NARUTO-カルタ外伝- 転生者の独擅舞台《チーターライフ》   作:新名蝦夷守

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103.木ノ葉と雲の友好 其の肆

 最近のオレを含めた周囲の状況やら、情勢やらをここら辺で一旦整理しておこうと思う。

 

 オレ自身は大きく分けると2つの任務を掛け持ちしている状態だ。

 

 ひとつは言わずもがな雲隠れから来ている留学生待遇の3人。

 サムイ、マブイ、ダルイの案内人兼監視役。

 

 留学生の対象年齢が10~15歳であるのに対して、案内人が9歳とは何事か!と、抗議を入れたこともあったのだが、お前は例外として年齢制限の枠からは外れていると火影である自来也から言われてしまった。

 

 畜生。そんなこと言うなら色街行っちゃうぞ!・・・というのは流石に心の内に秘めておくことにしたけど、オレはまだそんな例外的扱いを認めてはいない。

 

 と、嘆いたところで現状は変わらない。

 留学生の彼らはほぼ毎日のように出歩く。

 

 時には忍者学校(アカデミー)へ。時には研究機関へ。時には木ノ葉に存在する忍び一族との会談へ。時には里の外へと出て火ノ寺へと出向いたこともあった。

 

 もちろん木ノ葉の技術やら良い政策などを自里へと持ち帰るのが彼らが雲隠れ上層部から受けている最重要事項任務だろうが、それ以外にも将来的に雲隠れと木ノ葉とのパイプ役を担える人材になれるよう色々な場所へと顔を出すようにと言われているのだろう。

 

 オレはその全てに同行をすることになっている。

 

 それにしてもやっぱり時空間移動は楽だね。一瞬で行って、用事が終わったら一瞬で帰ってこれる。

 多いときは一日4~5件訪問するんだもの。これが無かったら移動は全力ダッシュ(俗にいうナルト走りってやつ)となって今よりもっと大変だっただろう。

 

 そう言えば、人類の移動は徒歩から自動車になり、新幹線になり、飛行機になったことによって結局昔よりも働く時間が増えている・・・なんて話を聞いたことがあったような、なかったような。

 

 ということはもしかして、オレが常に忙しいのは時空間移動のせいなのか?

 

「・・・やっぱ、時空間移動は封印しようかな」

 

 とも一度考えたが一度吸った甘い蜜の味は忘れられないのが人間というもの。封印なんざ無理だ。

 

 さて、話を戻そうか。

 

 そしてもうひとつの任務が最近は語ることのなかった水の国・霧隠れの里での情報収集活動だ。

 

 これはオレが語っていないことから分かるように、ほぼオレは現在関われていない。

 メイに任せっきりになっていると言っても過言ではない状態だ。

 

 え?まるごと人任せでダメなお坊ちゃまだって?

 

 略して、マダオ。

 

 いやいやいや。流石にマダオとは呼ばせねーよ。

 それを言うならサソリに言えよ。あいつこそ『まるでダメな男』略してマダオだろう。

 

 なんたって家族のお金を使い込んで賭け事するんだからな!

 

 オレはこの前の襲撃で原作中最大の黒幕だった黒ゼツの存在を確認出来た。

 その黒ゼツが襲撃者たるオレのターゲットが自分自身であることにまだ気がついているわけはないだろうが、現水影政権側の刺客である照美メイからの攻撃を受けたことによって慎重になってしばらくは姿を現さずに裏でコソコソと行動をとるだろう。

 そう仮定して、反政府勢力排除の任務を受けているメイに何か黒ゼツに関して新しい情報が入ったら連絡をくれるようにお願いをしているという状況なのだ。

 

 それが無くても月1のペースで影分身を派遣してメイと情報共有はしているし、もし何かあったときの保険としてオビト、カカシ、リンにも渡した飛雷神の術式をベースにした救難信号発信札を渡しているから問題もないんだけどな。

 

 

 

 というわけで今日も最近の日常風景と変わらず、木ノ葉隠れの里内を散策するマブイ、サムイ、ダルイの案内人を務めていたわけだったのだが。

 

「サムイとダルイ見当たりませんね・・・」

「・・・そうだねぇ」

 

 オレは今、隣にいる褐色系銀髪美少女マブイを除いた2人を見失っていた。

 

「変なトコ行って、変なことしてないといいけど」

 

 見失っている間にもしも工作活動や要人の暗殺などを行われていたとなると、監視役をしているオレの管理責任も出てくる。

 そういう言わば保身から出たつぶやきだったのだが、それを聞き取っていたマブイが敏感に反応する。

 

「へ、変なトコで!?変なこと!?」

 

 そして何故か少し肌の色が濃いとはいえ、目で見て分かる程度にほんのりと頬を赤らめている。

 

 ・・・え、なんで?

 

「いやいやいやいや!そんなことサムイとダルイはしませんよ!絶対に!」

 

 右手をブンブンと左右に振ってマブイが必死になって否定している。

 

 まぁ、そりゃそうか。

 ちょっとしたミスで迷子になっただけで自分たちの里を消し飛ばされちゃ堪らないもんな。

 あぁ。雲隠れの里を消し飛ばすっていうのは、3人と会った当日に「少しでも妙な真似をしてみろ。その瞬間、雲隠れの里を世界地図から無くしてやるぞ」といった脅し文句だ。

 

 もちろん木ノ葉にとって不利益なことをするとは思ってはいないし、オレとしても雲隠れの里を攻撃するつもりはない。というか、一瞬で雲隠れの里を世界地図から無くすとか無理だ。数時間は必要だろう。

 

「そんな昼間から・・・」

 

 だよな。サムイとダルイもそんなことを企んでいるわけじゃないだろう。

 

 だからきっと本当に迷子にでもなったのだろう。あーここが大型ショッピングセンターなら迷子センターに行って放送かけてもらえるのになぁ。 

 

「って、昼間から?」

「あ!いえいえ!もちろん夜でもダメですよ!」

 

 いや。昼だろうと夜だろうと木ノ葉に仇成す行為は罰せざるを得ないのだが。

 

「だってまだ未成年ですもんね」

「はぁ?成年、未成年関係なくそんなことしてたら君たちをオレは()らざるを得なくなってしまうのだが」

「わ、私まで!?か、カルタさんも混ざって!?」

 

 そう言ってますます頬を赤らめながら「そんなことダメです!あ、アブノーマルな・・・」と先程よりも強く手を左右に振って否定をするマブイ。

 

 アブノーマルって・・・。

 

 もし仮に殺すにしてもそんな猟奇的な殺人をするつもりはないけど。

 

()るなら後腐れないようにスパッと()るね」

「そ、そんなぁ・・・身体だけの関係だなんて」

 

 今度は両手を頬に当ててイヤイヤと頭を左右に振っている。

 

 え、えぇ・・・マブイって精神的にまで追い詰められてから死にたいっていうの?

 

 お兄さん、ちょっとドMが過ぎてついていけないわー・・・って。

 

「ん?身体だけの関係?」

「え?」

「・・・え?」

 

 

「「え?」」

 

 そこでようやく、オレたちの会話が噛み合っているようで嚙み合っていなかったことに気付いたのだった。

 

 

 




こういう勘違いって恥ずかしいですよね。

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