NARUTO-カルタ外伝- 転生者の独擅舞台《チーターライフ》 作:新名蝦夷守
翌日になった。午前1時だ。
当然のことながら辺りは真っ暗。正門前にはオレ、ジュウ、ラクサの3人が準備万端で待機している。ただみんないつもとは違って眠気眼だ。つーか、オレの設定忘れてるかもしれないけど4歳児だからな。いい子は本来おねんねの時間だ。任務の馬鹿野郎め。
「私、思うんだけどオビト先生絶対遅刻してくると思うじゃんね。ただの寝坊で」
そんなことを言っていたのが今から10分ほど前。
そして現在午前1時01分ジャストなう。うちはオビト。オビト班リーダーにして唯一の中忍。任務開始時刻に遅刻決定。
「あんにゃろー・・・僕らが早起きして来てるっていうのに担当上官が寝坊で遅刻をするとは何様なんだよ。ちょっくら起こしてくるから待ってろ。すぐ戻ってくるからさ!」
とてもイイ笑顔でそう言ってその場から消え去った。
「オビト先生、大丈夫かしら・・・」
「任務前から大けがは勘弁してほしい」
「「はぁ~」」
思わず2人のため息が重なる。
「カルタくん」
少しボーっと夜空を眺めているとラクサに呼ばれた。ついでに手招きされてる。なんだろ、隣に座ればいいのか・・・?
ちょこんとラクサの隣に腰掛ける。
「なにー?」
「私この班の中だと一番足手まといじゃんね。だからもし今回の任務で他国の忍びとの戦闘になったら死んじゃうかもしれないなーって思ってるんだー」
何を急に言ってんだ。始まる前からそんなネガティブ発言やめてくれよな。しかもそれを明るい顔で言うなし。無理に笑顔作ってる感じが何故か罪悪感が湧いてくる。
「だからね。もしホントに危険になったら私のことなんか見捨てて逃げちゃいなさい」
「な、なに言ってるのラクサちゃん。そんなことできるわけ」
「お姉さんとの約束だよー」
だからどうしてそんな顔すんだよ。そんな顔されたら・・・
「僕、参上ッ」
「わ、悪い。みんな遅くなった」
ドロンと煙とともに現れたジュウと顔面青あざとたん瘤で腫れに腫れているオビト。オビトはジュウにぼろ雑巾でも持つかのようにして引きずられている。先生として、上官としてこの状況はどうなんだ・・・。
まぁ、それ以前に任務に遅刻してくる時点でどうなんだって話だが。
でもとりあえずどうやら骨折とか四肢欠損とかにはなってないみたいで安心した。それで任務に出られないとか言われたらマジ切れる。ぷっちーん、と。
「よし、それじゃあ出発しようか」
オビトをポイして身軽になったジュウが(この外道めがッ)さわやかな笑顔で言い放った。
出発して数日間はとてもいいペースで目的地へと近づいていた。
うちの班は残念ながら感知タイプの忍びがいないため、ジュウの影分身が四方八方に散らばって安全確認をしつつ前進するのがセオリーとなりつつあったが、いままでのところそれで何の異常もないからきっと良いように作用しているということだろう。
この数日間は当然移動がメインだったが、その間、ただただ移動に費やしていたわけではない。移動しながらもできる修行を各自行いながらだったのだ。
オレはまず真っ先に取り組んだのが、ジュウに影分身の術を教わることだった(きちんと丁寧に頭を下げました4歳児らしく可愛らしく)。
だって影分身の副作用というか、副次効果というか半端なくいいだろ。どうしていままで覚えなかったんだよーオレのバカバカ。まぁ、単にそれどころじゃなく爺さんに身体を苛めに虐め抜かれていたから忘れてたっていうことなんだけどな。つーことは悪いのはオレじゃなくて、爺さんか。よし、いつかシバいちゃる。
ジュウの教え方がうまかったのか、それともオレのチャクラ量がえげつないせいかは分からないが、おかげさまで影分身の術はあっという間に覚えることができた。
そして今はオレとジュウと2人して木ノ葉をチャクラだけで切る修行をしている。原作でナルトが風遁を覚えるためにやってたあれだ。ナルトは影分身めちゃくちゃ出して修行していたが、オレらは移動中だし任務中ということもあって影分身体は各自2体ずつに留めている。
ラクサとオビトは残念ながら修行という修行はできていない。残念ながらとさっき言ってしまったが、本来任務中に限られた自身のチャクラを修行のために使うほうがおかしいのだ。
チャクラ量がおかしいオレとジュウだからできる荒業なのだ。現にオビトとラクサはオレらのことを最初は任務中に修行なんてするなと口うるさく口酸っぱく言っていたが無視し続けていた。今ではもう「なんなのこいつら」みたいな目で見ている。うん、修行やめさせるの諦めたんだな。
オレは4歳現在で雷遁系忍術はある程度使うことができる。真似するだけならカカシの代名詞的技、千鳥(この時のカカシはまだ雷を切っていないので雷切ではない。というかその前にカカシすら術の開発段階だ)だって使える。ただあれは写輪眼の洞察力があって初めて完成する術だから実践では使えない。だから里内ではその千鳥を形態変化させる修行をしていた。目標は原作のうちはサスケが対デイダラ戦で使ってた千鳥鋭槍だ。いいよねーあれ、かっこいいし。
「正面方向およそ5㎞先で僕の影分身が不意打ちでやられたッ」
我らオビト班が敵の索敵に引っかかった瞬間だった。