NARUTO-カルタ外伝- 転生者の独擅舞台《チーターライフ》   作:新名蝦夷守

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016.東部戦線異状あり 終撃

 陸地にはすぐについた。こんなに離れているのに本当にあっという間についた。

 

 それにしてもあの海獣でけぇな。

 

 こんなに離れているのに目視できるとか、一体どれだけでかいんだ・・・。

 

「うぅ・・・」

 

 メイが意識を取り戻した。

 

「おい、メイ。大丈夫か?」

「ん、あ、あれ?かるたくん?わたし、たしか・・・」

 

 もしかしたら触手に首も絞められてたのかもしれないな。記憶はまだハッキリとはしていないみたいだ。

 だったのだが、海を見れば嫌でも目に入る巨体。それでメイは全てを思い出した。

 

「私、行かなきゃ!」

 

 そう言ってメイは立ち上がろうとするが、ふらついて膝を地につけた。

 

「メイ。お前はあのデカブツに負けたんだよ。また行っても同じだ。命をここで散らす意味はない」

「でも!あの中にはランも他の仲間もいるのよ!こんなとこに私だけいるわけにはいかないわ」

「じゃあ、こんな離れたところにいる意味わかってんのか?つーか、その様子じゃ覚えてないだろ。オレがお前を運んだんだ。せっかく助けたってのに、目の前で死なれちゃ後味悪いんだよ」

「へ?カルタくんが?私を運んで・・・ここまで?」

「あぁ」

 

 鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしている。

 

「で、でもどうやって?」

「オレ、忍者だから。普通に瞬身の術で」

「は?」

「だから、オレ、忍びなんだよ。木ノ葉の」

 

 そう言って隠し持っていた木ノ葉の額当てをいつも通り、額につける。

 その様子を見てメイは驚愕している。

 良心から雨に打たれて凍え死にそうだった子どもを助けて仲良くなったと思ったら、実は敵国の間者だったのだ。しかも色々、情報を漏らしてしまっているし。

 

「メイはさっきオレを助けてくれた。オレは今メイを助けた。これで貸し借りは無しだからな」

 

 トントンというやつだ。お互いに助け合ったから敵同士でも等価交換は成立だろう。うん。

 でもメイの頭の中は混乱状態らしい。

 

「え、ちょっと待って。え、意味が分からないわ。うん、全然意味が分からない。私が助けたカルタくんが敵で、敵であるカルタくんが私を助けた?」

 

 ザッツライト。

 

「そうゆうことだ。なんだ、わかってんじゃん」

 

 でもなぁ。借金したら、それ返すときには利子っていうものがつくんだよなぁ。

 

「どういうことなのよ・・・。でもまず助けてくれたことは礼を言うわ。ありがとう。でもね、私は仲間を見捨てることなんてできないわ。意地でも行かせてもらうわよ」

 

 そう言って目つきを鋭きしたメイは海を睨みつける。

 

「利子も返すよ」

「え?・・・りし?利子?協力してくれるってことかしら」

「協力じゃない。ただの利子の返還だ。これでホントにチャラだかんな」

「だからそれ協力なんじゃない。もしかしてそれ、ツンデレカルタ?」

「違う。本来、メイの実力があれば海神獣(あれ)くらい何ともないはずなんだ。なんたってお前は水影になる女だからな」

 

 オレの本心が駄々漏れる。原作知識という今現在では不確かな未来情報を漏らす。

 

「沸遁と溶遁の2つの血継限界を操るチートキャラなんだ。本来、オレなんかお呼ばれしなくたってこんなピンチ、ピンチにならずに済むんだ」

 

 だから、

 

「協力じゃない。独力だ。オレひとりで片づける」

「カルタくん、ちょっとなに言って」

 

《雷遁・纏 弐式》[※]

 

 バチバチと雷遁のチャクラがスパークする。通常の雷遁・纏と比べ物にならないほどの(いかづち)と光量だ。遠目からみたら、オレ自身が発光しているようにも見えるかもしれない。

 八門遁甲の休門を解放し、強制的に体力を上昇させ圧倒的な回復力を生み出したからできる弐式。今までの速さと攻撃の重さとはケタが違う。

 

「すぐに終わらせるさ」

 

 オレが蹴った地面はまるでクレーターのように大きく抉れた。

 

 

 

 

 地面を蹴ったそのままの勢いで、まずは直線状に並んでいるタコとイカに突っ込む。もともとそんなに反応速度が速くない化物だ。先程と同じようにカウンターの危険性を度外視で突撃する。

 

《雷皇・千鳥》[※]

 

 雷そのものをそのまま右腕全体に宿したかのような千鳥がタコとイカの頭部を突き抜ける。このカットだけをみたら劇場版のクライマックスにも見える。

 そして、そいつらに訪れたのは先程とは似た攻撃でありながら全く次元の異なるものだった。確実で明確な死だった。

 

 頭部に大きな穴が空いただけではなく、体内まで雷の電流電圧で焼き切られたタコとイカはその巨体を揺らしながら、大きな波、水飛沫を立てながら海の中へと沈んでいった。

 

「次」

 

 残るは4体。海蛇と鰐鮫と鯨金魚とネッシー。

 オレの殺気を真正面から受けた超巨大金魚がたじろぎ一瞬、動きが止まる。

 

「だらしない口が開きっぱなしだぞッ」

 

《多重影分身の術》

 

 オレの影分身体が怒涛の勢いで超巨大金魚の口から体内に侵入する。

 そして一斉に内部での千鳥流し。そして追撃としての分身大爆破。巨大金魚の丸焼きが出来上がっていた。

 

 鰐鮫とネッシーはある程度、対処できている忍びがいる。

 

 じゃあ、次のオレの相手は、

 

「てめぇか。海蛇」

 

 今回襲撃してきた中で最も大きい体躯を誇る海蛇。海面に出ているだけでも大きく見上げるほどのサイズ感だが、これだけの質量を海上に出しているとなると、それを支える身体はどれほどの大きさを誇るのだろうか。想像もしたくない。

 

「オレに喧嘩売ったこと後悔しながら眠りやがれッ!!」

 

 そしてその瞬間、巨大な海蛇と雷光が交錯した。

 

 

 




※雷遁・纏 弐式とは
 雷遁・纏の強化版。より速く、より硬い防御力、より強い攻撃力になる。

雷皇(らいこう)・千鳥
 腕全体に千鳥を展開し、纏(弐式)の突破力・貫通力で攻撃する。

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