねる苗木。

他の4人も同様にして彼の方へと目線を向ける。

 

しかし、当の本人はどこか訝しげな表情をしており、手を顎に当てている。

そして、ひとしきり悩んだ様子を見せると口を開いて言った。

 

守亜「いや、それだけはないだろう。まったく根拠はないが、何故かソレだけは断じてないと言い切れる。」

 

と、少しばかり大きな声で否定する彼を見て、朝比奈が言った。

 

朝比奈「ええ~。だって、あんなに頭が良いんだよ!トランプも強いし、葉隠も言ってたけど昨日の推理もばっちりだったじゃない!」

 

守亜「いやいや~。だから、あれは推理ではないよ。あくまでも見て得た情報から計算したに過ぎない。何より、私自身があれを推理と感じて行っていないのだから。」

 

その言葉に一同が首を傾げる。

そして、その様子を見ながら守亜は続けて言った。

 

守亜「そもそも、探偵というのは既に出来上がった事柄を分析、見聞して推理することによって、自分が出した答えが真実かどうかにこだわる人種を指すものだ。」

 

葉隠「ん?じゃあさ、守亜っちは違うんだべか?」

 

守亜「ああ、そうとも!。私はどちらかというと自分で組み立てることに喜びを感じるからネ!もちろん、その組み立てたものが上手くいったかどうか確かめはするが、上手くいかなくてもそれはそれで面白いものサ!!答え合わせをするだけなんて、まったくもってつまらない!」

 

 

その言葉に納得はいかないものの、そこまで否定されては本当に違うのだろうと一同は探偵という線を捨てた。

すると、苗木が再び守亜に訊ねた。

 

苗木「じゃあ、守亜君自身は自分の才能ってなんだと思うのかな?」

 

 

守亜「うむ…。得てして、自分の才能が自分の望むもの、好ましいものであると直結して考えることは出来ないが…。」

 

と、守亜はしばし思考する。

そして、それが終わると一同を見て言った。

 

守亜「どうやら、私に関して言えば才能と愛しているものは直結しているらしい。私は数学を愛している。」

 

舞園「す、数学ですか?」

 

舞園同様、守亜の言葉を聞いた皆が固まる。

しかし、守亜自身はそんなこと気にすることなく続けた。

 

守亜「うむ!数学サ!!あれは非常に素晴らしい!数字と言うものには無限の可能性がある!!自らの計算によってあらゆることが予測でき、それは同時に万物を支配することを意味する!!」

 

そのあまりのテンションの高さに一同は圧倒される。

まだ、たった1日しか共に過ごしてはいないが、その姿は先ほどまでの彼の姿からは到底予想できるものではなかった。

 

守亜「そして、計算が狂い間違ったとしても、それは失敗ではなく新たな可能性を示しているのサ!!!そして、私にはその能力とそれを愛せる情熱がある!!もしこの身に何か才能があるのであれば、それは数学に対する情熱と愛だろう!」

 

守亜の言葉が食堂に響きこだまする。

一同は依然と圧倒され呆然としたままだ。

そして、守亜は我に返ると、その様子を見てわざとらしく咳払いをしていった。

 

守亜「失礼、興奮しすぎたようダ…。だが、コレが今の私の偽りのない想いと自分自身に関する考察だ。こんな私を形容するならば、差し詰め私は超高校級の数学者とでもいったところだろう。」

 

苗木「超高校級の数学者…。」

 

苗木が守亜の言葉を反芻する。

 

葉隠「た、確かに今の感じじゃ守亜っちの数学に対する情熱は半端じゃねえべ…。」

 

大神「確かに、数学に対するそこまでの愛があるならば、昨日のことも今のことも納得ではあるな。」

 

朝比奈「ふへ~。何かよく解らないけど凄いんだね~。」

 

舞園「ちょっとびっくりしましたけど、守亜君がそこまで言うならそうなのかもしれませんね!」

 

と、それぞれの感想を述べる姿を見て、守亜は満足そうな笑顔を見せた。

 

守亜「うん!納得してくれたようで何よりだ!これからよろしく頼むよ、諸君!!」

 

そうして、その場は解散となったが、苗木だけは未だに言葉にできない不安を抱えたままだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

翌日

朝になり部屋のカメラを見つめる苗木。

希望ヶ峰学園での生活は慣れないが、少なくとも朝起きて知らない天井に疑問を持つことはなくなった。

未だ、モノクマが提案したコロシアイは起きてはいないが、それでも暗い疑心が自分の中に渦巻いているのが解る。

と、その時来客のインターホンが鳴り響く。

 

石丸「グッモニーンッだぞ、苗木くん!」

 

苗木「おはよう石丸君」

 

石丸「では、おじゃまするぞ!」

 

苗木「ちょ、まっ!」

 

突然、部屋に入ってきた石丸にたじろぐ苗木

しかし、そんなことはどこ吹く風といったようにドカドカと部屋に入ってくる石丸。

 

苗木「ど、どうしたの石丸クン?」

 

石丸「いくら荒波に揉まれようとも、両足をしっかりと着けていれば倒れる事はない……君もそう思うだろ?」

 

苗木「……えっと、どういうこと?」

 

石丸「つまり!1人で荒波に耐えられないなら、支え合うために親睦を深めようってことだな、苗木くん!」

 

実に風紀委員らしい言い回しだなと思いながらも、あまりにも唐突なその言葉に圧倒される苗木。

 

石丸「そして、今日をその記念すべき最初の日にするのだッ!だから、すぐに食堂に集まってくれたまえ!」

 

苗木「わ、わかったよ」

 

石丸「では、僕はこれで失礼するぞ!他の皆にも知らせて回らねばならないのでな!」

 

そういって、再びドカドカと部屋に出て行く石丸を苗木は呆然と見送った。

 

なえぎはため息をつきながら部屋を出て、食堂へ向かおうとすると、前方に見知ったスーツ姿の背中が見えた。

 

苗木「おはよう、守亜君。」

 

守亜「ん?おはよう、苗木クン!」

 

そう言って、苗木の方を向き笑顔を見せ、挨拶を返す守亜。

自称超高校級の数学者であると、昨日結論が出た彼だが正直言って苗木は彼が少し苦手だった。

飄々とした雰囲気とは裏腹に常に冷静さを失わないところや、先日見せた推理力(計算力)は非常に驚いたし、今後のことを考えれば頼もしいとさえ思う。

しかし、逆を言えばその能力が非常に恐ろしくもあった。まるで自分の全てが見透かされているような感じがするのだ。

そのアンバランスさこそが苗木が理由もなく守亜に対して不安を抱いてしまう理由なのかもしれない。

 

そんなことを考える苗木を見て、守亜が口を開く。

 

守亜「苗木君、大丈夫かね?」

 

苗木「え!?う、うん!大丈夫だよ…。」

 

守亜「うむ…。なら、良いがね。無理は良くないヨ。」

 

と、本気で苗木を心配する守亜の姿に苗木はそれまで頭の中にあった考えを振り払い笑顔を見せて言った。

 

苗木「ありがとう。さ、早く食堂に行かないと!」

 

守亜「ん、そうだネ!石丸クンを怒らせるのは避けたいからネ!」

 

そう言って、2人は食堂へと向かった。

 

 

 

食堂に集まったが、交わした会話ははっきり言ってまとまりがなかった。

セレスと江ノ島が言い争いになったり、不二咲が黒幕の正体が『ジェノサイダー翔』ではと根拠のない推理をする。

また、朝日奈が監禁されてから時間がたっていることを理由に間もなく〝助けが来る〟のではと言った。

ちなみに葉隠は未だにこの状況がドッキリであると考えており、脳天気なことを述べている。

 

すると、そんな中

 

モノクマ「アハハハハハハハハハハハハハハッ!!」

 

と、モノクマが高笑いと共にやってきた。

 

モノクマ「警察だって?オマエラ〝警察〟にはどんな役割があるか知ってる?」

 

朝比奈「犯罪者を捕まえる」

 

モノクマ「そうじゃなくてさあ。アニメとか特撮でだよ」

 

守亜「うむ、引き立て役。必ず遅れてやってくるヒーローが来るまで市民を必死に守ってるが、その意気とは逆に残念ながら悪役の強さを引き立てることしか出来ないことが大抵だネ。正直言って損な役回りダネ・・・」

 

モノクマ「ウプププ~、さすが守亜君わかってるじゃな~い!」

 

モノクマは蜂蜜の入った小瓶をひっくり返し飲み切ると全員を見渡して言った。

 

モノクマ「…ていうかさぁ、そんなに出たいなら、殺しちゃえばいじゃーん!」

 

その言葉に全員が息をのみ押し黙る。

 

葉隠「アッハッハッハ!!」

 

朝比奈「笑うトコ?」

 

葉隠「徹底した芝居っぷりに感心してるんよ」

 

江ノ島「…アンタ、まだ言ってんの?」

 

葉隠の言葉に江ノ島が呆れたように言う。

そして、大和田がモノクマに向かって言う。

 

大和田「つーか何の用だぁ!?連続殺人鬼さんよぉ!」

 

モノクマ「…レンゾクサツジンキー?変な名前!ドイツ人?」

 

大和田「オメェの正体はわかってんだよ…!」

 

モノクマ「無視無視…」

 

大和田「無視すんな、コラァ!!」

 

モノクマ「はいはい、それでは話を戻して…」

 

大和田の怒声を無視して、モノクマが話を続ける。

 

モノクマ「学園生活が開始して数日経った訳ですが、まだ、誰かを殺すような奴が現れないよね!オマエラ、ゆとり世代の割にガッツあるんだね…でも、ボク的にはちょっと退屈ですぅ~!」

 

苗木「何を言われようとボク達は誰も殺さないし、誰も殺させない……!」

 

すると、モノクマが何かひらめいたように言った。

 

モノクマ「あ、わかった!ピコーン、閃いたのだ!場所も人も環境も、ミステリー要素は揃ってるのに、どうして殺人が起きないかと思ったら……そっか、足りないものが1つあったね!」

 

桑田「足りないものってなんだ?」

 

モノクマ「…ずばり《動機》だね」

 

モノクマの言葉に再び全員が沈黙する。

 

 

モノクマ「まあ、と言うわけで皆さんの動機を作りました!ボクって働き者のクマだよね~♪冬眠の心配なんてしないね」

 

大和田「動機だぁ……?どういう意味だッ!!」

 

モノクマ「というわけで、オマエラに見せたい物があるんだ!」

 

大和田「話変えんな、コラァァ!」

 

モノクマ「オマエラに見せたいのは、ちょっとした映像だよ…あ、違うよ。18禁とかアブノーマルとかじゃないよ!ホントに、そういうのじゃないんだからッ!!『学園の外の映像』なんだってば!」

 

その発言に、周囲の全員の目つきが変わる。

 

モノクマ「学園内のある場所に行けば、その映像が見られるよ!」

 

霧切「……だったら、すぐに確認してみましょう。でも、その前に聞かせてもらえる?あなたは何者なの?どうしてこんな事をするの?あなたは私達に何をさせたいの?」

 

モノクマの言葉に霧切が真っ先に応え、そして問い詰めるような視線をモノクマに向ける。

 

モノクマ「ボクがオマエラに…させたい事?……あぁ、それはね──」

 

──絶望…それだけだよ……──

 

その言葉にゾクリと、苗木の背に冷や汗が流れる。

他の者達も息をのんで固まっている。

しかし、ふと目をそらすと一人だけ他とは違う反応を見せている人間がいた。

その人物はいつもと同じように冷静な表情をしているように見えるが、その目が僅かに可笑しそうに歪んでいるのを苗木は見逃さなかった。見間違いと思い、再び彼に目をやるとそこには普段と変わらない姿があった。

 

モノクマ「後の事が知りたければ、オマエラが自分達の手で突き止めるんだね。この学園に潜む謎、知りたければ好きにして。ボクは止めないよ」

 

そう言ってモノクマはどこかへと去っていった。

食堂に何度目かわからない沈黙が広がる。しかし、これまで以上に重い空気が全員にのしかかる。

 

すると守亜が口を開いて、その空気を壊した。

 

守亜「で、どうするのかね?」

 

腐川「ど、どうするって何をよ・・・」

 

守亜「いやなに、モノクマの言葉を信じるのであれば内容はどうあれ外部の様子を知ることが出来るわけだろう?」

 

そう言って、1人食堂を出ようとする守亜

 

桑田「お、おいどこに行くんだよ?」

 

守亜「どこって、モノクマの言う映像とやらを見に行くのサ。もっとも、あの物言いだと楽しいものではなさそうだが・・・」

 

舞園「あの、守亜君。ある場所がどこかわかるんですか?」

 

迷わず歩く守亜に、舞園が不思議そうな顔で尋ねてくる。

 

守亜「まあネ。いくらここが異常な空間とはいえ学校であることには変わりない。なら、映像が見られる場所なんて限られてる。」

 

舞園「………あ、そうか!視聴覚室!」

 

守亜「正解だよ。で、キミ達はどうするのかナ?」

 

朝比奈「ど、どうするって?」

 

守亜は振り返って、全員を見て言う。

 

守亜「忘れたのかい?モノクマは《動機》と言っていた。だとしたら、用意された映像とやらは我々に外へ出ることを促す内容のものである可能性が高い。そしてそれは…。」

 

その言葉に苗木はハッとなった。

そう、自分たちに外へ出させるようなもの。

もし、それに感化された人がいたら、その人がとるべき行動は…。

 

守亜「殺意をもって、行動を起こすしかない。何を見ても後悔しないことだ…。」

 

苗木が出した答えを守亜が淡々と答える。

その口調がむしろこれから起こり得る未来で起こることが現実であるように物語っているようで皆は息をのんだ。

しかし、このまま立ち止まることも出来ず、苗木達は守亜の後に続いて視聴覚室へと向かった。

 

to be continue...

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