NARUTO-カルタ外伝- 転生者の独擅舞台《チーターライフ》   作:新名蝦夷守

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そして、お待たせ致しました。最新話です。


117.武器屋の看板娘 其の肆

 オレの影分身が放った雷撃によってプスプスと煙を立て黒炭と化していたサソリだったが(ちなみに影分身はその後すぐに解除して煙と共に消え去った)、それもほんの1、2分後には復活し、その回復の速さにテンテンは驚いていた。

 

 しかし、オレは復活したそばからテンテンを投げ飛ばしたことに対しての謝罪を要求し、サソリは抵抗むなしく土下座での謝罪を強いられた。

 その様子に心優しいテンテンは引きながらも「まぁ、里の重要施設周辺をうろついていた私にも非はありますし」と謝罪を受け入れてくれて・・・ようやく。 

 

「こいつが木ノ葉傀儡の始祖『赤砂』のサソリだ。いままでの言動からわかるようにバカだから気をつけろ」

 

 そうオレがサソリをテンテンに。

 

「この子が次世代の天才傀儡師テンテンだ。甘く見てるとそのうち抜かされるだろうから気をつけろ」

 

 そして、テンテンのことをサソリに紹介することができたのだった。

 

 ・・・のだが。

 

「「ど、どうも・・・」」

 

 2人は照れながら同時にどうもと言って頭を下げ合った・・・って、いやいやいや。サソリ、お前は照れるところじゃない。怒るところだ。お前はどこまで残念な頭(バカ)なんだっ!

 

 なんてツッコミは地の文(心の中)で済ませて、せっかくだからテンテンの傀儡の操り具合でも見てやってくれよとサソリに頼み、サソリは快諾。テンテンも乗り気で多少開けた場所ということでこの建物の屋上へと向かっていった。

 

 ふぅ。とりあえずコーヒー淹れて一服するとしようか、と2人が出ていった扉を見ながらそんなことを思っていると。

 

『ふむふむ。おまえ様よ、妾にも1杯淹れるのじゃ。あ、一応言っておくがの妾は猫故、猫舌・・・(ぬる)めでの』

 

 などという戯言も脳内には響いたが、もちろん又旅をわざわざこの場に出すわけもないので、1杯分のみを淹れた。

 

 うん・・・おいしい。

 

『ひ、ひどい!妾の分はっ!?』

 

 無視か!無視なのか!オヤジにも無視されたことは無いのに!!と、オレが優雅に窓辺でオレンジ色がかってきた空を見上げながらカップを傾けている間も延々と騒ぎ立てていたが・・・正直、しらんがな。

 

 お前にオヤジはおらんやろ。

 

 

 

 それからしばらく経ち、窓から差し込む夕日の光が部屋を赤く染める。

 

 オレはようやく溜まっていた仕事も終わらせ、当然カップに入っていたコーヒーも空になり、あれ?そういえばあの2人全然降りてこないなぁと思い、屋上へと向かう。

 

 屋上へと繋がる階段を上がり、ドアを開くとそこには床一面に傀儡が出されており、その数は優に100体は超えていると思う。傀儡の路面販売でもやっているのかという様相を呈していた。

 

 というか、傀儡が多すぎて2人の姿が見えない。とりあえず、傀儡たちで作られた迷路を掻き分けて奥に進んでいくとようやく2人の姿を発見し「2人とも・・・これは何をやっている最中なんだ?」と、オレは浮かんだ疑問をそのままに口に出して、そう聞いた。

 

「ん?あーなんだ、カルタか」

「なんだはねぇだろサソリ。それで、これはなにをしている最中?」

 

 はんっ!見てわからねぇのかよ。この天才造形師、『赤砂』のサソリが造った傀儡の最新作発表会だよ。と、ドヤ顔で言うサソリにオレがうんざりしていると横からテンテンが割り込む。

 

「あ、カルタさん!見てくださいよ、これ!サソリさんの最新作らしいんですけど貰っちゃいましたぁ!」

 

 何でもこれ、烏天狗っていう名前の傀儡でしてー。と目を輝かせながら楽しそうに話を続けるテンテン。

 

 その様子を見て先程とは打って変わって、え、誰もそいつをやるとは言ってないんだけど・・・。と冷や汗を滲ませながら焦るサソリ。

 

 このコンビ。意外と観ていて飽きないかも。

 そんな感想を持ったオレは敢えてテンテンを煽った。

 

 否。

 

 煽ってしまった、と言った方が正確だっただろうか。

 

「へぇ、良かったなテンちゃん。その烏天狗って傀儡はそんなにすごい傀儡なのか?」

「それはもう!すごいってもんじゃないですよ!私みたいなちょっと傀儡を齧った人間だったら誰しもが感動もののレベルですって!これ、みてくださいよ。ここです!ここ!」

 

 と、テンテンの喋りが止まらないこと止まらないこと。その後もここの細工が素晴らしいだの、ここの仕掛けが芸術的だのもう褒めまくりの褒め殺し。

 

 正直テンテンのテンションの上がり具合に「あ、もしかして地雷踏んだ?」と思わなくもなかったが、まぁもう既に踏んでしまったものは致し方ない。甘んじて受け入れよう。

 

 オレは兎も角、サソリは造形師としてここまで褒められるのは嬉しくて仕方ないことなのだろうが、逆にここまでテンションが上がっている相手に対して今更、いやこれはあげないよ。とは非常に言いづらいものがあるだろう。

 

 まぁ、だからと言ってオレはサソリに手を差しのべることはしないが。

 

「良かったサソリ。お前の芸術をここまで理解してくれる人が出来て。お前はもちろんだけど、これほどまでに高く評価してくれる人に使ってもらえる傀儡も本望だろうよ」

 

 と、オレはイイ笑顔でそう言い放った。

 

「あ、あぁ・・・うん」

 

 そう小声ながら答えたサソリの顔は、泣き笑いだった。

 

 

 

 

 

 この時、歴史が動いた。

 

 テンテンがこの烏天狗という一体の傀儡を譲り受け、それを武器に戦ったことよって近い将来、傀儡師が脚光を浴びることとなり、そして遂には木ノ葉隠れにて傀儡部隊が結成されることとなったのである。

 

 傀儡部隊総長・うずまきサソリ。

 

 傀儡部隊『第一班』班長・テンテン。

 

 とはいえそれはまだ先の話。

 

 この後、帰りが遅くなったテンテンを家まで送った際、初めて会った親父さんとのファーストインパクトとも言うべきファーストコンタクトの方がオレにとっては重要で重大な話だった。

 

 そのときの様子はご想像におまかせするが、一言だけ感想を言うならば・・・。

 

「娘を持つ父親、こぇぇ」

 

 




最近、カルタ外伝の世界軸でのボルト世代の話を書きたくて仕方ない。


続・カルタ外伝 八男って、それはないでしょう!

カルタ、大家族の大黒柱になっている模様。


まぁ、作者はボルトちゃんと見ていないのでプロットだけ書いて満足することにします。笑

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