NARUTO-カルタ外伝- 転生者の独擅舞台《チーターライフ》   作:新名蝦夷守

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013.東部戦線異状あり 保護

 

 あれから一体何時間経ったのだろうか。

 

 目を開けるとそこは知らない部屋のベッドの上だった。

 

「知らない天井だ・・・」

 

 まさかオレがこのセリフを言うことがあろうとは。

 まだボーっとする頭と体ではあるが、少し上半身を持ち上げる。気を失っていたからだろうか、なんだか頭が揺れているような気がする。頭というか、体全体?

 なんだか、ふらふらと揺られているような、揺さぶられているような、そんな気がする。

 

 だが、体温も血の巡りもきちんと通常に戻っている。寒いと感じることは無いし、冷えて痛いと感じることもない。

 気を失う前は雨に打たれて体温が下がり、手がかじかんでうまく握れない状態だったが、今はぐーぱーさせても何の不自由もなく手に力が伝わる。うん、いい感じだ。

 

 ふと意識を他へ移すと、部屋の外から話し声が聞こえてきた。どうやら部屋の壁は薄いみたいだ。

 聞こえてきた声はオレを絞め落としたあの女の子の声のようだった。もう片方も女の子だろうか。随分と独特な話し方をするが声が高い。

 

『あの子、戦争孤児かしら。あんな天気にあんなところで一人でいるなんて・・・まだ小さいのに』

『まぁ可哀そうだとは思うがこれが今の現状だナ。でもあの坊やはお前に拾ってもらえてまだラッキーなほうだゼ。あの子のような戦争孤児を生ませないためにもいち早くこの大戦を終わらせる必要があるんだナ』

『そうよねぇ。そのためにも頑張らないといけないわね』

 

 なんかオレが知らない間に戦争孤児にされていた。

 たしかにあんな街外れの山林に雨に打たれてずぶ濡れになっていたらそう思われても仕方ないかもしれない。なんたってまだ4歳児だからな。

 貧相な恰好しているし、もちろん額当てもつけていない。それでああいう出会い方をしたらオレだってそう思うだろう。

 

『それで?どうするつもりなんだヨ。あの子、里まで連れて帰る気カ?』

『うん。そのつもりだけど・・・やっぱりまずいかしら』

『どうだろうナ・・・。まずくはないかもしれないが誰があの子の面倒をみるんダ?お前んち、みんな長期任務で家開けてること多いだロ?』

『困ったわねぇ。私が一緒にいてあげられたら一番いいんだけど・・・』

『それは到底無理な話だナ。お前は指揮権こそ与えられてはいないが若くして上忍になった新星だゾ。これからも戦場を転々と転戦させられるに違いねェ。このあとは雲隠れとの戦線に行くんだロ?』

『そうなのよねぇ・・・。ねぇランちゃん、それまでこの子のことお願いできないかしら。もし容体が急変しても貴方なら面倒見切れると思うし』

『フン。戦時下の医療忍者の忙しさ舐めんじゃねぇゾ。ワタシは対木ノ葉前線に付きっ切りなんダ』

『そっかぁ』

 

 会話が途切れたと同時にドアがあいた。

 

「あら?」

「オ」

「目が覚めたのね!よかったぁ」

 

 ドアからオレの寝ていたベッドまではすごく距離が近かった。身構える前に捕まった。捕縛といってもいいかもしれなかった。

 

「ちょ、く、くるしい・・・」

「心配したんだからね!もう大丈夫よ。お姉さんがついているわ。寒かったでしょう?怖かったでしょう?」

「メイ。それぐらいにしとくんだナ。その坊や、息できなくなってるゾ。お前のその醜い胸の脂肪でナ」

「あらっ。ごめんね、ぼく。苦しかった?」

 

 そういってオレを解放した。

 

「い、いや、だいじょうぶです」

「そう!ならよかったわ」

「フン。このエロガキが。まったくそんなものに鼻の下伸ばしやがっテ。これだから最近のマセガキハ」

 

 オレを何度も絞めてくる赤茶っぽい髪の少女。メイと言ったか。確かに年の割には合わない胸の柔らかさは感じられたが正直息ができなかったのはそこが原因じゃない。絞めつけてくる腕力だ。諸悪の根源は細く白いきめ細やかな肌を持つその腕だ。だから変わった口調の少女、ランからオレに向けて言われてた言葉には反論させていただく。地の文(ここ)でな。

 

 胸の感触味わってる余裕なんざこれっぽっちも無かったんだよ!皆無だったんだよ!残念ながらなッ!!

 

「あの。助けていただきありがとうございました」

 

 本当は有難迷惑だったがな。

 あそこで人と遭遇する予定はなかったんだ。

 いまあれから何時間経っているかはわからないが、早急に戻らないと。

 

「ところで、あれからどれくらい時間が経ったの?」

「1時間といったところだナ。思ったよりもお前の回復力がすごくてナ。実はこう見えてもワタシは驚いているんダ。そんなことより、お前を助けてやった恩人に名乗りもせんのカ?お前ハ」

 

 名乗りたくないんだよ。さっさと作戦に戻らないとだめなんだから。

 そんなことを考えてたオレだったが、緊張していると勘違いしたのか、茶髪少女のほうから話し始めた。

 

「ラン。そんなに睨んじゃ可哀そうでしょ。それに名前を聞くときは自分から名乗るものよ。というわけで、ラン。貴方から自己紹介なさい」

 

 不承不承といった具合で、仕方ねぇなぁ面倒くせぇよ全く。といった様相で。変な口調の少女が口を開く。

 

「ワタシはランという者ダ。以上ダ」

 

 その様子を見て苦笑いを浮かべながら茶髪少女が続く。

 

「私は霧隠れの里の照美(てるみー)一族の上忍。照美メイよ。もうすぐ12歳になるわ。よろしくね」

 

 最後にウィンクまで付けて自己紹介したその少女は、原作ではあんな扇情的な恰好をしていたためか。それとも髪型がショートカットで前髪が両目ともにかかってなかったせいか。大人っぽくはあるが少女っぽさが抜けてないからか。印象はだいぶ違うが、確かにあの照美メイだった。

 

 彼女は後の、霧隠れの里。五代目水影になる照美メイその人だった。

 

 

 




ついに、というか。ようやく、というか。

照美メイ初登場回でした!(正確には前回から出てきてましたが)

これからどうなるのか・・・。それは僕にもわかりません。

プロットを書かないで始めると、こうなるのか。


次回もよろしくお願いします。

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