苗木達が視聴覚室の扉を開けると、各々の名前が書かれたDVDが入っているダンボール箱を見つける。
そこには生徒それぞれの名前が書かれたDVDが入っていた。
苗木「これは・・・」
守亜「ふむ、ご丁寧にそれぞれ個別に映像を用意しているとは・・・」
その後、一通り視聴覚室を確認し、生徒達は各自自分たちのDVDをもって席に着いた。
プレイヤーの電源が順次入り、皆が映像へと見入る。
時間が経った。
視聴覚室には沈黙とともに、何とも言い難い雰囲気が漂っている。
この空間に漂うソレになんと名付ければいいのだろうか。いや、そんなことは決まっている。
モノクマが何度も言っていたではないか・・・
自分が望むのはただ一つ
ーーー絶望であるとーーーーー
苗木が画面から顔上げる、その表情は青ざめており、体も震えている。
周りの他の生徒達も同様の反応をしている。
すると、誰かがドタドタと慌てて視聴覚室を出て行った。
苗木はそれが舞園だと知ると、苗木もまた急いでその後を追って自身も視聴覚室を出た。
舞園の後を追った苗木はとある教室の前に立っていた。
すると、教室の前の扉が開く。苗木がその方を見るとそこから出てきたのは舞園ではなかった。
苗木「も、守亜君?」
守亜「む、苗木クンか?」
苗木「どうして守亜君が?」
守亜「いや、あの映像を見た後に考え事をしたくてね。皆も同じような内容を見ているのだと思いそっと外に出てこの教室に来たのだが、舞園クンがひどい顔で慌てて入ってきたのでね…。」
苗木「ッツ・・・・・」
守亜の言葉を聞き顔を歪める苗木。
すると、守亜は苗木に近づき肩に手を置いて言った。
守亜「済まないが、彼女のことをお願いしても良いかね?」
苗木「え?」
守亜「どうやら、私では彼女の力にはなれないようだ・・・。」
そう言って、守亜は去っていった。
苗木はその姿を見送ると、深呼吸をして教室の中にはいる。
苗木「舞園さん」
舞園「……苗木、君……」
苗木が俯いている舞園に呼びかけると、舞園は幽鬼のように蒼白くなった顔を上げて苗木を見つめる。
舞園「……どうして…ですか……」
苗木「………」
舞園「どうして私達がこんな目に……!私達が、何をしたって言うんですか!」
苗木「落ち着いて、舞園さん。助けはすぐ来るよ!」だから、ね?落ち着いて。ボクが守るから」
舞園「苗木……君」
苗木「──ッ!?」
涙目の舞園を見て、苗木はそんな言葉しかかけることしかできなかった。
そして、そんな根拠のない言葉しかかけられない自分の非力さに唇をかんだ。
舞園「……約束してください。苗木君だけは、何があってもずっと私の味方でいて……」
苗木「何があってもボクは舞園さんの味方だよ……」
そして、苗木は舞園が落ち着くのを待つと部屋へと戻っていった。
苗木は今日のことを思い出していた。様々な思いが苗木の頭の中を駆け巡る。
すると、部屋のインターホンが鳴った。
今はもう間もなく夜時間、セレスの提案により、外出は禁止されていた時間はもうすぐだというのに。
(まさか、舞園さん!?)
そう思いながら、恐る恐るドアを開く。しかし、そこにいたのは苗木の予想を裏切った。
そこいたのは守亜定爾であった。
苗木「守亜君?」
守亜「こんな夜分にすまないね。中に入っても良いかね?」
苗木「う、うん…。」
そう言って、部屋の中に入る守亜。
苗木はその姿を目で追う。
苗木「それでどうしたのかな?」
守亜「いや、何。昼のことについてお礼を言おうと思ってネ。」
昼のこと。
その言葉を聞いて、苗木は再び教室での舞園の姿を思い出した。
守亜「超高校級の数学者等とのたまわったクセに女性ひとり慰められないとは・・・」
そう自虐的な笑顔を見せる。
その表情に嘘はなく、本当に舞園や苗木のことを気にしているように思えた。
苗木「いいよ、僕も大したこと出来なかったけど、何とか舞園さんも落ち着いたみたいだし・・・」
守亜「そうか、そういってもらえると助かるよ。」
苗木「うん。」
守亜は安心した顔をすると、再び口を開いた。
守亜「代わりと言っては何だが、キミに何か悩みがあるのであれば、力になろう!」
苗木「う、うん。じゃあ、少しだけ愚痴っていうか、弱音を聞いてもらっても良いかな?」
そう言って、苗木は自分が抱えている不安を語った。
守亜はただ苗木の話を聞くことに徹した。
何も解決しないが、それでもこれまで溜まっていた心の中にあるモヤモヤが晴れていくのを苗木は感じた。
苗木「このままどうなるのかな?」
苗木はもう何度目になるかもわからない質問をした。
すると、これまで聞くことのみだった守亜が口を開く。
守亜「フ、数学のことを話した時、、私は言った。数学は計算によってあらゆることが予測でき、それは同時に万物を支配することを意味する。と・・・」
苗木「う、うん。」
守亜「今でもその考えは変わらないが・・・。しかし、現実はやはりテストの問題等とは違うな・・・。」
その真剣な表情で語る守亜を苗木は黙って聞いていた。
守亜「正直言って、この状況は常軌を逸している。しかし、内実はモノクマが設けたルールによって確立している。このコロシアイは絶対的だが、定められているのであれば、それ以上でも、それ以下でもない。大切なのはXと言う変数なのだよ。」
苗木「守亜君・・・」
守亜「この場合、このコロシアイという式におけるXとは何か。それを常に考える必要がある。そして、それは個々人によって異なるだろう。ならば、せめて皆がXに同じものを入れれば、皆同じ解を出すことが出来るはずだ。」
苗木「同じ解・・・」
守亜「うむ、しかしそれは容易ではないだろう。なら、せめてキミだけは変わらないことだ。」
苗木は守亜の言葉の意味は分からなかったが、それでも彼が真摯に言っていることだけはわかった。
そして、ひとしきり話が終わると守亜は立ち上がり、部屋を出ようとした。
すると、再び部屋のインターホンが鳴った。
今度は誰だろう。
そう思い、ドアを開けるとするとそこには今度こそ舞園さやかがドアの前に立っていた。
舞園は顔を蒼くして、まるで怯えるように周囲を見回し、中で話がしたいと言い出した。
断る理由もないので、苗木は舞園を自室に招いた。
舞園「あ、守亜君もいたんですね?」
守亜「おや、舞園クン。ここにいては私はお邪魔かな?」
舞園「いいえ、大丈夫です。」
苗木「それで、何があったの?」
苗木が話を聞こうとした。
舞園「ごめんなさい…ちょっと変な事があって…」
苗木「変な事?」
舞園「さっき……部屋で横になってたら……急に部屋のドアが、ガタガタと揺れ出して……」
その言葉に2人が驚く
舞園「誰かが無理矢理……ドアを開けようとしているみたいでした。……鍵をかけておいたんで、開きはしなかったんですけど……でも、その揺れは…どんどん酷くなって…私は怖くて、そのままじっとしていたんですけど……」
守亜「それで、どうなったのかネ?」
舞園「…しばらくしたら収まりました。後で、恐る恐るドアを開けて、確認してみたんですけど、誰もいませんでした……」
苗木「そう、無事でよかったよ。ごめんね?『守る』なんて言って、そんな危ない目に遭ってるのに気づかなかったなんて」
舞園「な、苗木君のせいじゃありませんよ!……みんなを疑うって訳じゃないんですけど、でも……ちょっと心配で……もし夜時間の間も、あんなことがあったらどうしようって……」
守亜「うむ、ではどうしようか?私と苗木クンで見張りでもしようか?」
舞園「そんな、悪いですよ!………あの、じゃあ提案なんですけど、一晩だけ部屋を交換してもらえませんか?」
苗木「え?でもそれは…。」
守亜「うむ、でもどうするのかな?苗木クンと私のどちらの部屋と交換しようか?」
苗木「え、守亜君!?」
守亜「苗木クン、もうすぐ夜時間だ・・・。舞園クンをこのままにして置くわけにもあるまい。」
苗木「う、うんそれで舞園さんが安心するなら、ボクは構わないよ……」
結局、本人の希望により舞園は苗木と部屋を交換する事となり、守亜も苗木の部屋から出て、自室へと帰って行った。
舞園「大変。夜時間になっちゃいましたね…」
苗木「じゃあ部屋は交換するって事で、ボクは舞園さんの部屋に行くよ………はい。ボクの部屋の鍵」
舞園「ありがとうございます。これ、私の部屋の鍵です」
お互いの鍵を交換して、苗木は舞園の部屋に向かい一夜を越すこととなった。
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翌日
苗木は起きると、自分が昨日舞園と部屋を交換したことを思い出した。
そして、身なりを整えて舞園のところへと向かった。
インターホンを押す。
しかし、返事はなく不思議に思った。
ふと、嫌な予感が苗木の頭の中を駆け巡る。
いそいで、鍵を使い部屋の中に入ると、そこにあるモノがあった……。
苗木「ウ、ウアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
腹部に包丁が刺さり、血塗れになっている舞園さやかの姿が・・・・・・・
to be continue...