NARUTO-カルタ外伝- 転生者の独擅舞台《チーターライフ》   作:新名蝦夷守

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予告通り日常回です!

では、どうぞー。


095.羽衣カルタの休日『一楽』

 オレ、羽衣カルタにとって平和的な日常こそが非日常なのである。

 

 なんだか自分で言ってて悲しくなってくるけど、それが事実なのだから仕方がない。

 

 第3次忍界大戦の数年前に生まれ、木ノ葉隠れの里へと移り住み。

 忍者学校(アカデミー)に入ったかと思えばすぐに卒業させられ戦場に駆り出され。

 初の殺しや戦場デビューを果たしたかと思えば大量破壊兵器として扱われ。

 その後、忍界大戦が終わるまで東奔西走し、戦場を転戦する毎日を送る。

 

 忍界大戦が終わり、ようやく平和的な日常を手に入れられるかと思いきや、暗部組織『宵』の結成に携わらされてそのトップに置かれ。

 自分だけが知る最悪な未来を変えるためにまたもや東奔西走。

 

 恐らく皆が思う日常とは程遠く、かけ離れた日常を過ごしていたオレにとっては何事もなく流れる時間と言うものこそが非日常的なのだ。

 

 だから。

 

「へいっ!いらっしゃい」

「おやっさん!いつものっ」

 

 カウンターにどかっと座り、隣の席に背負っていた大刀『鮫肌』を立てかける。

 

「あいよ・・・って、君。常連さんじゃないよね」

 

 こんなことも非日常的だ。

 ていうか、テウチさん。意外にもノリが良かった。まさかノリツッコミをラーメン屋の店主のテンションでやってくれるとは。

 

「あははー。ごめんなさい。人生で一回くらいは言ってみたくて」

「全く・・・しょうがない奴だなぁ。それじゃあ、注文が決まったら呼んでくれ」

 

 そういうと仕込み作業に戻るテウチさん。

 

 もうわかっていると思うが、ここは『一楽』。木ノ葉隠れの里にあるラーメンの名店だ。

 

 来たい来たいと思いながらも、なかなか来ることができなかったオレは数年ぶりにようやく来ることができたのだった。

 

 前回来たのは、木ノ葉に来てからわりとすぐのことだったから・・・4、5年くらい前になるんだろうか。当時はまだ3歳くらいだったはず。

 それなのに大人と同じ量をペロリと平らげて驚かれた覚えがある。それに加えてもっとおかわりをくれと駄々をこねて爺さんに拳骨を貰ったことも記憶に残っている。

 

 ・・・うん。懐かしいな。

 

「おやっさん!注文いいですか!」

「あいよ」

「極辛味噌のとろ旨チャーシュー特盛にトッピングで更にとろ旨チャーシュー5枚。それから看板メニューの味噌ラーメンを普通に1つ。それからサイドメニューで焦がしにんにくのマー油と葱油が香る『ザ☆チャーハン』を大盛と一楽特製餃子の羽根つき(1皿7個入り)の方を5枚ください」

「ぼ、ボウズ・・・お前さんどこかで見たことあるような気がしたら、もしかして数年前に家族で来てその家族の分まで平らげたあのボウズか?」

 

 あれ。オレ、母さんや爺さん婆さんの分まで横取りしてたのか?

 そりゃ、拳骨喰らっても仕方ない。食べ物の恨みは古今東西恐ろしいと相場は決まっているからな。

 

「あ、覚えていてくれたんですね!多分そのボウズだと思います」

「いや。あれはなかなかに衝撃的だったからなぁ」

 

 そう言って、注文を繰り返し確認した後、テウチさんはすぐにラーメンを茹で始めた。

 

「ラーメンはどっちを先に出したらいいんだ?」

「あ、同時にください!普通の味噌ラーメンはこいつが食べるんで」

 

 と、オレは隣に立てかけている『鮫肌』を指さす。

 

「ぶ、武器がラーメンを食べるってかい!そんなバカなっ」

 

 そりゃ、信じるわけないよな。

 

 でも、百聞は一見に如かず。現実は小説より奇なり。とも言う。

 

「いや、こいつだけは特別製でして。うまいもんを食べさせたあとは調子がいいんですよ。だからこいつにも一楽のラーメンを食べさせてやりたくて今日来たんです」

「へぇー。そんな珍妙なことも生きてたらあるもんだな・・・」

 

 なんて。まだ半信半疑な様子を見せながらも注文通りの品を作ってくれるテウチさん。

 

 オレがラーメンが来るのを待っていると店の奥から、水を持ってきてくれる子がいた。

 

 一楽の看板娘。アヤメちゃんの登場である。

 

 いらっしゃいませー。お冷をどうぞ。と、オレの前に氷の入ったコップに水を入れると置いてくれる。

 

「どうもです。あ、こっちにもお願いします」

 

 と、隣の『鮫肌』用の水も要求すると一瞬変な顔を見せるもハッと表情を作り直し笑顔で置いてくれる。

 

 恐らく同い年くらいだろうか。なんて思いながらその様子を眺めていると目が合う。

 

 あ、なんかオレが見つめていたみたいになっちまった。そんなことを思いつつも、でもこれで急にプイッと別の方向を見るのもなんだか失礼だよなと思い、あははと笑って誤魔化すオレ。

 

「え・・・」

 

 アヤメちゃんがオレの顔を見て固まってる。・・・あれ?オレが予想していた反応と違う。

 オレはもっと「私の顔に何かついていましたでしょうか?」的な反応が来るものかと思っていた。

 

「は、は、は・・・」

 

 オレの顔を指さして。まるで乾いた笑いのように「は」を連呼するアヤメちゃん。

 

「お、お父さ~ん!!羽衣カルターっ!」

 

 そう言ってほぼ絶叫に近い悲鳴を上げながらテウチさんの元へと逃げるようにして駆けてゆくアヤメちゃんをオレはただ茫然と眺めていることしかできなかった。

 

 

 

「いやぁ、すまないな。うちの娘が騒いじまって」

「いえいえ。全然気にしてないですから」

 

 忍びであるオレの顔写真がプロマイド写真となって販売されていたとは。

 いやはや。まさかまさかの事態である。

 

 アヤメちゃんからサインを求められたプロマイド写真を見るとどう見ても忍者登録書を発行する際に撮った写真である。

 一体どこから個人情報が流出したのやら・・・。

 

 発売元を縛り上げて販売を停止させるか。いやでももうすでに販売された分を完全に処分することは不可能に近いだろうから・・・ならば、肖像権と称して金をぶんどろうか。

 などと、思考回路をフル回転させながらも怒ってはいないことをアピールする。

 

「へい!お待ち。極辛味噌とろ旨チャーシュー特盛のとろ旨チャーシュートッピングに味噌ね」

 

 チャーハンと餃子はもう少しかかると言われ、早速ラーメンを食し始める。

 

「いただきます」

 

 オレは熱々の麺からいただくことにする。

 鮫肌は刀身をうまくくねらせながら、柄頭を使ってラーメンを口に運んでいる。

 

 あぁ~。これこれ。この味を待っていたのよ。

 

 オレの写真流出を含めて、重要案件事項は山積しているが、今は至福の時を満喫しようではないか。 

 

 たまにはこんなご褒美があっても、罰はあたらない・・・よね?

 

 

 




鮫肌も一楽デビュー笑

ラーメンを食べる描写?カルタの食レポ?

そいつは出来ない相談だぁ。なぜなら作者の技量が足りないから。


というわけでカルタの休日の過ごし方でしたー。

これからも不定期にカルタの休日をお送りしたいと思います。

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