NARUTO-カルタ外伝- 転生者の独擅舞台《チーターライフ》   作:新名蝦夷守

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022.雲による木ノ葉奇襲作戦 行軍

 

「じゃあ、行ってくるわ」

「っちぇ・・・またカルタかよ。僕が行けば災害級の忍術でも使って一網打尽にしてやるのに」

 

 そういうジュウは本当に悔しそうにしている。

 確かにジュウくらいの才能が有れば、災害級の忍術とか使えそうではある。だが、

 

「救援なのに足の遅い忍びが呼ばれるわけないじゃんね」

「くっそぅ。僕に体術の才能があれば・・・」

 

 ラクサに痛いところを突かれていた。突っ込まれていた。むしろジュウ的には抉られていたといっても過言ではないかもしれない。

 ご存知の通り、忍術に関する才能は天才的で他の追随を許さないほどであるが、しかしながらそれ以外の才能が壊滅的にないジュウは固定式の大砲くらいにしかならない。いや、もちろんそれだけでもすごいんだけれども。

 

「帰ってきたら体術の修行をしてあげるから、ジュウくん、水遁と土遁ちゃんと教えてね」

「わかってるよ。なんなら、影分身何人かおいて行けよ。コツだけ教え終わったら解除するように言っとくからさ」

「お、それいいね。それじゃあお願いするよ」

 

 そう言って影分身を数体出したオレはジュウに預けた。育て屋さんにポケモンを預けるポケモントレーナーの気分である。それにしても本当に影分身ってチートな術だよなぁ。考え出した2代目火影である千手扉間がここまでの効果を考えて作ったとは思わないけれども・・・。

 

「おーい、カルタ!行くぞッ!!」

「はーい!!今行きます!!それじゃ、またね」

 

 オレの編入された小隊の隊長であるシカクに呼ばれたオレは、ジュウとラクサに手を振ってその場から出発した。

 

 

 

 そして茶の国への救援部隊として呼ばれたオレと他数名は今、全速力で南下していた。

 雲隠れとの最前線、北部方面隊に所属していたオレだったが、火の国・木ノ葉隠れの里と同盟を結んでいる国、茶の国に雲隠れの忍びが上陸したとの一方が届いたからであった。

 

 茶の国はこの場所から見て南東方向にある半島を領土として保有している中規模の国だ。

 中規模の国であるくせに、その自国の防衛を同盟関係を結んでいる隣の大国火の国に全てを任せている国だ。

 

 国境の大半を海に面している茶の国の沿岸警備隊は木ノ葉から派遣されて組織されている。

 今回はその沿岸警備隊からSOSが届いたのであった。

 SOSを発したのが敵との戦闘前であったとしても、こちらにそれが届いたときにはすでに戦闘は終わっているだろう。

 敵が木ノ葉の意識を北部に引き付けておいて、南部から奇襲してきたということは、本当の狙いは木ノ葉隠れの里若しくは、火の国の首都と大名。と睨んだ北部方面の部隊長となった奈良シカゾウはオレと上忍7名の計8人を2班に分けた。

 そして、オレ、奈良シカク、山中いのいち、秋道チョウザの4人を木ノ葉の里へ。他上忍4人を大名護衛と首都防衛へと救援に向かわせた。

 

「もっとスピードを上げられるかっ!カルタ!」

 

 移動開始してから1時間ほどが経過したころ。

 小隊の隊列を乱さないために雷遁を纏わず移動していたオレに、もしかしたら遠慮していたかもしれないシカクが聞いてきた。

 

「はい!全然余裕です!むしろシカクさんこそぼくのスピードについてこられますか!?」

「言ってろ!くそがき!上忍を舐めるなよーッ!!」

 

 本当に思ったことを言ったら怒られた。

 どうやらさっきまでシカクたちはもしかしなくても本当に遠慮してたみたいで、移動のスピードがグンと上がった。

 この様子なら雷遁を纏ってもよさげだな。と、雷遁・纏を発動させて一式で追従する。

 

「速いな。カルタくん」

「ありがとうございます。チョウザさん」

「でも、その様子だとまだまだ余裕そうだね」

 

 チョウザといのいちが会話に入ってきた。

 

「雷遁を纏ってるので、そうですね。この状態ならもう少し飛ばせます」

 

 オレの言葉にぎょっとしているのはシカクだ。たしかに下忍で上忍のトップスピードと並んで移動しているのにもかかわらずケロッとしているのは、彼の常識では考えられないのだろう。

 

「飛ばせるのはいいけどよ。ここで全力を出し切って、敵のいざ目の前ってところでへばったりしたら何の意味もねぇんだからな。そこらへんはチャクラ量の配分を考えて行動しろよ」

「大丈夫です。ぼく、無限のチャクラ量なので」

 

 チョウザがよく言う無限の胃袋みたいに言うんじゃねーっ!!このチャクラオバケがッ!!!と、シカクが叫んでいるが、他の2人はそれをみてケラケラと笑っている。

 この人たち、高速移動している最中なのにすごく余裕だな。

 

「皆さん、ぼくに構わないで全力で移動して大丈夫ですよ。まだ全然合わせられますので」

「っくぅぅぅ!!この生意気カルタめが!後で痛い目にあっても知らねぇからな!!」

 

 そう言って更にスピードを上げたシカクだったが、オレは纏の弐式を使うまでもなく追いついた。

 ものすごく悔しそうな顔をしていたが、これ以上のスピードアップはこの後起こるだろう戦闘に響くと判断したのか、それとも意地になって出しているこれが移動スピードの限界なのか。どちらかはオレには判断できなかったが、今のこのスピードがこの小隊の最速だった。

 

 木ノ葉と雲が交わるのはこの数時間後のことだった。

 

 

 


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