NARUTO-カルタ外伝- 転生者の独擅舞台《チーターライフ》   作:新名蝦夷守

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093.九尾の封印術式 其の伍

 オレが九喇嘛と仲良くなったことによって、クシナが出産の際に九喇嘛が暴れ出して封印を無理矢理こじ開けられるというリスクは無くなった。

 

 それは無くなったのだが、この先のことを考えると九喇嘛が欲しいオレは現実世界に意識を戻すと周りの人たちにはこう伝える。

 

「ぼくの瞳力でクシナさんの精神世界に棲んでいる九尾を見てきました」

 

「残念ながら伝説のうちはマダラのような瞳力はなかったようで万華鏡写輪眼で制御するのは無理そうでした」

 

「それでぼくの見立てによると羽衣式の封印術でクシナさんと九尾を繋いでいる鎖をこの場しのぎ的に補強することは可能です」

 

「ただ、それではクシナさんにも負担が大きいでしょう」

 

「それに今後、ミナトさんとの間に第2子、第3子と子どもができることになれば尚更。出産の度に補強すればするほどクシナさんへの負担は大きなものとなってしまいます」

 

「九尾の妖狐は他の尾獣と比べても格段に強大な力を持っています」

 

「それを一人の人柱力に封印しようというものが元から酷な話」

 

「この問題を根本的に解決するには方法はひとつしかありません」

 

「九尾を陰のチャクラと陽のチャクラに分けて、2人に分割して制御するのです」

 

「比較的制御しやすい陽のチャクラを持つ九尾はクシナさんが。どちらかと言うと気難しい陰のチャクラを持つ九尾はぼくが受け持ちます」

 

「今度はぼくが暴走しないか。ですか?大丈夫ですよ」

 

「なんてったって・・・ぼくは羽衣カルタですから」

 

 と。

 

 こんな口から出まかせを即興で考え付く悪い子カルタちゃん(悪い子カルタちゃんって何だ)であったが、それしかないと言われると弱い。代替案を出すことができない大人たちから渋々ながらも同意を得て作業に取り掛かる。

 

 まずはクシナの精神世界で九喇嘛を陰と陽に分裂させて・・・。

 

 

 

 

 

「皆さん、本当にありがとうございました!」

「無事にこうして息子を抱けているのも皆さんのおかげです」

 

 クシナが無事に元気な男の子を産み、ひと段落ついたところで約束通りオレたちはこの妙木山を後にすることになる。

 

 ミナトとクシナがテントの外で万が一に備えていてくれていた蝦蟇たちに挨拶していると、その中でもひときわ小さい蝦蟇が近づいてくる。

 

 どうやらこの蝦蟇たちを纏めていた蝦蟇らしい。

 

「自来也ちゃん」「小僧!」

「頭に姐さん。この度はお世話になりました」

 

 あの自来也が下手に出ている。ということはやはり二大仙蝦蟇のフカサクとシマだろう。

 

「いやいや、ミナトちゃんの息子を見れたことだし」

 

 自来也の愛弟子ということで自身の孫弟子にあたり、仙術の修行をつけたこともあるミナトの子どもを「かわいいかわいい」とまるで祖父になったかのような心境で語り始めるフカサクに。

 

「父ちゃんは黙っとき!」

 

 大事な用があるの忘れたんかっ!とツッコミを入れるシマ。

 いきなり出てきて、いきなり始まる夫婦漫才に慣れているであろう自来也の目も点になる。

 当然、ミナトやクシナ、ビワコとオレも目が点になっている。

 

「あはは・・・して、用とは何ですかな?」

 

 自来也が変な空気となってしまった場を戻すと共に話を元に戻す。

 それを感じ取ったフカサクが先程のだらしない顔から一変して真剣みを帯びた視線をこちら側に向ける。

 

「そうじゃ。大じじ様から予言が出たんじゃ」

「と、いうと・・・一体、誰に?」

 

 その視線はこちら側・・・というよりはオレ個人に向いているような気がしていたんだ。さっきからな。

 

「そこの若いの・・・羽衣カルタにじゃ」

 

 ほら、やっぱりな。

 

「羽衣カルタよ。ついてくるのじゃ」

 

 自来也ちゃんと他の者たちは早めに木ノ葉隠れに帰るんじゃぞ。とフカサクは一言言い残すと二大仙蝦蟇にオレは連れられてその場を後にしたのだった・・・。

 

 

 

「おぉーよー来た!よー来た!えー・・・・・・誰じゃったかいの?」

 

 その大ボケっぷりに、ズコーっと、ひな壇芸人顔負けのズッコケをしたのはオレただひとりだった。

 

 あれ?そういうの今、求められてたんじゃなかったの?と、少し恥ずかしくなったオレを差し置いて話は進んでいく。

 

「大じじ様!羽衣カルタですじゃ!羽衣カルタ!」

 

 フカサクのナイスアシストで自分が誰を呼び出したのか思い出したらしく。頻りに「おぉーそうじゃった!そうじゃった!」と頷いている。

 

 原作でこのくだりは知ってはいたが、おいおい大丈夫か。と心配の色は正直隠せそうもない。

 

「ったく・・・自分で呼んだくせにのう。この大ボケじじいが!」

「母ちゃん!大じじ様に向かって大ボケじじとは何じゃ!大ボケじじいとは!!」

「大ボケじじいに大ボケじじいと言って何が悪い!!」

 

 などとまたもや始まった夫婦漫才を制止しているうちに、またオレのことを忘れる大ボケ仙人。いや、間違えた大ガマ仙人。

 

「こほん。では伝える・・・」

「はい、お願いします」

「ワシの夢では将来、お主は未来を変える分岐点となるだろう」

 

 分岐点・・・。オレの今やっていることが成功するか、失敗するか。ということだろうか・・・。

 

「それは自来也さんへの予言と関係はあるのですか?」

「ふむ・・・。自来也への予言とは無関係ではない。が、直接的な関係があるわけでもない」

 

 えーっと。どういうことだろう。最初は予言の子だと思っていた長門はもう闇落ちしないと思うが、ナルトは今さっき生まれたばかりだ。オレが未来を変えるのだとしたら・・・予言のなかでのナルトの存在はどうなる?

 

「それで、ぼくは何をしたらよいのでしょうか?」

「夢では緑色をした人型の蛞蝓と会っておったのう・・・」

「み、緑色をした人型の蛞蝓?」

「うむ。その者と修行をしているように見えた。ワシにわかったのはそれだけじゃ」

「は、はぁ・・・」

 

 まさか緑色をした人型の蛞蝓って、ナメック星人のこと・・・じゃねぇよな?

 

「大じじ様からの予言は以上じゃ。羽衣カルタよ、帰ってよいぞ」

「予言、ありがとうございました!最後にひとつだけお願いしても良いでしょうか?」

「なんじゃ。言ってみろ」

「あのですね・・・」

 

 





嘘つきカルタ。
ブラックカルタ。

彼、悪い子です。


それにしても無駄にナメック星人フラグを立ててしまったような気がする・・・。

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