NARUTO-カルタ外伝- 転生者の独擅舞台《チーターライフ》   作:新名蝦夷守

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021.茶の国防衛戦 全滅

 

 雲隠れが茶の国へ奇襲というその一報が北部方面隊に入る前、茶の国の沿岸警備を行っていた木ノ葉の小隊と雲隠れの上陸・奇襲小隊との間で戦闘が起こっていた。木ノ葉は雲を上陸させるわけには行かないと。雲はこんなところで立ち止まるわけにはいかないと激しい戦闘となっていた。

 

「ちっくしょうッ!半分はガキだぞ?どうしてガキひとり殺せない!?」

「3人がかりで行けばいいだろ!?」

「馬鹿野郎!!子どもに3人も使ったら、他のところが手薄になってすぐやられちまうよッ!!」

 

 互いに使われる忍術が海面を大きく揺らす。

 火球が飛び、雷が海面を走り、海水が大きく爆発する。爆発によってまき散らされた海水が雨のようにして降り注ぐ。降り注いだ海水に打たれながら戦闘は続く。

 

 木ノ葉は小隊長に上忍が1名。隊員に中忍が3名というように構成された四人一組(フォーマンセル)が計5つの5小隊。20名。

 対する雲隠れの奇襲部隊は8名であるから、2小隊。そのうち、明らかに子どもなのが3名。

 

 この人数差であっても、戦闘の時間が長引けば長引くほど木ノ葉の忍びの数だけが減らされていく。

 

「援軍は呼んだのかッ!?」

「敵影が見えた時点で呼んださッ!でも、里も北部方面隊にも届くには時間がかかる!援軍なんざそれからまた何時間もかかるだろうぜ!!」

「まじかよ。このままだとヤバいぜ!」

「んなこと知ってるよ!喋ってないで行くぞ!!」

「応ッ」

 

《火遁・炎弾》

《風遁・旋風波》

 

「余力は残して魅力が光る♪八尾がサビのキラービーだぜオレ様が!ア!イエー!ウィィィィ!!!」

 

 左頬に2本の牛の角、右肩に「鉄」の字の刺青を入れている色黒の筋肉質な少年、キラービー。

 キラービーに向かっていく木ノ葉の忍びが放った炎の玉を物ともせず、ぞんざいに振り回した右腕でかき消した。

 

「んなッ!?」

「馬鹿な!!火遁を風遁で強化したんだぞっ!?」

「オレ様舐めんじゃねぇぞ♪バカ野郎♪コノ野郎♪そんなオマエラにはラリアット!雷犂熱刀(ラリアット)!!イエェェェェェ!!!」

 

 ふざけたラップで木ノ葉の忍びを屠っていくキラービー。

 他にも左眼に「雷」と書かれた眼帯をしている男は血継限界と思われる熔遁を使い、大きな四角型の手裏剣を自由自在に操る者、恐らく最年少ながら奇襲部隊に抜擢されている少年も血継限界らしき術を使っている。

 歳はバラバラではあるが、雲隠れの忍びは皆、精鋭であり、数に勝る木ノ葉はじわりじわりとその数さえも少なくなってきている。

 

 戦っている木ノ葉の忍びも敵との力量が読めないほど雑魚ではないし、だからと言って諦めがいい奴らでもなかった。

 徐々に攻撃パターン、防御回避のパターンを変え、持久戦の様相になっていった。

 

 敵を排除することから、時間を稼ぐことや敵を少しでも消耗させることに重点を置くようになったのである。

 

 木ノ葉の忍びたちはここが自分たちの死に場所だということを理解していたのだった・・・

 

 

 

 

 

「木ノ葉の沿岸警備の奴ら、結構しぶとかったですね」

「忍び同士の戦闘とは思えないほど長引いたわね」

 

 雲隠れの少女2人が背中を互いに合わせながら話をしていた。

 

「まぁ伊達に木ノ葉の看板背負ってねェってことだろう」

「ダルかったッスねー。俺、見るからに子どもなのに容赦ねぇッス」

 

 額が広く、髪が立っている少年と最年少の少年が話に続く。

 

「ここで小休止し、ある程度回復したら木ノ葉へと向かう。この作戦の要はビー。お前なんだからなしっかりしてくれよ」

 

 この小隊のリーダーらしき人物がキラービーに向かって話しかけていた。

 

 現在、雲隠れの2小隊はあの戦闘のあった海が見える小高い丘の大きな木の下で休んでいた。

 各々兵糧丸を口に含んだり、先程の戦闘でケガをした箇所をテーピングしたりしている。

 

 雲隠れの忍びたちが既に上陸しているというのに木ノ葉の忍びがいないということはもちろんもうすでにこの世にはいない。沿岸警備隊5小隊とも、この雲隠れの忍びたちにやられ、全滅したのだ。

 

「ウィィィィ!!新忍頭エスの言うことなら♪例え火の中、水の中♪ア!イエ―!!」

「お前、本当にわかってんだろうな?」

「エスはドS♪でもドM♪オウ!イエー!!!」

 

 とうとう堪忍袋の緒が切れた忍頭(しのびがしら)と呼ばれたエスがキラービーのことを殴る。それに対して「おうおうやったな。ばか野郎この野郎」とビーがこぶしを握る。

 

「クソガキども。そんなに元気が有り余ってるならさっさと出発するぞ」

 

 最年長と思わしき者の一喝によって、エスとキラービーが大人しくなる。怒られていないはずの他の者たちまで黙り込んでいる。背筋も心なしかピンと張っている。

 

 結局、その者も今すぐに出発することを良しとはしていなかったみたいで、すぐに立ち上がることはなかった。

 だが、まわりの、その中でも特に歳の低い忍びたちは身体と気が休まるどころか、がりがりと体力と気力が削られて行っていることにその者は気づいていない。

 

 「トロイさん、マイペースだからな・・・」という、熔遁という血継限界使いの呟きは風によってかき消された。

 

 

 




いつもお読みいただき有難うございます。
新名蝦夷守です。

作品の評価、考えさせられますね。
良いと悪いの真っ二つ笑

この作品は自分が書いていて楽しく、読んでくださる人も楽しんでくれたらいいな、と書いているものです。

こいつの書いてる作品、面白くねーなって思った方はお読みいただかなくて結構ですからねー。もちろん低い評価でもその時の最新話まで読んでくださったから点数をつけてくれていると思うので本当に感謝しております。面白くなくてごめんなさい。

でも、ちょっとでも面白いなーとか、続き気になるなーと思っていただけたなら幸いです。そういう方がもっと増えるように努力して参ります。

また次回もよろしくお願いします。

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