NARUTO-カルタ外伝- 転生者の独擅舞台《チーターライフ》   作:新名蝦夷守

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それに加えて今回10話目。祝節目ですね。

ここまで読んでくださりありがとうございます。

お気に入り登録、評価もしてくださって感謝感激です。

それではつづきをどうぞ・・・


010.東部戦線異状なし 密談

 

 2人とも、え、なんで?という顔をしてながら部屋を出ていったがそれはオレも知りたい。

 だからもう一度言おう。

 

 ・・・え、なんでオレ?

 

 オレ、このダンディズム漂うオジサマになにかやらかしただろうか。やらかしてしまったのだろうか。内心、怒られたらやだなーと思いながら、でもそれを表情には出さないように気をつけてシカゾウさんと対峙する。1on1、つまりサシでだ。

 

「羽衣カルタ」

「はい」

「お前は、いや、お前が二尾の人柱力だな」

 

 な、なんで知ってんだ・・・この人。里の内部でもうちの家族と上層部、それも火影と相談役レベルの人間しか知らない超機密事項のはずなのに。

 

「先程、里からもう一通文書が届いた。差出人は暗部『根』リーダーの志村ダンゾウ様だ」

 

 志村ダンゾウ。「忍の闇」の代名詞的存在。原作でも後半から登場する超重要人物の一人だ。

 木ノ葉の暗部(暗殺戦術特殊部隊の略)養成部門「根」の創設者でありリーダー。木ノ葉のタカ派の筆頭でありその性格は里を守るためならば非情な作戦や卑劣な作戦も容赦情けなく実行する。忍びらしいといえば最も忍びらしい人物だ。

 たしかにその者であれば、オレが二尾の人柱力であることも情報として知っててもおかしくはないし、木ノ葉に来た時からずっと遠巻きから監視してきたであろう暗部の人員に自分の息のかかったものを派遣することも可能だろう。

 

「それで、ぼくは何をすればよろしいのですか」

 

 そのダンゾウのことだ。わざわざオレが人柱力であることを教えるためだけに前線の部隊長ごときに情報漏洩なんかしないだろうし、絶対に何かある。

 

「あぁ、ダンゾウ様からのお言葉だ。心して聞け・・・」

 

 一体オレは何をさせられるのか。

 

「人柱力羽衣カルタに命ずる」

「はい」

「東部戦線にて敵部隊を殲滅後、林の国首都にて二尾の封印を解き尾獣化せよ。以上だ」

 

 この世界において、忍びとは軍隊。人柱力とは核兵器のようなものだ。ダンゾウはオレのことを便利な大量破壊兵器くらいにしか思っていない。敵国の首都にオレを突っ込ませるということはオレの介入を機に林の国の領土ごと呑み込む(併合する)つもりなのだろう。

 

「・・・わかりました。謹んで承ります」

 

 人2人殺したとはいえ、殺しに慣れたわけじゃない。慣れたわけじゃないのにましてや非戦闘員を攻撃対象とした無差別攻撃なんざやりたいわけがない。

 

「これは他言無用だがな・・・」

「はい」

「俺はこのやり方に賛同はしない」

 

 シカゾウははっきりとダンゾウのやり方に異を唱えた。

 

「部隊長。ぼくには暗部の監視がついています。あまり余計なことは仰らないほうがいいかと」

「だけどな、上からの指示には従わざるを得ないんだ。すまねぇな。恨むなら子供のお前にこんなこと押し付ける俺を恨め」

 

 そういってシカゾウ、いやシカゾウさんはオレに対して頭を下げた。

 どうしてガキでしかないオレに部隊長であるシカゾウがそこまで言ってくれるんだろうか。

 

「大丈夫です。こんな身体(なり)ですけど、立派な木ノ葉の下忍ですから。忍びと認められたその時点から僕は木ノ葉の守るべき、護られるべき(ぎょく)ではない。精々、敵陣に突っ込んで敵中で暴れまわる香車ってところでしょう」

「お前さん、玉をそう捉えているのか。その歳で、すでに」

「先程のジュウくんとシカゾウさんの会話から推測するとこれがシカゾウさんの答えかと思いました。間違っていましたでしょうか」

「いいや、正解だ」

 

 心底驚いているらしいシカゾウさんは大きく目を見開いていた。

 オレはそのシカゾウさんの目をしっかりと見つめながら話を続ける。

 

「ですので、与えられた任務はしっかりとこなして見せます。次に攻勢に出るときはぼくも駒として使ってください。お願いします」

 

 今度はオレが頭を下げる番だった。構図としては家の近くの公園で野球をしていて打ったボールが隣の家の窓ガラスを割ってしまい。謝ってボールを返してもらう少年とその家の家主ともとれる昭和チックなものだったが実際は違う。

 

「香車じゃなくてもいいです。歩としてでも」

 

 実際は戦場に出させてくれという懇願だった。

 今のオレを、昔のオレやもしかしたら未来のオレが見たら何やってんだコイツって思うかもしれない。

 でも、あのダンゾウに命じられて拒否なんぞ出来ないし、なんなら林の首都襲撃も踏み絵みたいなものなんだろう。やるしかないなら、自分の中でも何か理由を見つけたい。偽善でも偽物でもなんでもいい。その殺戮をする理由が欲しかった。

 

 かっこ悪いオレは理由を、責任を木ノ葉の玉に押し付けることにしたのだ。

 里に住む子供たちを、その将来をまもるために・・・と。

 

「わかった。次の作戦にはお前を使う。基地内で待機しておけ」

 

 見た目4歳児が清濁併せ呑む姿をどうとらえたのか、それはシカゾウさんにしかわからない。が、返答をくれたその表情は最初に見た時よりも渋い顔になっていた。

 

「ありがとうございます。オビト先生とジュウくんはいかがいたしましょうか」

「あいつらには一足先に里へ帰還してもらう。そのように伝えておけ」

「わかりました」

 

 こうしてようやくオレはその建物から外へ出た。

 少し先にはオビトとジュウ、それからイブがいた。建物から出てきたオレを見つけたらしいオビトがブンブンと手を振っている。こっちだぞーという意味だろうか。

 オレは小走りで駆け寄りながら別のことを考えていた。

 

 

 

 いまさっきの話からすると、爺さんは里の上層部にオレのなかに封印されている二尾のことを話して、オレたち羽衣一族を保護してもらったみたいだ。だが、どうやら七尾のことは誰にも言っていないらしい。そんな大事な秘密をどうして木ノ葉の上層部に報告しなかったか、わからないがちょうどいい。重明のことは誰にも言わないとっておきの切り札(ジョーカー)ということにしておこう・・・と。

 

 

 


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