NARUTO-カルタ外伝- 転生者の独擅舞台《チーターライフ》   作:新名蝦夷守

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では、6話目です。どうぞ〜


006.支援物資輸送任務 敵襲

 

 ジュウの影分身がやられた。それがたとえ不意打ちだったとしてもその情報は大きなものだった。

 まず1つ目は、ジュウの戦闘力を上回るやもしらない敵がいるかもしれないということ。

 2つ目は、敵には感知タイプの忍びがいる可能性が高く、待ち伏せをしているかもしれないということ。

 そして3つ目は、その敵の情報はこちらが全く把握していないということだ。

 

 とりあえず、修行で出していた2体の影分身は解除しておく。お、経験値が溜まってレベルアップした・・・気分になれた。

 

「どうするオビト先生。ぼくはこのまま突っ込んでも罠の中にノコノコと入っていくようなものだと思うけど」

「僕もそう思うな。このまま突っ込むんなら僕とカルタの影分身だけにしてもらいたいね。じゃないと下手したら僕らの班全滅するよ」

「くっ・・・」

 

 オビトは苦虫を噛み潰したような表情を浮かべている。ラクサは隠そうとはしているが不安そうな表情は隠しきれていない。

 

「この僕が任務を断念するなんざ考えられないことなんだけど、でも敵の戦力状況が未知数な上に地の利も敵側にあるのに無理に突撃することを推しはしないよ」

「ただ、今ぼくたちが任務を放棄したら前線の木ノ葉の先輩たちが苦しむだろうね。もしかしたら死んじゃうかもしれない・・・」

 

 オレとジュウの言葉を聞いてオビトはそっと目を閉じた。きっとぐるぐると色んなことを想像してシミュレーションしているのだろう。こうやって見ると中忍になるって、隊長になるって責任重大なんだな。

 

「任務を断念するか・・・」

 

 目を閉じてから3秒も経ってないだろう。オビトが隊長としてこの任務の放棄を決めた。

 

「わかった。じゃあ、僕が殿をするよ」

 

 オビトが任務を放棄することがわかっていたのか、予想の範囲内だったのか、予測の範疇だったのか。オビトの言葉に間髪入れずにジュウがそう言い切った。

 

「んなっ」

「だってそうだろ。もう敵に僕らは見つかってんだ。このまま僕らが引き返すのをただただ眺めてるわけないだろ。今は戦時中なんだぜ。僕らが前線に物資を輸送する任務を与えられてることくらい敵だってお見通しさ。物資が届かなくなった前線部隊が困ることなんて兵法を習ってなくても考えればわかることだ。僕が敵側だったら、絶対に僕らを逃がすわけがない。きっちり殺して、さっくり物資を奪うね」

「じゃ、じゃあ俺が殿をする。隊長としての命令だ」

「ふーん。で?生き残れる確率は何パーセントなの?きっと1パーセントもないよ。ていうかオビトせんせ、言っちゃ悪いけど僕よりも弱いから」

 

 ジュウ節が炸裂している。

 でもオビトだってそれで簡単に「うん」とは頷かないだろう。隊長なんだし、なんたって仲間想いなんだし。

 

「そうかもしれねぇけどな!今は俺が隊長なんだッ!お前らを守る義務があるんだよッ!!」

「守れる強さもない癖に何言ってるの?ホントそういうの迷惑だから」

「ジュウッッッ!!」

「それでなに?図星を突かれたからって部下で年下の僕に対して胸ぐらなんか掴んじゃってどうするつもり?暴力でも振るうのかな。あーこわいこわい。力使うところ間違ってない?大した力も無いくせにさ」

 

 思いの外、ジュウの毒舌が酷い。オビトもヒートアップしちゃっている。こんな今にでも敵が来るやもしれない状況下で何してんだよ、って話だ。

 

「お、オビト先生もジュウもやめるじゃんね!今は仲間割れしてる場合じゃないじゃんね!!」

「こんなのが中忍かよ。こんな優柔不断で自分の実力もわかんない奴が小隊の隊長なんかやってたら勝てるものも勝てないね!みんな無駄死にするだけだ。あのうちは一族も大したことないんだな」

「ッ!!てっんめぇ・・・言わせておけばッ」

 

 ラクサの言葉も2人には届いていない。

 

「数ある忍び一族の中でも突出して秀でた能力を持つうちは一族。でもその恐怖すらされる写輪眼という瞳術を持たないオビトせんせは落ちこぼれだもんな。まぁ僕より弱くてもしょうがないよね。だから大人しく尻尾巻いて逃げてよ。オビトせんせ」

「ジュウくん、言い過ぎ。オビト先生も落ち着いて。この時間が無駄だよ。ぼくらの中に感知タイプの忍びはいないからわからないけど敵は刻一刻と迫ってきてるかもしれないんだよ」

 

 オレが止めに入ってもジュウの口撃は止まらなかった。

 

「なに?なんでゴーグルかけたの?正論で自分の至らなさを、自分の不甲斐なさを暴かれて泣いてるの?泣き虫だなーオビトせんせーは。弱いし、優柔不断だし、遅刻魔でだらしがないし。うん、せんせーは忍びには向いてないよ。辞めちゃえば?」

「な、泣いてなんかねーよ!ちょっと目にゴミが入っただけだ」

「ふーん。だったら金輪際ずーっとゴーグルかけてるといいよ。そしたら目にゴミなんか入らないからね。じゃあ、僕が殿をつとめるってことでみんな文句ないよね?」

「だから俺がやるって言ってるだろッ!」

 

 あーあ。話が振り出しに戻ってらー。これじゃあいつまで経っても決まらない。敵もいつくるかわからないし、潮時だな。みんな・・・騙して悪い。

 

「ねぇ、その殿ぼくに任せてよ。ぼくがきっとうまくやってみせるからさ」

 

《陰遁・思操(しそう)の》[※]

 

「みんな伏せてッ!」

 

 唐突だった。気配が急に感じられたと同時に殺気も感じ取ったオレは木の間から飛来するナニかを見た。手裏剣だ。

 ちっ・・・見つかったか。

 

 

 




※陰遁・思操のとは
 正式名称:陰遁・思操の術
 術考案者:羽衣カルタ
 うちはシスイの万華鏡写輪眼に宿った能力『別天神』を模倣した幻術。対象となった人物は術者によって思考をコントロールされていると気付くことなく術者の意のままに操られることとなる。ただし、幻術返しを行える者には通用しない。今回カルタは自分が殿をすることを認めさせるために使用したが、タイミング悪く敵の邪魔が入り失敗に終わった。

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