NARUTO-カルタ外伝- 転生者の独擅舞台《チーターライフ》 作:新名蝦夷守
「はたけカカシ上忍、うちはオビト中忍、のはらリン中忍」
「「「はいっ」」」
「以上3名を雲隠れの里との交換留学生に任命する。木ノ葉の代表として恥ずかしくない振る舞いを常に心がけ、そして雲隠れの良いところや優れた技術を学んでくるように」
「「「はっ!」」」
「サムイ上忍、マブイ中忍、ダルイ中忍」
「「「はい」」」
「以上3名を木ノ葉隠れの里との交換留学生に任命する。雲隠れの顔として恥ずかしくない言動を常に行い、そして木ノ葉の内部の様子や優れた忍術を学んでくるように」
「「「はっ」」」
対等な立場での同盟には、力の均衡が必要不可欠である。
火の国・木ノ葉隠れの里と雷の国・雲隠れの里との間には平和条約と同時に同盟関係という軍事協定も結んでいる。
しかしながら、国や軍事力を担っている忍びの隠れ里というものは戦争や紛争を起こすつもりがない平時のときから例え同盟国であったとしても他国の戦力を把握しておきたいものなのである。
とはいえ、平時は平時。同盟国に対して偵察、ましてや威力偵察などを大っぴらには出来ようもない。信頼関係の破綻が目に見えているからだ。
だから。原作世界では中忍選抜試験と称して、里のベースとなる戦力。下忍をルールの元で戦わせて各国が他同盟国の戦力・国力を計っていたのだ。
そして、その原作よりも時間軸的には前であるこの世界の現在では、木ノ葉と雲の間に結ばれた協定によって10歳から15歳までの忍びをお互いに3名ずつを留学させるということで、同盟国の戦力や国力を計ろうということになったのである。
もちろん名目上は友好的交流の活性化。同盟関係の連携強化。次世代の忍びの育成などと明るい言葉で飾られてはいるが、そんなことを額面通りに受け取るものなどいない。
温かくなってきた春の日差しに心地の良い柔らかな風。
花の香りもしてくるようになった今日この頃。皆さま、いかがお過ごしでしょうか。
羽衣カルタです。
こほん・・・というわけで羽衣カルタなんだが。
久しぶりに、あれやりますか?例のアレ。
さーて。今、オレはどこにいるでしょーか。
さぁ!始まりました。久方ぶりのカルタを探せ。
3・2・1。
木ノ葉隠れの里?雲隠れの里?もしかして霧隠れの里?
ぶっぶー。残念~全てハズレでしたー。
正解は、ここで〜す!じゃん!
火の国と雷の国という2つの大国の境にあり、緩衝地帯の役割を果たしている国。
霜の国。
先の大戦では国土の東側半分を雷の国に併合されてしまって、原作よりも小さくなってしまった不運な国。
忘れられがちな設定だと思うけど。つまり、オレの生まれ故郷だね。
ただいまー。と心の中で叫ぶと、おかえりーと心の中に返って来るような気が・・・しなくもない。
そんな幻聴はともかく。
なぜオレが霜の国にまで出向いているかというと、カカシとオビトそれからリンたち雲隠れへと1年間送る留学生たちを雲隠れの案内人との待ち合わせ場所までの護衛している。ということと。
雲隠れ側からすると逆にオレが雲隠れから来る交換留学生たちを木ノ葉隠れの里までの案内人を務めているからである。
オレはこれから1年間。案内人が終わった後も世話係というか、見張り係というか。まぁ、そういう役割を当てられているのだ。
この案内人という制度はお互いの里がお互いに留学生を保護する役割と監視する役割を担っている。
もし留学生が里の機密情報を盗もうとすれば案内人兼監視役に殺される。そして殺された方の里に留学している者は報復措置として殺されるようになっている言わば人質を取り合って成立している制度なのだ。
そして今は徒歩で合流地点を目指して移動している最中。
「なぁカルタ。雲側が用意しているっていう案内人ビーって人らしいんだけどさ、どんな奴か知らない?」
と、聞いて来るのはオビト。
「そんな他国の忍びのことなんて、いくらカルタ君でも知ってるわけないでしょぉ?ねっ?カルタ君」
と、聞いてくるのがリン。
カカシは・・・何かの本を読んでいるみたいだ。ただ残念ながら本のタイトルは分からない。生意気にもカバーを付けているからだ。
まぁ、イチャイチャシリーズではないことは確かだろう。時系列的に。それに作者である自来也も執筆活動する暇などないだろうしな。
「いや、リンさん。ビーのことなら少しくらい知ってるんだ」
「ほらねぇオビト。私の言った通り流石のカルタ君でも知らないことの一つや二つくらい・・・って、あれぇ知ってるのぉ!?」
「うん。知ってる」
なんだかコントのノリのような会話だなと思っているんだが、リンのそのテンションはまだ続いているみたいだった。なぜなら「嘘ぉ!ねぇねぇオビト!カルタ君、知ってるって!流石、カルタ君だよね。何でも知ってるよぉ」と言ってオビトの肩をバシバシ叩いている。
そんなに強く叩いたら痛そうなものだが。オビトの表情は完全に緩んでいる。というか、悦んでいるに違いない。
この変態めッ!と、心の中な罵倒しておこう。
ま、オビトが変態になるのはリンに関わったときだけだしな。周囲に実害は出ていないだけマシだろう。
オレは1人で盛り上がっているリンに対して「流石に何でもは知らないですよ。知ってることだけ」と、某物語に登場人物する三つ編み爆乳メガネ委員長から短髪爆乳委員長へとジョブチェンジした美少女のセリフを借りる。
そしてキラービーについて話し始める。
「雲の案内人ビーは、通称キラービー。雲隠れの里では雷影を補佐する人が代々ビーの名を継いでいるそうなので本名は不明。キラービーは刀を使う忍びとしての腕前も確かだが、特筆すべきは八尾の人柱力ということですね」
「それに彼は八尾と和解して良好な関係を築いているので、幻術は効きません。幻術にかけても直ぐに八尾が解いてしまうからです。だから幻術をもしかけるのであれば、強力な瞳力でキラービーの精神世界を見た上で八尾を直接幻術に陥れるしかありませんね」
「だからもし万が一、戦闘になりそうだったら真っ先に逃げを選択してください。勢い余ってそのまま戦闘に突入しないでくださいね。特にオビト先生」
そしてオレは、それから。と言って3人にある物を渡した。
「これは?何だか栞みたいに見えるけど・・・今使えと?」
「カカシさん・・・それ栞に見えるでしょうけど、栞じゃないです。緊急連絡ツールとでも言いましょうか。とりあえずそれにチャクラを流し込んでみてください」
術式が施されているその栞にも見える札にチャクラを流すとオレのポーチに入っている同じような札が淡く光って振動する。
つまり、カカシたちに手渡した札が送信機の役割を果たし、オレの持っている札が受信機の役割を果たしているのだ。
この術式は飛雷神の術式をベースとして使っており、オレが飛雷神で時空間移動するときの目印となる。そこで何か緊急事態が発生したときに送信機札を持っている人がチャクラを込めるとその救難信号に気付いたオレが時空間移動する際の目印となり、直ぐに駆けつけることができるという仕組みである。
まぁ、言わば保険ということだ。
「あ、あそこにいる人ですね。キラービー」
送信機札と受信機札の動作の確認と称して、オビトとリンにも術式札にチャクラを込めて貰いながら歩くこと数十分。
雲隠れのメンツを発見したオレは3人にその存在を伝えるのだった・・・。