NARUTO-カルタ外伝- 転生者の独擅舞台《チーターライフ》   作:新名蝦夷守

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ご拝読賜りまして誠にありがとうございます。
↑日本語的に合っているか不安。最大限の感謝を表したつもり。

1週間ぶりの最新話です。どうぞー


107.水の国撤退戦 前編

 霧隠れの里の内情話の少しおさらいをしようと思う。

 

 霧隠れの里とその上層部と対立する反政府勢力の戦闘は第3次忍界大戦から水の国と霧隠れの里が離脱した後から多発するようになった。

 その内戦にうちはマダラ側の人間が関与していると考えたオレは潜入捜査を開始。

 反乱勢力を取り締まる里側の照美メイと利害関係が一致して、お互いに協力をしながら制圧と捜査を同時進行で行っていた。

 すると当初のオレの推測通り、黒ゼツが暗躍して内戦を拡大させていることがわかった。

 

 そしてここからが新たな情報だ。

 

 オレがこの情報を受け取ったのは今からちょうど1週間前のこと。

 いつものように月に1回の定期連絡のため影分身を派遣した際にメイから教えられたものだ。

 黒ゼツの存在を確認したその後はオレと別行動を取りながらも、霧隠れ政権側として反乱勢力と対峙してきたメイだったのだが、ある日を境にその立場が突如逆転することになった。

 

 その原因と言うのが、霧隠れの里で新政権が樹立し、四代目水影に(たちばな)一族の『やぐら』という人物が就任したというもの。

 

 霧隠れの里では、水影というのはその時、最強の忍びがなるものという風潮というか風習。不文律ではあるが、暗黙の了解がある。

 

 つまり、下克上された三代目水影は元反乱勢力側の『橘やぐら』に殺されたことによって、官軍と賊軍の立場が入れ替わったのだ。

 そして政権交代後は三代目水影に近かった里上層部までも相次いで暗殺や処刑が実行された。

 これからも引き続き、やぐらをトップとする新政権にとって元政権側の人間や都合の悪い一族や忍びには粛清の嵐が吹き荒れるだろう。とのことだった。

 

 オレの影分身はそれを聞いた時点で、「完全に三代目水影政権側として立ち回っていたメイは現四代目水影政権とは真正面から対立しているから、粛清リストの最上位に名前が載っているはず。今からオレと一緒に来ないか」と、国外逃亡。いわゆる亡命を勧めたのだが、メイはそれを拒否。

 理由を尋ねると、黒ゼツという部外者が裏で操っている傀儡政権に立ち向かっている同志がまだ里に残っていること。そしてその仲間たちを見捨てて自分だけ逃げるということはできない。というものだった。

 

「それに現水影やぐらと裏から操っている黒ゼツを倒したら、正義はまた私たちのものになるからね」

 

 そうなったら今までの血霧の里と呼ばれていた霧隠れの里とは全く違う希望に満ちた里にするわ。と話すメイの様子を見て、どうやらまだ霧隠れの里に残るという意志は固く、梃子でも動きそうにないなと感じたオレの影分身はひとまずメイを亡命させることは断念。

 

 それならばと、オレの影分身は傀儡政権にクーデターを起こすのであればオレも協力するから戦力として扱ってくれ。その方が成功する確率もメイたち旧政権側の忍びの生存率も高くなると提案したのだが、メイはそれも拒否。

 その理由は、木ノ葉のオレがクーデターに表立って協力するのは内政干渉だと戦後外交問題になるということと、傀儡政権を倒すのに他国の力を借りたら、今度は自分たちが傀儡政権と指差される可能性があるということだった。

 

 オレの影分身は、それでももし、命にかかわる戦闘が起こった際には術式札を遠慮なくつかって知らせてくれと言ってその時は解散したのだった。

 

 そしてそのメイから術式札を通して救援要請が来たのは、留学期間を終えたマブイたち3人を行きとは違い、木ノ葉隠れの里入り口「あ」「ん」の大門前でお見送りと別れの言葉を交わしている最中のことだった・・・。

 

 

 

「カルタさん。色々とご迷惑をおかけしました」

「1年間、大変お世話になりましたッス」

「とても勉強になることが多くあったわ。ありがとうございました」

「いえいえ。こちらこそ1年間色々と拙い部分はあったと思うけど文句ひとつ言わずについてきてくれてありがとうございました」

 

 今生の別れ・・・ということにはならないと思うが、それでもしばらくは会うことはないだろうと。

 最後は一応、お互いに礼儀正しく別れの言葉を交わして少ししんみりとした空気が流れていた。

 

「「それじゃあ、不束者なマブイだけどよろしく頼むね(ッス)」」

「あぁ。マブイのことは任せろ!」

 

 先程までのしんみりとした空気感はどこへやら。

 眩い笑顔でダルイとサムイがそういうのに対して、オレもサムズアップをしながらそう答えた。

 

「えぇ!?ふ、不束者だなんて・・・け、結婚するわけじゃないんですから!私もちゃんと里に帰りますから!」

 

 サムイ酷いよ!そうやってまた私のことからかって!と、オレたちの冗談に対して顔を真っ赤にしながら反論するマブイ。

 サムイかダルイのどちらかがマブイを弄って、オレがそれに乗っかる。

 この1年間4人の中で自然と作り上げられたある種のお約束だった。

 

 この場にはオレと雲の3人の他に、去年雲隠れへと留学していたはたけカカシ、うちはオビト、のはらリンと入れ替わる形で留学する不知火ゲンマ、並足ライドウ、たたみいわしもいるのだが、当然ながらこの会話に混ざることなどできずに完全な空気となっていた。

 

 オレはこのお約束をすることはもう一生ないのかもなぁ・・・なんてちょっと感傷に浸っていたそのとき。

 

 腰に身に付けているポーチが振動した。

 

 より正確に言うならば、ポーチの中に保管している受信用の術式札が振動していた。

 

 ポーチの中から札を取り出すと案の定、震源地はそれだったし、淡い光りも発していた。

 

「それは?」

 

 オレが取り出した札を不思議そうな顔で見ていたマブイが聞いてくる。

 

 その質問に対して、緊急用の呼び鈴ってところかな。とだけ返しておく。

 

 この札が使われたということは本当に危機的状況下に陥っているということは考えなくともわかる。急がないと。

 

「バタバタしちゃって悪いけど、オレもう行かなきゃならないからさ。それじゃあ、気を付けて帰れよー!ゲンマさんたちもお気を付けて!」

 

 口早にオレは別れの言葉を告げると、マブイたちやゲンマたちの反応を待たずしてその場から飛び去った。

 

 

 

 その後。

 

 カルタが慌ただしくどこかへと時空間忍術で飛び去った後。

 

「1年間。今思うとあっという間だったね」

 

 そう、ポツリとこぼすマブイに対して。

 

「マブイがそう思うのはカルタと一緒だったからでしょ」

「あ、それは同感」

 

 もう!だから違うからぁ!と、また顔を赤らめながら否定するマブイを見て、興が乗り出した2人は追撃する。

 

「でも、もしカルタが帰ってきたときにマブイがエプロン姿でご飯作って待っていたら驚くんじゃないかしら」

「そうそう。そして『お風呂にする?ご飯にする?それとも・・・わ・た・し?』とか聞くと尚のことグッド。これで落ちない男はいないッス」

「良かったわねマブイ。これでカルタはあなたのものよ」

 

 わーわーきゃーきゃーと盛り上がっている雲の3人。

 

 それに対してゲンマたち3人はというと。

 

『『『一体、いつになったら出発できるんだろう・・・』』』

 

 最初から最後まで、完全に空気だった。

 




おはこんにちばんわ。
新名蝦夷守です。

改めまして拙作をご拝読いただきありがとうございます!
お休みしてたのにもかかわらず週間でUA6,000超えていて驚くばかりです。もしかして最初の方から読み直して頂けたんですかね。だとしたら嬉しいです。
それに加えて新規のお気に入り登録、評価もありがとうございます。

これからしばらくは毎日投稿できなさそうですが、最後までお付き合い頂けると嬉しいです。よろしくお願いします!

ではではまた次回。
次回更新は今週中が目標!!

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