NARUTO-カルタ外伝- 転生者の独擅舞台《チーターライフ》   作:新名蝦夷守

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し、しかも10位だと・・・。

あ、あざす!!(混乱の極み


115.武器屋の看板娘 其の弐

 以下、回想である。

 

 

 

 オレが武器屋の看板娘、テンテンに出会ったのは今から約2年ほど前の桜が散るころのことだったと思う。

 

 年に数回行う、操演者・赤砂のサソリによる子供たちのための『赤砂傀儡新喜劇』の木ノ葉隠れの里公演。

 会場は広い面積を誇るとある公園(ここ、韻を踏んでいるんだよ。笑っていいよ。座布団もくれよ)。

 

 この公演、元はと言えばサソリの借金返済のためにこどもたちをターゲット層にした人形即売会のための販促ツールとして始まったのが起源だったのだ。

 

 即席で作った簡易舞台に、子供たちでも持つことが出来るサイズの人形。

 演出、脚本、操演、声当てまで全てオレとサソリでやっていた初回のゲリラ公演。

 

 それがいつの間にか、木ノ葉に住む子供たちとその親の中で話題となり、現役の忍びたちにも広がり。

 何か流行っているということで木ノ葉の商人たちも食いつき始め、里上層部の目と耳にもとまり。

 最終的には火の国の大名へと伝わって、現在では火の国国内の主要な街で興行を行うまでになってしまった。

 

 流行りものに目敏い商人と子供たちのおかげで、サソリの作った人形や玩具傀儡は飛ぶように売れて、今では中流層以上の子持ち家庭に赤砂製の人形がない家庭はないとまで言われている。

 制作者のサソリはもちろん、商人との価格交渉や新たな人形のアイデアを担当しているオレもウハウハだ。

 

 最近では、普通の糸や棒で動かす玩具傀儡ではないチャクラ糸専用の玩具傀儡の生産を始めた。そんな時期。

 

 赤砂傀儡新喜劇も終わり、その後に行われる新作の即売会も終わり、いままでごった返していた公園から人が立ち去ってゆく。

 

 舞台の撤収をしている人たちも仕事を終えて帰り、その場に残っていたのはたまたま非番で暇だったオレと傀儡をチャクラ糸で操る練習をしているひとりの女の子。

 

 それがテンテンと初めて出会ったときの状況。

 

「ずっと見てたけど、なかなかコツが掴めないみたいだね」

 

 背後から近寄りながらそう話しかけたオレに(・・・って、字面的には完全にアウト。おまわりさんこいつです状態だな。通報されなくてよかった。うちはの警務部隊が飛んできちまう)驚いてチャクラの制御を乱してしまい傀儡を地面に落としてしまうテンテン。

 

 相当、集中していたみたいだった。

 

 驚かせてごめんね。

 

「あ、あなた誰ですかっ!?」

 

 勢い良く一歩下がりながら振り向いたテンテン。

 そしてこれがファーストコンタクトの会話だった。

 

「あ、オレ?オレは羽衣カルタ・・・」

 

 探偵さ。と、続けたかったのを今でも覚えている。

 いや、もちろんそんなことを言ったら混乱させてしまうだろうから普通に「ちょっと傀儡をかじってるんだ」と続けた。

 

「はごろも、かるた?ハゴロモ、羽衣・・・って、えぇぇ!?もしかして、お兄さん!あの羽衣カルタさんっ!?」

 

 どこぞの影をワンパンで()したとか、どこかの大国1つをひとりで落としたとかっていう、あの伝説の!?と、口調・声量・テンションMAXで聞いてくるその少女にオレは思わずたじろいだ。

 

「いや、色々と盛り過ぎた噂を聞いているようで悪いけど、オレはそんなことはしていない」

 

 精々、土影のとっておきをコピーして心を折ったことがあるくらいだ。

 

 まぁ得てして噂という者は尾びれ背びれがつくものだからね。とオレが言った言葉を遮るように、

 

「・・・はっ!?カルタさん!否、カルタ様!わ、ワタクシ!テンテンと申します!!握手してください!あ、あとサインもください!!」

 

 これと、これと、これに!

 

 テンパりながらそう言って地面に投げ捨てられていたカバンから出される油性のサインペンと自由帳。それから他にも、あれやこれや・・・って、それはオレのプロマイド写真!

 

 昔撮ったときから大分オレが成長したからさ。最近、取り直したんだよねぇ。正規忍者の登録用に。

 

 また出回っていたんだー。

 

 つーか、四つ折りにされてオレの顔ボロボロじゃん。

 

 でも、本人を目の前にしてその絶対大事にしてないよねってわかる写真を出してくるとは・・・図太いというか何というか。

 

 とんだミーハー娘だな。

 

「おっけーおっけー。全部書くからそんなに慌てない慌てない」

 

 忍術と才能の無駄遣いを敢行。

 多重影分身と手裏剣影分身の応用で油性サインペン影分身をして、一瞬でサイン会は終了。

 

 その光景にテンテンは驚きの声と共に目を輝かせていた。

 

「わぁぁ!ありがとうございますー」

 

 ペコリと頭を下げるテンテンに微笑ましい感情を覚えつつ、まぁとりあえず座って話でもしようか?とベンチに誘導して(ますますおまわりさんの事案っぽい)隣り合わせで座ってから、ようやく本題を切り出した。

 

「ところで傀儡の練習をしていたみたいだけど、マイブームなの?」

「はい。一応ブームはブームですが、一過性のブームで終わらせるつもりはありません!私は傀儡使いの忍者になるつもりです!」

 

 この年でしっかり自分の将来を決めてるんだと、いままでの言動から意外に思っていた。

 

 そしてテンテンは、実はそれなりに理由がありまして・・・と、話を続ける。

 

「わたしの家、売れない武器屋でしてお店はいつも閑古鳥が鳴いているんです。そんなんだからお父さん、お母さんにも逃げられちゃって・・・だから、わたしがどうにかしないと!って考えていたらピンと閃いたんです!武装傀儡には仕込み武器をたくさん使うから将来、わたしが傀儡使いの忍者になったらお父さんからたくさん忍具を買ってあげられるなぁって」

 

 オレはその話を聞いて、なるほどだからこんなにしっかりしてるのか。と納得したと同時に心根の優しい子なんだなと思って、何とかしてあげられないかなとも思ってしまったのだった。

 

「そうなんだ。それで練習を」

「はい。でも、あまり上手くいかなくて」

 

 あ、もちろん、傀儡人形が好きっていうのもあるんですけどね。と言うテンテンの表情は笑顔だが、声のトーンはまでは作りきれていなかった。

 

「コツ教えてあげようか?」

 

 のあげよ、まで言ったか言ってないかの時点で「いいんですか!?やったーっ」と歓喜の声が。

 

 もちろん。だって最初からそのつもりで声かけたんだしね。というオレの返事は口に出ることはなかった。

 

 ・・・ま、いいんだけどさ。

 

 


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