NARUTO-カルタ外伝- 転生者の独擅舞台《チーターライフ》 作:新名蝦夷守
オレは平常心を取り戻したマブイと共にサムイ、ダルイ両名を迎えに行った。
途中からはぐれた彼らがいた場所は甘味処。
サムイとダルイはそこで吞気にお茶していたのだ。
つまりはデート?
その様子を見たマブイとオレは急遽合流する予定を変更し、こっそりと2人のデート?を観察することにしたのだった。
「まさかあの2人がデートをする仲だったなんて・・・」
「よく口喧嘩っぽい、というかだらけているダルイを口酸っぱく注意しているサムイとその注意をダルそうに「はいはい」と聞き流しているダルイは見かけていたけど、喧嘩するほど仲が良い的なやつだったんじゃないの?」
「それはそうですけど・・・」
それにしたって驚きです。と2人から視線を離さずに会話を続けるマブイ。
サムイとダルイが座っている最奥の席から対角線上で一番遠い外に近い席に陣取ったオレたちに店員が熱いお茶を置くと同時に「ご注文はいかがなさいますか?」と聞いてくる。
そのことにも気が付かないくらいに集中してサムイたちを観察しているマブイの分もとりあえずオーダーしておく。
店員はオレが以上で。と言うと、注文の品を繰り返し確認してから「少々お待ちください」と言って立ち去る。
「あ、サムイが笑ってます!」
「うん。まぁ、いくらクールなサムイだって笑う時くらいはあるでしょ」
「でもここじゃあ、ダルイの表情が読めません・・・」
「そりゃ後頭部しか見えないだろうな。でも男は背中で語るもんよ」
このように先程から途切れることなくマブイが逐一サムイたちの様子を実況してくれるのだが、この狭い店内で小声だとはいえ、そんなにはしゃいでいたらすぐにサムイたちにバレるぞ。
「えっ!カルタさん!あれあれ!もしかしてサムイ、ダルイに『あ~ん』してあげてません!?」
「ん?おーほんとだ。確かにこの角度からだとあ~んしているように見えるな」
「いやいやいや!角度とかの問題じゃなくて絶対あれ『あ~ん』ですよっ!『あ~ん』!」
興奮気味にオレにその状況を教えてくれるマブイが『あ~ん』に対してすごい憧れを抱いているのはわかったのだが、段々とその熱量が周囲へと漏れ出て視線が集まり始めていることに彼女は気づいていない。
すると丁度タイミングよく店員がオレたちのテーブルへやって来て「三色団子20本、みたらし団子20本、こしあん団子30本お持ち致しました」とオレが注文しておいた団子を運んできた。
ちなみにここの団子は串に3つ刺さっている。かつて一世を風靡したNHK教育テレビ「おかあさんといっしょ」で歌われていたあの『だんご三兄弟』スタイルの団子なのだ。
「ありがとうございます・・・マブイとりあえずこれでも食っとけ」
オレは未だにサムイとダルイから視線を固定して、2人のデートの実況を続けているマブイの口に三色団子を突っ込む。
「んむっ!」
話している最中に団子を口の中に突っ込んだからか、変な声が出たものの咀嚼を始めるとその団子の美味しさに一言。
「わぁ・・・これ、おいしいですねぇ」
「だろ?ここの団子は絶品なんだよ。オレは中でも特にこしあんをオススメするね」
「そうなんですか?それじゃあ、こしあんも食べたいです」
そういうマブイのリクエストにお応えして。
オレに一番近いところに置かれていたこしあん団子をひとつ差し出す。
そして「いただきます」とマブイが一思いにパクリと先端の団子を口にしたところでオレは持っていた串を離した。
オレが串を手放したことにより、串団子を口だけで支えることになってしまったマブイは右手で串を持つ。
「どう?」
と、味の感想を求めるオレに対して、串を持っていない方の手。つまり左手を前に出して、今食べてるからちょっと待ってアピールをするマブイ。
少しの間、団子を咀嚼してそれからゴクンと飲み込んだ。
「とてもおいしいです!」
「まだいっぱいあるから気にせず食べな」
「はいっ」
それからというもの。
団子に関しての味の感想や、注文していない他の味の団子やその他メニューに関してや、木ノ葉にはおいしい飲食店が多いことなど話すことはあったが、先程までとは打って変わって基本的には大人しく団子を食べることに集中していたマブイ。
だから気付かなかったんだろうな。
今までとは立場が逆転していたことに。
観察者と被観察者の関係が入れ替わっていたことに。
「あ、マブイとカルタだ」
「ん?あら、本当ね」
後ろを振り返った際に今まではぐれていた仲間と同行者を発見するダルイ。
その声に反応してダルイの視線の先を追うとサムイもその光景を発見する。
「・・・もしかしてデートかしら?」
「え・・・まじッスか?」
「だって、あの子カルタに『あ~ん』してもらっているわよ」
そう言ってサムイが指をさす。
「あぁ~まじだ。えぇ・・・あいつらそんな関係だったんだー」
気が付かなかったわ~と、間延びした声で驚いていることを伝えるダルイにサムイも同調する。
「まぁでも、俺達もここで休憩してて良かったなー。わざわざダルい思いして探し回らなくて。ここで合流できるんだし」
「ダルイそれは結果論でしょう。もし見つかってなかったら最悪外交問題に発展するかもしれないのよ」
忍びなら頭の中は常に
当然、聞き流していることをお見通しなサムイがまたその態度に対して小言を言うといういつものパターンへと突入する2人の空間。
サムイの声のボリュームが上がったことによってマブイの意識が団子からサムイへと向く。
「あはは。サムイとダルイまたやってますね」
そういって笑っていられるのも今のうちだろうよマブイちゃんや。
サムイたちがこちらに気付いているとなると合流するのも時間の問題。
そうなれば、マブイがサムイたちを茶化そうが茶化さまいが関係なく、あの2人から「デート?」「『あ~ん』までしてたね」と言われるのは目に見えている。
まだ自分が『あ~ん』してしまったことに気が付いていないマブイが2人から指摘されるとどうなるか。
恥ずかしさと照れで目に涙を浮かべながら顔を赤くして気絶する。
まぁ。こんなところだとオレは思うね。たぶん。
とりあえずイチャイチャ回(出来てるか不安)ひと段落です!
次回のお話は・・・次回が始まってからのお楽しみということでお願いします。笑
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