NARUTO-カルタ外伝- 転生者の独擅舞台《チーターライフ》   作:新名蝦夷守

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031.口寄せの術 限界突破

 

 天送の術で適当に飛ばした先は森林だった。

 

 正確に言うと、森林のはるか上空1000mくらいの場所だった。

 

 なんでそんなアホみたいに高いところに飛ばしたかっていうと、いや、ここまで上空に飛ばす予定はなかったのだが、どうやらオレの使う天送の術は下手をしたら地中奥深くとか深海何千メートルとかに飛ばしてしまう可能性があるのだ。

 四尾孫悟空だけなら間違ってそんなところに天送してしまっても最悪ま、いっか。で、済ませることができるが、オレも一緒にとなると絶対に嫌だ。窒息死とか圧死とかで死にたくない。仮に死ななかったとしてもそんなトラウマ確定な経験などしたくはない。

 その分ある程度適当な高さなら、地面に埋まることもないし、深海に沈むこともない。オレなら空も飛べるし、妥当な判断だったと考える。

 

「てめぇ!この野郎ッ!この俺をバカ高いところにぶっ飛ばしやがってッ!!」

「うるせー!お前、孫悟空なら筋斗雲とか呼べないのかよ!」

「そんな雲あったら見てみたいわッ!!」

 

 重力による自由落下に身を任せながらの会話。命綱無しのバンジージャンプってこんな感じなのかな。いや、もうこの高さじゃあスカイダイビングって感じだな。

 

「じゃあ、舞空術は!?」

「なんだそれッ!!知らねぇよッ!!!」

「それも知らないで、孫悟空名乗ってんじゃねーよ!」

「俺が孫悟空だッ!!舐めたこと抜かしてんじゃねぇぞ!小僧ッ!!」

「こちとら見た目は子どもだけど、頭脳は大人なんだよッ!!」

 

 なんともアホ丸出しの口喧嘩である。

 そんなことをしている間にも地面はどんどんと近づいてくる。というか、自分たちから近づいていっている。

 

「重明!六枚翅(ろくまいば)!」

『イエス、マイロード』

「あッ!ずるいぞ小僧ッ!!」

 

 その翅、そのチャクラ、七尾の奴だなーッ!!と、叫びながら地面に突き刺さった。

 その際の衝撃は凄まじく、周辺の木々は全てなぎ倒され、土が大きく抉られ、まるで大きめの隕石が落ちてきたかのような状況だった。

 

 一方のギリギリのところで地面との衝突を回避したオレは、優雅に四尾孫悟空の滑稽な姿を上空から。まさに高みの見物をしていた。

 

『かっかっか。あの猿め。見事に落ちよったわ!』

『くっくっく。・・・又旅、笑いすぎだ』

『重明だって笑っておったじゃろ』

「お前らうるせーよ」

 

 四尾がアホズラをしながら地面に突き刺さったのがそうとうツボに入ったのか、さっきからずっと笑いっぱなしの我が愚猫と愚蟲。頭の中で笑い声がガンガンと響く。

 

「あの偽孫悟空があの程度でくたばるわけがないからな。お前らちょっと黙ってろよ。こっちもギア上げてかないとガチでまずい」

『おまえ様よ。そうは言っても八門遁甲の第六景門と纏も参式までやっておろうが。これ以上は身体がもたんぞ?おまえ様のその小さい身体じゃの』

「その小さい身体だからこそだよ。無理にでもパワーアップしないとサシで尾獣となんかやり合えない」

 

 今の八門遁甲第六景門以上の開放となると第七の門である驚門しか選択肢はない。なぜなら八門遁甲最後の門は死門といい、これを開くとその一瞬はもの凄くパワーアップできるが確実に死ぬ。

 

 もう一つのオレが使う肉体活性術である、雷遁・纏。纏も今は参式にまでギアを上げているが本来、羽衣一族が使用していた限界がこの参式だ。これ以上となると未知の領域。オレ自身どうなるかもわからないし、先祖たち先達でも知りはしないだろう。

 

「限界突破だ。壁は乗り越えるためにあるんじゃない。ぶち破るためにあるんだ」

『主様、そのセリフを誰に向かって言っているのだ。しかもキメ顔のおまけ付きで』

 

 空中でそんな話をしていると、真下の地面が大きく揺れ始めた。視界に収まるすべての大地が揺れている。

 ドリャァァァァ!!!という雄叫びと共に孫悟空が地面から飛び出してきた。

 

「小僧ッ!てめぇ・・・よくもォォォ!!!」

「孫悟空、出てきやがったな」

「許さんぞッ!!!」

 

 怒りに身を任せた四尾孫悟空は尾獣玉を、黒く大きいチャクラを圧縮に圧縮を重ねた凶器とも言うべきその塊をオレに向かってぶっ放す。

 

「危ねぇだろ」

 

 しかしそれを軽く避ける。飛んでくる尾獣玉は写輪眼で難なく見切れるし、空中移動も翅のおかげで思うがままだ。

 

 すっと3本の指を立てる。

 

「3分だ」

 

 キッと孫悟空を睨みつけながら続ける。

 

「3分でケリをつけてやる」

「ハァ?」

「だが、もちろん今のままじゃ当然無理だ。どうだ?小僧呼ばわりするオレの真の実力見たくはないか?それとも見るのが怖いか?」

 

 そういって孫悟空を焚きつける。

 

「そこまで言うなら見せてみろ。俺は逃げも隠れもしないぞ。その貴様の言う真の実力とやらを捻じ伏せてやる。俺に殺された時の言い訳もできないように完膚なきまでになッ」

 

 言質をとったオレは今までにないほどのチャクラを自分自身から引き出す。引きずり出す。捻り出す。そしてまずオレがまだ見ぬ境地。八門遁甲の第七驚門を開く。今まで感じたことのないほどのエネルギーが自身から溢れ出すのがわかる。

 それと同時に身体が異常なまでに熱い。暑い。気化した汗が漏れ出すチャクラの影響でか碧い汗となって見える。

 

 それから纏っていた雷遁も蒼白いスパークが徐々に薄紫がかった色合いに変化していく。それに伴いオレを渦巻く稲妻(スパーク)の音も轟音と化す。もうバチバチという次元(レベル)を優に超えてしまっている。これが羽衣一族未知の領域、纏の肆式。

 

 纏・肆式の影響で髪は逆立ち、全身の紅潮化も更に増す。

 

 これが限界の先ってやつか。

 

 パワーが漲ってくる。

 

「待たせたな、孫悟空。これがお前が望んだオレのフルパワーだ。最初(はじめ)っから全力で来ねぇと死ぬのはお前だぜ」

 

 

 


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