NARUTO-カルタ外伝- 転生者の独擅舞台《チーターライフ》   作:新名蝦夷守

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030.口寄せの術 四尾出現

 

 後日。

 

 オレは火影様から呼び出され、第44演習場。通称、死の森へと出向いていた。

 

 なぜ、そんな物騒な演習場なのかというと、どうやら最初に呼び出した忍猿との勝負に勝ったら契約を結んでくれて、尚且つ呼び出した本人を主人と認めてくれるということらしい。

 

 今でこそ良きパートナーとして火影様の忍猿となっている。現猿猴王の猿魔も最初はがっつりとやり合ったらしい。先程すごく脅された。

 その戦闘の際には当然、他者からの助力を得ることはできず、自分ひとりで、自力で、独力で。やり合う必要がある。そして勝利をつかみ取ると契約を結んでくれるということらしい。

 

「それじゃあ、この忍猿との契約の巻物にサインしてじゃな」

 

 親指を切り、自分の血でサインをしていく。

 

「名前の下に拇印じゃ。右手の指すべてに血をつけて、5本ともじゃ」

 

 親指から出ている血を人差し指から小指まで全て塗りたくり、ぺたん。

 

「これで忍猿との仮契約は完成じゃ。このあとの本契約にはまず、口寄せの術をせねばならん。印は、亥→戌→酉→申→未の順じゃ。お主ほどの者には言うほどのことではないと思うが、チャクラはしっかりと練らんと雑魚の低級の忍猿しか出てこんからな。ただし、すっからかんになるまで練ると出てきた強い忍猿との勝負に負けるぞ。そこらへんは程々にの」

 

 儂はそのせいでひどい目にあったのじゃ。と続いた。

 まさかの実体験の話だった。

 

 まぁ、オレはチャクラを練っても練っても無尽蔵にあるからな(たぶん、限界はあると思うが、その限界に至ったことはまだ一度もない)。だからきっと大丈夫だろう。

 

 集中、集中。・・・集中ッ!

 

 まるで螺旋丸を創り上げるが如く、集中しチャクラを練る。

 

 亥・戌・酉・申・未

 

 そして、練りに練った渾身の・・・

 

「口寄せの術ッ!!」

 

 ボフンッ!!!!!

 

 と、大きな煙と爆風を伴い、口寄せの召喚獣を召喚したオレの視点はアホみたいに高くなった。

 感覚的には又旅の頭や重明の頭に乗ったときと同じような高さだ。

 

「誰だ!!俺を、この俺、水簾洞の美猿王、六道仙人より孫の法号を与えられし仙猿の王、孫悟空斉天大聖を呼び出した野郎はッ!!!」

 

 なんか、濃ゆいキャラクター性をもった(さる)が出てきやがった。

 

「って、孫悟空?」

「違う!俺は、水簾洞の美猴王、六道仙人より孫の法号を与えられし仙猿の王、孫悟空斉天大聖だッ!!」

「いや、長いんだよ。そんなに長い口上と名前覚えられるかよっ!水簾洞の美猴王、六道仙人より孫の法号を与えられし仙猿の王、孫悟空斉天大聖!」

「いや、覚えとるじゃろ・・・」

 

 火影様の小さなつぶやきといってもいいようなツッコミが入る。

 

「いや、覚えてるだろッ!!」

 

 水簾洞の美猴王、六道仙人より孫の法号を与えられし仙猿の王、孫悟空斉天大聖の大きな怒声と言ってもいいようなツッコミも入った。

 

「つーか、水簾洞の美猴王、六道仙人より孫の法号を与えられし仙猿の王、孫悟空斉天大聖って尾獣の四尾だな!」

 

 又旅と重明が四尾のチャクラに反応して騒いでいる。

 もちろんそれ以前に原作で見たことあるからわかったけど。わかってしまったけれど。わかってしまっていたけれども。

 

 オレが呼び出してしまった忍猿が本当は尾獣の四尾だったという事実に驚いた火影様は驚いて腰を抜かしそうになっていた。なっていただけで、実際には腰を抜かすことはなく、直ちに戦闘モードへと移行していた。そこら辺の切り替えは流石、里長である。高齢ながら火影の名に恥じない姿だった。

 

「いかにも、俺が四尾の水簾洞の美猴王、六道仙人より孫の法号を与えられし仙猿の王、孫悟空斉天大聖だ。むっ?お前の中に二尾と七尾がいるな。あいつらのニオイが溢れているぞ」

 

 自己主張の激しい猿だな。何回『水簾洞の美猴王、六道仙人より孫の法号を与えられし仙猿の王、孫悟空斉天大聖』って言えば気が済むんだよ。これだけでかなりの文字数稼いじゃってるじゃないか!

 

 なんてことをオレは思っていたり、思っていなかったりしているわけだが、実際はこの後の戦闘(バトル)を考えると憂鬱だった。考えると憂鬱だからくだらない言葉遊びをして考えないようにしているだけだった。

 

 つまり、現実逃避だった。逃避行なうだった。

 

「火影様。ここで見たことは内密にお願い致します。あとでちゃんと説明するので」

 

 眼が紅く発光する。チャクラの動きまではっきりと見える。そして、火影様の驚くの表情もはっきりと見える。

 

 八門遁甲を開く。今できる自分の限界まで、第六景門まで一気に。暴れるようなチャクラの渦が自分から湧き出てくる。

 

 雷遁も纏う。これも今の自分の限界、参式を。

 

「ほう。俺とやろうってのか」

「まぁな。なんで口寄せで孫悟空斉天大聖(カカロット)みたいな尾獣が出てきたのか知らないが、この口寄せの術の本契約には出てきた猿を実力で従わせる必要があるみたいなんでな。悪いけどここじゃ派手に暴れさせてやれねぇからな、一旦飛ばさせてもらう」

 

 木ノ葉の里内で尾獣と戦闘したら、せっかく八尾襲来を阻止した意味がなくなっちまう。

 

「おい、今俺のことを変な風に呼ばなかったか!?」

「呼んでないよ。ちゃんと本名の孫悟空斉天大聖(カカロット)って呼んだ」

「嘘つけェェェェェ!!!!!」

 

 あ、キレた。

 

 やべぇよ・・・やべぇよ・・・。

 

 尾獣玉作り始めやがったよ!!

 

 とりあえず、さっさと場所を移さないと!

 

「火影様!それじゃまた後で!!」

 

 天送の術ッ!と、叫びながら術を発動させると共にオレと四尾の孫悟空斉天大聖はこの場から消え去った。

 

 

 


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