NARUTO-カルタ外伝- 転生者の独擅舞台《チーターライフ》   作:新名蝦夷守

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026.雲による木ノ葉奇襲作戦 開眼

 

 八尾牛鬼が放った尾獣玉を迎え撃つような形で放った二尾又旅と七尾重明の2つの尾獣玉と激しく衝突した。

 

 これによって生み出された轟音と衝撃波によって、辺り一帯の森林は消し飛ばされた。

 

「又旅ッ!重明ッ!尾獣化したからある程度の衝撃は大丈夫だろうけど、その身体影分身なんだからなッ!!派手に一発喰らうと消えちまうぞ!!」

「「わかっておる(よ)!おまえ様!(主様!)」」

 

 わかってるならいいんだけど、あいつら一応曲がりなりにも尾獣だからな。

 一度頭に血が上ったら、ヒートアップしちゃって忘れそうだから言ってやったんだけどな。

 

 3匹で行われている怪獣大戦争は、炎を吹いたり、尾で薙ぎ払ったり、嚙みついたりと1匹が一つの動作をするだけでこの場所の地形が変わっていく。

 

 又旅がちょこまかと動きながら牛鬼を牽制し、上空から重明が風遁を使ったり、尾獣玉を放ったりしている。もちろん牛鬼もただでやられているわけじゃない。状況としては連携がうまくいっている又旅と重明コンビのほうが圧倒しているようには見えるが実際は牛鬼のほうに分があるようだ。

 

 状況を確認しながら空中を漂っているオレに向かって重明が放った尾獣玉が飛来する。

 

「うわ!あっぶねぇ!?お前らなッ!もうちっと気を付けてッ」

 

 避けたとほぼ同時に地面に着弾した尾獣玉がオレの後方の森林を吹き飛ばした。

 その衝撃が去ったと思いきや今度は牛鬼が尾獣玉を動き回る又旅に向けて放つ。

 

「って、おい!そっちには雲の仲間が!!」

 

 チッ。なんで牛鬼は自分の仲間のこと考えて戦わねーんだ。いや、まぁうちの馬鹿猫と阿呆蟲もそうか。これだから尾獣は!

 今までの尾獣同士の戦闘の余波で誰か1人が負傷しているようだった。その1人を庇うようにして他2人が両サイドの肩を持っている。

 そのような状態で牛鬼が放った尾獣玉の流れ玉が避けきれるとは到底考えられない。

 

「間に合えッ!!!」

 

 全身のチャクラを爆発させるようなイメージで雲の3人の元へと飛ぶ。

 全ての周りの動きが遅くなってみえる。雲の3人に飛来する牛鬼の尾獣玉も、その飛来先にいる雲の3人の唖然とした表情、茫然とした表情、愕然とした表情、各々の表情がはっきりと見える。

 極限の集中状態。所謂ゾーンに入ったのだろうか。

 それとも自分に死が迫ってきているからか。もしくはその両方か。それは今のオレにはわからないことだったが、それが功を奏した。

 

「「「なッ!」」」

 

 動きが止まっていた雲の3人を3人ともまとめて確保した。

 腕が短いから全員を抱きかかえることはできなかったが、そのままタックルするような形での確保だった。

 

 3人を持ち上げたまま真上に回避。その直後、黒い塊がすれすれのところを通り過ぎて行った。

 

 まさに間一髪といったところだった。

 

 尾獣玉が着弾した場所は抉り消し飛ばされていた。

 ほんの一瞬でも助けるのが間に合わなかったら自分がああなっていたかと思うとゾッとする。

 

 空を飛んだまま少し尾獣たちの戦闘区域から離れたところで、抱えていた雲の3人を地面へと降ろした。

 

「あ、ありがとうございました」

「私たちを救ってくれて感謝する」

「ありがとうッス」

 

 三者三様の感謝の意を示してくれた。

 

「いや、こちとら子どもが目の前で死んでいくのは見たくねーんだよ。ただの自己満足・・・だ」

 

 いや、お前のほうがどう見たって子どもだろ。という雲忍の声が聞こえるがそれが頭までは入ってこない。

 なぜならば普段と見えている景色が違った。チャクラの流れまで見える。え、なんで?

 

「お前、その瞳・・・うちはだったのか」

 

 色白金髪少女が言った。

 

 うちは?うちは、だと?あの?・・・オレが?

 

「その紅い瞳、写輪眼か」

 

 オレが写輪眼を開眼しているとでもいうのか。

 んな、バカな。オレはうちは一族ではないし、親も爺さんもひい爺さんの世代でも一度もうちはの血が混ざっていたなんて話は聞いたことがない。

 

「いや、オレはうちは一族ではない。羽衣一族の羽衣カルタだ」

 

 六道仙人であった大筒木ハゴロモの直系子孫である羽衣一族だ・・・あ、もしかしてそういうこと。そういうことなのか?

 うちは一族と千手一族は元をたどると大筒木ハゴロモの息子である、大筒木インドラと大筒木アシュラになる。つまり我が羽衣一族の先祖と言っても過言ではない。今オレが開眼した写輪眼は、その大昔まで遡った血の隔世遺伝ということなのだろう。

 

 いや、にわかには信じられないけれども。もうそうとしか考えようがない。

 

「え?でもその眼」

「色々あるんだよ。そんなことより協力しろ。雲に牛鬼を送り返す」

「はっ!こっちは木ノ葉に八尾を送り込むためにわざわざ来てるんだ。そんな要求」

「お前ら殺されかけてんのに何言ってやがる。写輪眼で吐かせてやってもいいんだぜ?」

 

 っち。と舌打ちをする金髪少女。だが、写輪眼で操られては敵わないと思ったのか、オレの写輪眼から目をそらしながらポツリポツリと話し始めた。

 

「ケガをしているマブイが『天送の術』っていうのを使える。物だけでなく人も指定の座標に飛ばすことができる時空間忍術だ」

「よし。じゃあ、それで八尾を雲隠れに送り返してくれ」

「それは無理ッスよ。尾獣を天送するとなったら膨大なチャクラを消費するッス。そんなチャクラ、マブイにはとても・・・」

「ごめんなさい。ダルイの言う通り無理よ」

 

 そうか。

 

「じゃあ、オレがチャクラを出す。お前がそのチャクラを使って雲へ送り返せ。これならできるか?」

「あなたのチャクラ量は?」

「尾獣並みだ」

 

 オレのチャクラ量に3人揃って驚愕する。本当は尾獣以上だけどな。

 

「!?でも、それなら・・・できるかもしれないわ」

「お前、マブイが裏切って木ノ葉に送るとかって考えないのか?」

「それならそれで、オレの支配下にある尾獣二尾から七尾まで雲に送り込むまでだ。今から使ってもらう『天送の術』でな」

 

 ただの(ブラフ)だったんだけどな。思いの外、信じちゃってるみたいだ。本当にオレがそうすることを想像したのか皆、顔が青ざめている。

 

「雲に尾獣を送り込まれたくないなら、言う通りにすることだな」

 

 カクンカクンなるほどに褐色肌の銀髪少女は頷く。

 この様子だと裏切られる心配はなさそうだが、念のため、一応、保険として写輪眼の催眠眼で木ノ葉には送らないように仕向けておく。・・・外道とか下種とか言ってくれるなよ。

 

「オレが牛鬼の動きを一時的に拘束する。そしたら迎えに来るから天送の術で牛鬼を雲に送ってくれ」

 

 そう言い残してオレはチャクラを足に纏わせ一気に飛翔した。

 

 


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