NARUTO-カルタ外伝- 転生者の独擅舞台《チーターライフ》 作:新名蝦夷守
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飛翔したオレはそのままの勢いで八尾牛鬼に突撃する。
「うおぉぉぉらッ!!!」
雷と化した右腕を牛鬼の顔面目掛けて容赦なく突き立てる。
《雷皇・千鳥》
「痒いわッ!!」
それを首を振って直撃を避けた牛鬼は数本の尾でオレのことを払いのけようとする。
「っ!」
オレに向かって飛んでくる尻尾の反撃を
「カルタッ!本気で来い!!」
「これだから頭に血の上った尾獣は嫌なんだ!!」
これじゃあ、いくら動体視力が上がったとて身体が戦闘についていかない。
「痛い目みて泣いたって知らねぇかんな!」
オレの身体、持ってくれよ・・・ッ!
八門遁甲【第六景門】開ッ!!
《雷遁・纏 参式》
身体を流れるチャクラのリミッターをさらに解除し、スピードもパワーも格段にケタ違いに上がる。
身体の周りには雷が蒼白く光りバリバリと帯電放電し、纏う雷遁の威力が弐式よりも更に倍増する。
髪の毛は逆立ち、筋肉は盛り上がる。
ただの高速パンチを連続で繰り出すだけで、炎を宿した衝撃波を放つ。
この炎、空気摩擦による発熱のみで生じている。神速で相手を殴るだけの連続攻撃だが、いままでのどの攻撃よりも牛鬼には効いているように見えた。
「又旅ッ!重明ッ!!」
オレが名前を呼んだだけで、何を求めているか理解してもらえたみたいで、尾獣玉が2発。牛鬼に直撃した。
もろに尾獣玉を2発喰らった牛鬼は流石に堪えたらしく、動きが鈍くなった。
オレはこのときを待っていたんだッ!
《魔幻・枷杭の術》
写輪眼を発動させた状態で牛鬼の目を覗き込む。すると、牛鬼の動きがピタっと止まる。
牛鬼はこれで幻術世界に陥り身動きが取れなくなっているはずだ。
今のうちに連れてこないと!
「迎えに来た!」
「は、はい!」
この状態なら、雲忍を待機させているところまで行って戻ってくるなど、1秒もあれば十分だった。
「天送先の演算は済ませているな?」
「はい、できます。チャクラを」
オレはマブイの肩に手を置き、チャクラを大盤振る舞いで流し込む。
「いきます!・・・天送の術ッ!!」
こうして木ノ葉の里、八尾襲来の危機を回避することができたオレはようやく一息つくことができたのであった。
「又旅。重明。お疲れ様。戻ってゆっくり休んでてくれ」
『妾は久しぶりにストレスを発散出来て楽しかったぞ。まぁ、流石に八尾相手となると疲れはしたがのう。おまえ様も休むんじゃぞ』
『主様。では、お先に』
ボフンと大きな煙を残して2匹は封印されたオレの精神世界へと還っていった。
「あ゛ー・・・つかれた」
八門遁甲も雷遁・纏もどちらも解除したオレは土がむき出しとなっている地面に寝転んだ。
あ、一回寝転んだらもう起き上がれる気がしない。
「あのー、大丈夫ですか?」
仰向けになってぶっ倒れていると、褐色肌の銀髪少女であるマブイがオレの顔を覗き込んできた。いや、訂正しよう。
テイク2。
オレが仰向けになってぶっ倒れていると、褐色肌の銀髪美少女であるマブイがオレの顔を覗き込んできた。
うん。これでよし。
「大丈夫だと思うか?八尾相手に肉弾戦だぜ?それよりもオレまだ写輪眼なんだけど、眼見ていいの?幻術かけられるかもよ」
「さっきそれをすれば都合がよかったのにあなたはそれをしようとはしなかったです。だから、大丈夫だと私は思っています。」
「・・・」
すごい、罪悪感が・・・。
なんかとてもピュアな瞳で見られると、とてつもなく自分が悪いことをしている気になってしまう。
騙して催眠眼をかけたオレが悪いのか・・・ッ!?
と、とりあえずバレないうちに先程かけた木ノ葉には天送させないためにかけていた催眠はもう解いておこう。
「それで私たちはこのあとどうなるのでしょうか」
できれば、サムイとダルイだけでも雲に返してあげたいのですが。と、マブイは言葉をつづけた。
うむ・・・どうしたものか。
このまま普通に考えたら木ノ葉の捕虜とされるだろう。敵国の忍びだし、きっと子どもとか関係なく酷い拷問にかけられて色々と情報を吐き出させられる。この世界に捕虜の人権を守る条約とか無いからな。
天送の術で返してあげれるものなら返してあげたいが、原作だと確か天送の術は、送られる側にかなり負担がかかることになっていた。
とてもじゃないが、尾獣でも影クラスでもないあの2人が天送の術に耐えられるとは思えない。
「ここから3人で帰れるか?木ノ葉の忍びに見つかることなく」
「私がケガをしていなかったら・・・できたかもしれないけれど」
だよなー。
この状況下で最善の選択肢はというと・・・。
「じゃあ、オレが直接火影に話をつけるからそれまでは捕虜としての扱いを受けてもらうからな・・・」
「はい。わかりました」
オレがどうにかして面倒見れるように画策、奔走するしかないか・・・。
いや、ちょっと待てよ。天送の術はもう解析できた。
送る3人にオレのチャクラを分け与えて天送されるときの圧力?から身を守れるようにしたら、いけるかもしれない。
上手く送れたか、送れなかったか。その結果はわからないが、計算上では何の問題もなく雲の3人を天送することができたオレはその後、オレたち木ノ葉の追手の足止めとして残っていた2人の雲忍対策に置いてきたシカク、チョウザ、いのいちを迎えにいった。いや、言っとくが決して忘れていたわけではない。
彼ら猪鹿蝶トリオは皆、満身創痍ではあったが生き残っていた。そして敵2人の死体も近くに転がっていた。
こうして雲隠れが画策していた木ノ葉の里奇襲攻撃はなんとか木ノ葉側には一人の犠牲者も出さずに防ぐことができたのだった。
・・・本当は猪鹿蝶トリオのこと、頭から抜け落ちていたんだ。すっかり、さっぱり、がっつり。
いやあ、ホント生きててよかったわ。もし、戦死してたらこんなカミングアウト、絶対できないもんな。墓場まで持っていくコースだった。